柚月裕子さんの「凶犬の眼(角川書店)」を読了しました。このところボクがよく読む小説家というと、「柚月裕子」「瀬尾まいこ」「辻堂ゆめ」の3人ですが、彼女らの作品ってハズレがないんですよね。例外なく「夢中になれる小説」なんですよ。今回読んだ「凶犬の眼」も面白くて、一気に読んじゃいました。
この小説を読み始めたとき、「これってシリーズ物なの?」って気づいて調べてみたら、この「凶犬の眼」って作者の柚月裕子さんの「孤狼の血」シリーズ3部作の第2弾なんですね。第1弾が「孤狼の血」、第3弾が「暴虎の牙」。なんとボクは、第2弾から読み始めちゃったというわけです。しかも、読み始めてからこの小説が、ボクの苦手な「暴力団抗争&警察系の小説」であることがわかりました。ヤバい。せっかく図書館から借りた本だけど、最後まで読めないかもなぁ…なんて思いながら読み進めたんですよね。
ところがね。さすが柚月裕子です。シリーズ第1弾の「孤狼の血」を読んでいなくても、この「凶犬の眼」だけで1つの作品として完成していてスンナリ読め、ボクの苦手な「〇〇組」とか「若頭」とか「盃を交わす」とかのヤクザや暴力団の世界の話にも、違和感なく入っていけました。
捜査のためなら、俺は外道にでもなる。
所轄署から田舎の駐在所に異動となった日岡秀一は、穏やかな毎日に虚しさを感じていた。そんななか、懇意のヤクザから建設会社の社長だと紹介された男が、敵対する組長を暗殺して指名手配中の国光寛郎だと確信する。彼の身柄を拘束すれば、刑事として現場に戻れるかもしれない。日岡が目論むなか、国光は自分が手配犯であることを認め「もう少し時間がほしい」と直訴した。男気あふれる国光と接するにつれて、日岡のなかに思いもよらない考えが浮かんでいく……。
警察vsヤクザの意地と誇りを賭けた、狂熱の物語。
まぁこんな感じの小説でした。「映画にしたら面白いかもな…」「キャストは誰がいいかな…?」なんて思いながら読んでいたのですが、さっき調べたら既に2018年と2021年に映画化されていました。主演は役所広司と松坂桃李だそうです。邦画好きのボクですが、全くノーマークでした。「ヤクザ映画」っていうだけで、興味の対象から外れていたようです。
シリーズ第2弾から読んだボクなので、第1弾「孤狼の血」と第3弾「暴虎の牙」も当然「読んでみたいな…」という気持ちはあるんですが、この「警察Vsヤクザ・暴力団」系の小説ってけっこう読むのに疲れるんですよね。ちょっと休憩を挟んで、ガッツがあったらまた読みたいと思います。