雨の都内を発ってトンネルを抜けると、やがて晴れ。なんと素晴らしいことなのでしょう。
今回のメインターゲットはウスバクロチョウ。といってもこんな和名を持つチョウはおりません。白っぽい半透明の翅をしたウスバシロチョウの黒化型をマニアがこう呼んでいるのです。
初めてその不気味にも見える姿を目にしたときから憧れが沸き起こり、今回ようやく、そのチャンスが訪れてきました。
上が普通のウスバシロで下が黒化型、ウスバクロです。
その産地はこの先まだ100km以上もある隣の県。こちらの雨は上がっていますが、現地ではまだ降っているかもしれません。
行き掛けの駄賃で、すでに発生していると思われる別のチョウを調べることにしました。
それはチョウセンアカシジミ。タハラッチが中学生のころ、岩手にいる珍しいチョウだと認識していましたが、そのころの小遣いでは採集には行かれません。図鑑で見るだけのチョウでした。
今回はこれに接しただけでなく、マル秘テクニックでほぼ完璧な固体を持ち帰ることができました。きっと友人がうらやましがるに違いありません。
付近を探索していると、不意の侵入者に驚いたのでしょう、シマヘビが現れました。初夏なのですね。
タハラッチが子供のころには首に巻いてかわいがっていたものですが、大人になって見る蛇はやはり薄気味悪いものです。
その後目指すポイントへ移動。こちらも予想通り良い日和に恵まれて、ウスバシロチョウは嫌というほどたくさん飛んでいます。
でも狙った真っ黒なウスバクロチョウはまだ採っておりませんが、明日も晴れるようですからきっと採れることでしょう。
2日目は前日にもまして朝からまばゆい陽射しが注いでいます。今日こそはと気合を入れて出発。朝露に濡れた草原を見つけてはウスバクロを探しますが、すべてウスバシロばかり。黒い固体はなかなか見つかりません。
ネットに入れたウスバシロの数はたぶん、100に迫っているかもしれません。
花には絡み合っているものも見られます。
やがて先ほどまでの好天がどこかへ去っていき、小雨がパラついてきました。そんなころになってようやく、明らかに黒い固体が舞っているのが目に入りました。
全速で追いかけ、ネットを振るとうまく入ったようです。1頭目。前翅も後翅も全体がうっすらと墨に染まっていて、か弱そう。これこそがウスバクロチョウなのでしょう。目的達成。少し興奮気味になってきました。
その後、ポイントを移動。初日、最初に狙ったところで立て続けに2頭を採集。空模様がかなり怪しくなってきたので撤収の準備をしていると、車の前方10m付近にヒラヒラと舞い降りてきた飛翔物体があります。すでに車内にいた同行者が止まった位置を教えてくれたので4頭目をゲット。有終の美を飾ることができました。
もちろん撮るより採るほうが優先されますから、自然の中でのバクロの写真は一枚もありません。次の機会には少し余裕が出ると思いますので、シャッターチャンスがあればぜひ撮影したいものです。
ちなみに彼にはお礼として、すぐ前に採ったとてもフレッシュなカラスアゲハを差し上げました。
帰途は土砂降りにも見舞われましたが、全員が目的のチョウをゲットしていますから後は野となれ山となれ。日曜日なのに少し早めに切り上げたおかげで、渋滞にも阻まれることなく、ルンルン気分で無事に帰ることができました。
別のところですがチョウセンアカシジミも採れました。