総合診療医からの健康アドバイス

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A子さんのリスク、絶対的には約1%のみ低下

2017-03-09 09:52:04 | 医療情報
 皆様こんにちは。総合診療医からの健康アドバイスの時間です。やりました。昨日の WBC 一次リーグのオーストラリア戦は二回に一点を取られてヒヤヒヤしましたが、中田選手や筒香選手のホームランなどで逆転し、4-1で勝利。これでほぼ二次リーグが決定しました。二次リーグのオランダは強いですから、まだまだヒヤヒヤが続きますね。では本題へ。
 
 
 
 前回お示ししたように、薬を飲むと「相対リスク」の低下でみると確かに30%下がるといえます。


 しかしながら、リスクの評価は「絶対リスク」で行うべきです。


 というのは、「相対リスク」では、A子さんの「リスクは元々どの程度なのか」という条件を考慮していないからなのです。
 


 
 では、「絶対リスク」でA子さんのリスク評価をやってみましょう。


 元々のリスクは、100人を10年間フォローしたときに、約3人の心筋梗塞が発症するということでしたので、百分率では3%となります。


 スタチンを10年間飲むと30%(約3分の1)の「相対」リスク低下があるので、「3人中の3分の11人」の「1人の発症を予防できる」ことになります。
 



 100人中1人予防できるということは、絶対リスクは1%低下するということになります。


 「絶対リスク」的にはたった1%なのです。


 心筋梗塞に脳梗塞を加えても約5人(5%)でしたので、その3分の1は2%未満です。
 



 この、100分率での「絶対リスク」の低下値の逆数を取ると、「何人を治療したら1人の発症を予防できるか」の「何人」であるかの人数値となります。


 これを必要治療人数(number needed to treat: NNT)と呼びます。


 1%は1/100ですので、この逆数をとると、必要治療人数は100人(10年間)となります。


 100人を10年間薬を飲んでやっと1人の発症予防となるのです。

 

沖縄はもうすぐ海開き

 

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