中国の成都で開催されている卓球の世界選手権。今日は男子の準々決勝と女子の準決勝がそれぞれ行われました。男子はポルトガルを3-1で撃破。最後はエース張本が決めてメダルを確定させました。さらに女子はドイツを3-0で圧倒し、決勝進出を決めました。明日は男女とも王者中国を相手に、それぞれ準決勝と決勝を戦います。頑張れ!ニッポン!
さて、卓球の世界選手権といえば、ボクにとって忘れられない大会があります。それは1991年の千葉大会です。この大会は当時の国際卓球連盟会長の荻村伊智朗氏の尽力で、南北朝鮮が「統一コリアチーム」として出場し、女子団体で優勝したことで有名です。今から31年前、八百政33歳の頃の出来事です。今日の話題はその時の思い出話です。
実は統一コリアチームは来日してから日本国内で合宿を行い、千葉で行われた世界選手権に出場しました。もちろん韓国チームと北朝鮮チームはそれまで一緒に練習したことなどありませんし、当時も政治的に非常に微妙な関係の両国でしたので、合同チームとしての合宿は選手やチーム関係者だけでなく、国際的にも緊張感あふれるものだったと推測しています。そしてその国内合宿地に選ばれたのが、新潟県の長岡市。そうです。ボクの住むこの街だったのです。
当時、長岡市卓球協会の末端会員だったボクは、統一チームの練習会場となった長岡市北部体育館(今もボクは週1回ここで練習しています)に何度か公開練習を見に行きました。今考えると、世界が注目していた歴史的な出来事の真っ只中のすぐ周辺に、ボク自身が存在していたことになります。今考えてもすごいことだと思います。
当時の北朝鮮にはリ・グンサンというカットマン(守備型選手)がおり、韓国には劉南奎(ユ・ナムキュ)というペンホルダーの攻撃選手がいました。この2選手は、両国のエースとしてさまざまな国際大会でも大活躍していました。千葉での世界選手権の数年前に行われた「ワールドオールスター長岡大会」で、この両エースが決勝戦を戦ったゲームをボクは今でも鮮明に覚えています。
合同合宿が行われていた長岡市の北部体育館でも、ボクはこのリ・グンサンと劉南奎(ユ・ナムキュ)のプレーに注目して見学していたのですが、そこですごい場面を目にしたのです。それは練習の終了時間となり、宿泊ホテルから迎えのバスが体育館に到着した頃でした。両国の選手たちが用具の後片付けをして三々五々に引き上げ始めると、いきなり劉南奎(ユ・ナムキュ)が腹筋のトレーニングを始めたのです。それが延々と続きます。すると、それを見たリ・グンサンが、負けじと腕立て伏せを開始したのです。練習終了後にまるで競い合うように始まった両国エースの体力トレーニングは、迎えのバスを待たせたまま、それからしばらくの間続きました。
「2人のライバル意識はすごいな」「南北朝鮮のプライドと意地を背負っているんだろうな」と、ボクはそのシーンを見て強烈な印象を受けた記憶があります。今から31年前の、ボクにとって忘れられない思い出です。