■7月10日(日)ドキュメント
気象庁の発表によれば九州は梅雨明け宣言されていた。
一気に南国クマモトである。気温は35℃を超えていた。
与えられたパフォーマンスの会場はアスファルトの駐車場。
午前10時過ぎに会場に到着してステージなどの組み立てに入る。
問屋街は歩行者天国。道路はテントや椅子、テーブルが並ぶ。
この町では毎月の第2日曜日がアートの日。
スタッフや参加者たちの段取りは手慣れている。
私は立ちくらみしていた。少々、貧血気味。早くも熱中症?
水分補給を!・・・劇団員たちは私が何時生ビールに手を出すか、
目配りしていたらしい。・・・こんな状態で呑むと倒れる。
最近、肝臓も疲労していた。自覚している。
冷房の利いたギャラリーADOで、
生ビールの代わりにアイスコーヒーで喉を冷やす。
生き返った。
今年の3月「ねじ式」公演よりこの町と関わって、
この町の魅力にとりつかれた。
5月に「KAGUYA」公演と宣伝パフォーマンスと撮影会など、
今回で5回目の関わり。
拘りは、この町の劇場化にある。
町そのものを劇場にしようと企んでいる。
公共の税金を使って立派な箱物を作って、結果、赤字で喘ぐ、
行政の劇場とは違った劇場はできないものか。
そんな思いがこみ上がってくる。
アート?芸術文化?・・・大それたことは考えていない。
要は、日本古来からある「路地裏」の復活を試みたい。
この町には下敷きがある。
妄想と言われようが、この町が劇場に見える。
町民が役者に見えるのである。
☆
正午過ぎにリハーサルに入る。
じりじりする。汗が噴き出る。
無事に本番を終えることができるだろうか。
顔面に痺れを感じる。
座長も気分悪そうにして顔色がさえない。
海千山千と言うものの、座長は若くない。
否、若いからと言って劇団員、出演者も油断は禁物。
倒れてしまっては代理がきかない。
太陽が恨めしい。
日陰育ちの私たちである。
水道の蛇口からステージに向けて放水した。
打ち水の効果あり!
この案はダンス出演のMAMIさん、DAISUKEさんのアイディア。
猛暑の中でのステージは計算済み。救われた。
午後1時。
予定通り、「訪問劇」の開始。
通行人に質問を投げかける。店に入り込んで
「あなたは岡本さんですよね。」と
突然に訳のわからない岡本さん探しが始まる。
「あなたにとって一番汚い言葉とは何ですか。」
質問された人たちは、思った通り困惑していた。
しかし、イベントだとわかるとニコニコして応える。
「死ね。」「キンタマ」「糞、うんこ」「ろくでなし!」
喜んでいる。笑って答えていた。
この汚い言葉をステージのパネルに貼り付けていく。
「この言葉を集めてRKKラジオで流します。」
台本通りのことを言って歩くと、
RKKとは別の放送局の方が来られていて、
「RKKさんは寛大ですね。」とびっくりしていた。
あなたの放送局でもやりましょうよ!
「考えておきます。」こちらもびっくりである。
汚い言葉が数限りなく収集された。
こんなことを一日中すると
汚い言葉でこの町は埋め尽くされたであろう。
30分で終了して、ステージで叫ぶ。
汚い言葉が健康的に見えるのは何故。
☆
午後2時。
劇団では音作りと映像記録などでお世話になっている
タカハシユウジさんの路上ライブのハジマリ。
同時に劇団魂のはる君(主宰)が
身長3メートルのジャック(骸骨人形)で登場する。
タイミング良く、
熊本キャラクターのクマモンも町に現れる。
クマモンは人気者だ。誰でもが近寄ってくる。
ジャックが近付くと、いいコンビに見えた。
タカハシさんのBGMと融合する。
クマモンとは何も打ち合わせしていないのに、
まるで劇団員のようにふるまっている。
ジャックの人形は脱原発パレードのために
稽古場でお世話になっている牧師さんの手作りである。
この市街劇に出演することを快く受けてもらった。
はる君は徹夜明けでこの人形を背負っての登場。
仮面工房熊本支部のKAKUさん、ちくわさんも
仮面と衣裳をまとってジャックをアシストしてくれていた。
新人=KARENちゃん親子も楽しそうに眺めていた。
私はこの時点で顔の痺れが酷くなり、まっすぐ歩けなくなった。
冷房の利いたギャラリーに飛び込んで梅ジュースを呑む。
病院に運ばれたら洒落にならない。
まだ終わっていないのだ。
☆
東京から来られた劇団を紹介された。
12月に100回記念公演を熊本でやるそうである。
紹介者は昨年、八千代座で上演されたコンテンポラリーダンス
で出会った横田女史。
いつか面白いことを企画しましょうと、
それからの付き合いが始まった。
話によるとその劇団の主宰者が熊本へ移住してくるとのこと。
なるほど。
仮面工房さんが福岡から熊本支部を作ってきたように、
演劇が熊本に近づいてきているような予感がする。
熊本へ草木はなびく。
塵蟲さんや徹夜明けの大ちゃん、久しぶりのみんみん、
陰でニヤニヤ笑って見ている旧友の顔など、
この暑さの故、見る側も大変だったろう。
午後3時。
みんなでやろうダンスワークショップの時間。
座長の進行で夕沈ダンスを紹介する。
田中幸太のリードでヲタ芸。
実はこれが心配だった。
冗談抜きで体力の消耗は絶頂期にあったのではないだろうか。
参加者の顔を笑っている。・・・大丈夫なんだろう。
ここでも水を撒き散らす。
暑過ぎてシャワーに飛び込んでくる人もあった。
クドシンの肌が赤くはれていた。
何故か、肥後丸はカレーの匂いがした。
サキはピンピンしている。劇団員たちは苦境に強い。
ワークショップに引き続き劇へ。
「新☆KAGUYA」のコマ送りバージョンで30分。
野外だとストリーや台詞は通用しない。
身体である。肉体が全面に出る。小細工も通用しない。
肉体言語。
この経験は10月大阪公演(野外ステージ)へつづく。
☆
午後4時。
MAMIさんとDAISUKEさんのダンスで締めくくる。
このステージは客観的に見ることができた。
タップ、ポップである。カッコイイ。
生ビールが呑みたい!・・・打ち上げまで待て。
ラストの場面でシャワー。
稽古の段階で、水に濡れるMAMIさんを想像してわくわくしていた。
私は水に濡れた女性にエロチズムを感じる性癖がある。
雨や温泉、海水浴場が好きなのはその故だ。
イイ感じに濡れていた。
クラクラ~としたが、
暑さと精神的な趣味で貧血のクラクラ~だった。
終わって、スタッフさんたちに挨拶回りなどをしていると、
急に空が暗くなり、いきなりの豪雨である。
カミナリも響きだした。
熱くなった身体を冷やそうと雨に打たれたら気持よいではないか。
田中幸太は豪雨の中、一人で踊り始めた。
絵になるねー。まるで映画の一場のように見える。
出店の手羽先屋さんから大量のおにぎりを頂く。
肥後丸を除いて、みんな昼食をとっていなかったのではないだろうか。
腹が減っていたことに気づき、おにぎりを食べる。
美味過ぎる。
ふらふらになりながらも、生きている実感があった。
午後6時。
近くのお好み焼き屋さんで打ち上げる。
皆さま、本当にお疲れ様でした。
次回は8月14日(日)「夜の展覧会」。
気象庁の発表によれば九州は梅雨明け宣言されていた。
一気に南国クマモトである。気温は35℃を超えていた。
与えられたパフォーマンスの会場はアスファルトの駐車場。
午前10時過ぎに会場に到着してステージなどの組み立てに入る。
問屋街は歩行者天国。道路はテントや椅子、テーブルが並ぶ。
この町では毎月の第2日曜日がアートの日。
スタッフや参加者たちの段取りは手慣れている。
私は立ちくらみしていた。少々、貧血気味。早くも熱中症?
水分補給を!・・・劇団員たちは私が何時生ビールに手を出すか、
目配りしていたらしい。・・・こんな状態で呑むと倒れる。
最近、肝臓も疲労していた。自覚している。
冷房の利いたギャラリーADOで、
生ビールの代わりにアイスコーヒーで喉を冷やす。
生き返った。
今年の3月「ねじ式」公演よりこの町と関わって、
この町の魅力にとりつかれた。
5月に「KAGUYA」公演と宣伝パフォーマンスと撮影会など、
今回で5回目の関わり。
拘りは、この町の劇場化にある。
町そのものを劇場にしようと企んでいる。
公共の税金を使って立派な箱物を作って、結果、赤字で喘ぐ、
行政の劇場とは違った劇場はできないものか。
そんな思いがこみ上がってくる。
アート?芸術文化?・・・大それたことは考えていない。
要は、日本古来からある「路地裏」の復活を試みたい。
この町には下敷きがある。
妄想と言われようが、この町が劇場に見える。
町民が役者に見えるのである。
☆
正午過ぎにリハーサルに入る。
じりじりする。汗が噴き出る。
無事に本番を終えることができるだろうか。
顔面に痺れを感じる。
座長も気分悪そうにして顔色がさえない。
海千山千と言うものの、座長は若くない。
否、若いからと言って劇団員、出演者も油断は禁物。
倒れてしまっては代理がきかない。
太陽が恨めしい。
日陰育ちの私たちである。
水道の蛇口からステージに向けて放水した。
打ち水の効果あり!
この案はダンス出演のMAMIさん、DAISUKEさんのアイディア。
猛暑の中でのステージは計算済み。救われた。
午後1時。
予定通り、「訪問劇」の開始。
通行人に質問を投げかける。店に入り込んで
「あなたは岡本さんですよね。」と
突然に訳のわからない岡本さん探しが始まる。
「あなたにとって一番汚い言葉とは何ですか。」
質問された人たちは、思った通り困惑していた。
しかし、イベントだとわかるとニコニコして応える。
「死ね。」「キンタマ」「糞、うんこ」「ろくでなし!」
喜んでいる。笑って答えていた。
この汚い言葉をステージのパネルに貼り付けていく。
「この言葉を集めてRKKラジオで流します。」
台本通りのことを言って歩くと、
RKKとは別の放送局の方が来られていて、
「RKKさんは寛大ですね。」とびっくりしていた。
あなたの放送局でもやりましょうよ!
「考えておきます。」こちらもびっくりである。
汚い言葉が数限りなく収集された。
こんなことを一日中すると
汚い言葉でこの町は埋め尽くされたであろう。
30分で終了して、ステージで叫ぶ。
汚い言葉が健康的に見えるのは何故。
☆
午後2時。
劇団では音作りと映像記録などでお世話になっている
タカハシユウジさんの路上ライブのハジマリ。
同時に劇団魂のはる君(主宰)が
身長3メートルのジャック(骸骨人形)で登場する。
タイミング良く、
熊本キャラクターのクマモンも町に現れる。
クマモンは人気者だ。誰でもが近寄ってくる。
ジャックが近付くと、いいコンビに見えた。
タカハシさんのBGMと融合する。
クマモンとは何も打ち合わせしていないのに、
まるで劇団員のようにふるまっている。
ジャックの人形は脱原発パレードのために
稽古場でお世話になっている牧師さんの手作りである。
この市街劇に出演することを快く受けてもらった。
はる君は徹夜明けでこの人形を背負っての登場。
仮面工房熊本支部のKAKUさん、ちくわさんも
仮面と衣裳をまとってジャックをアシストしてくれていた。
新人=KARENちゃん親子も楽しそうに眺めていた。
私はこの時点で顔の痺れが酷くなり、まっすぐ歩けなくなった。
冷房の利いたギャラリーに飛び込んで梅ジュースを呑む。
病院に運ばれたら洒落にならない。
まだ終わっていないのだ。
☆
東京から来られた劇団を紹介された。
12月に100回記念公演を熊本でやるそうである。
紹介者は昨年、八千代座で上演されたコンテンポラリーダンス
で出会った横田女史。
いつか面白いことを企画しましょうと、
それからの付き合いが始まった。
話によるとその劇団の主宰者が熊本へ移住してくるとのこと。
なるほど。
仮面工房さんが福岡から熊本支部を作ってきたように、
演劇が熊本に近づいてきているような予感がする。
熊本へ草木はなびく。
塵蟲さんや徹夜明けの大ちゃん、久しぶりのみんみん、
陰でニヤニヤ笑って見ている旧友の顔など、
この暑さの故、見る側も大変だったろう。
午後3時。
みんなでやろうダンスワークショップの時間。
座長の進行で夕沈ダンスを紹介する。
田中幸太のリードでヲタ芸。
実はこれが心配だった。
冗談抜きで体力の消耗は絶頂期にあったのではないだろうか。
参加者の顔を笑っている。・・・大丈夫なんだろう。
ここでも水を撒き散らす。
暑過ぎてシャワーに飛び込んでくる人もあった。
クドシンの肌が赤くはれていた。
何故か、肥後丸はカレーの匂いがした。
サキはピンピンしている。劇団員たちは苦境に強い。
ワークショップに引き続き劇へ。
「新☆KAGUYA」のコマ送りバージョンで30分。
野外だとストリーや台詞は通用しない。
身体である。肉体が全面に出る。小細工も通用しない。
肉体言語。
この経験は10月大阪公演(野外ステージ)へつづく。
☆
午後4時。
MAMIさんとDAISUKEさんのダンスで締めくくる。
このステージは客観的に見ることができた。
タップ、ポップである。カッコイイ。
生ビールが呑みたい!・・・打ち上げまで待て。
ラストの場面でシャワー。
稽古の段階で、水に濡れるMAMIさんを想像してわくわくしていた。
私は水に濡れた女性にエロチズムを感じる性癖がある。
雨や温泉、海水浴場が好きなのはその故だ。
イイ感じに濡れていた。
クラクラ~としたが、
暑さと精神的な趣味で貧血のクラクラ~だった。
終わって、スタッフさんたちに挨拶回りなどをしていると、
急に空が暗くなり、いきなりの豪雨である。
カミナリも響きだした。
熱くなった身体を冷やそうと雨に打たれたら気持よいではないか。
田中幸太は豪雨の中、一人で踊り始めた。
絵になるねー。まるで映画の一場のように見える。
出店の手羽先屋さんから大量のおにぎりを頂く。
肥後丸を除いて、みんな昼食をとっていなかったのではないだろうか。
腹が減っていたことに気づき、おにぎりを食べる。
美味過ぎる。
ふらふらになりながらも、生きている実感があった。
午後6時。
近くのお好み焼き屋さんで打ち上げる。
皆さま、本当にお疲れ様でした。
次回は8月14日(日)「夜の展覧会」。