上野千鶴子さんの「在宅ひとり死のススメ」(文春新書)を読了しました。一緒に図書館から借りた「神よ憐れみたまえ」が600ページ近い長編小説でしかも先に読み始めたものですから、貸し出し期限内にこちらを読み終えられるか心配だったのですが、意外にサクサクと読むことができました。
この本を一言で言うなら、「おひとりさま」第一人者の上野千鶴子さんによる「家で一人で死ぬノウハウ本」です。
まずビックリするのは、冒頭の「独居高齢者の生活満足度のほうが同居高齢者より高い」というデータです。さらに、「子無しおひとりさまは満足度がもっとも高く、悩み度が低く、寂しさ率が低く、不安率も低い」という調査結果も紹介されると、なんか今までの常識が覆される感じがしました。しかもこれらがすべて筆者の主観だけではなくて、科学的・統計的データ(エビデンスってやつですか?)に基づいているのですから説得力があります。
目次をちょっと紹介しますね。
第1章:「おひとりさま」で悪いか?
第2章:死へのタブーがなくなった
第3章:施設はもういらない!
第4章:「孤独死」なんて怖くない
第5章:認知症になったら?
第6章:認知症になってよい社会へ
第7章:死の自己決定は可能か?
第8章:介護保険が危ない!
なんかね。ボクら以上の世代の人たちの好奇心(って言っていいのかな?切実感?)をくすぐるキーワードの数々ですよね。
ボクが特に心に残ったのは、「ピンピンコロリ」は都合のいい幻想で、元気なほど長生きし、長生きすれば要介護から逃れられないという指摘です。自分もそんな幻想に取り込まれていたのだなあと気付かされました。
これからの自分自身や夫婦の残りの人生の生き方を考えた時に、「こういう本も読んでおく必要があるなぁ…」としみじみ思いました。