皆様こんにちは。総合診療医からの健康アドバイスの時間です。やりました。昨日の WBC 一次リーグのオーストラリア戦は二回に一点を取られてヒヤヒヤしましたが、中田選手や筒香選手のホームランなどで逆転し、4-1で勝利。これでほぼ二次リーグが決定しました。二次リーグのオランダは強いですから、まだまだヒヤヒヤが続きますね。では本題へ。
前回お示ししたように、薬を飲むと「相対リスク」の低下でみると確かに30%下がるといえます。
しかしながら、リスクの評価は「絶対リスク」で行うべきです。
というのは、「相対リスク」では、A子さんの「リスクは元々どの程度なのか」という条件を考慮していないからなのです。
では、「絶対リスク」でA子さんのリスク評価をやってみましょう。
元々のリスクは、100人を10年間フォローしたときに、約3人の心筋梗塞が発症するということでしたので、百分率では3%となります。
スタチンを10年間飲むと30%(約3分の1)の「相対」リスク低下があるので、「3人中の3分の1=1人」の「1人の発症を予防できる」ことになります。
100人中1人予防できるということは、絶対リスクは1%低下するということになります。
「絶対リスク」的にはたった1%なのです。
心筋梗塞に脳梗塞を加えても約5人(5%)でしたので、その3分の1は2%未満です。
この、100分率での「絶対リスク」の低下値の逆数を取ると、「何人を治療したら1人の発症を予防できるか」の「何人」であるかの人数値となります。
これを必要治療人数(number needed to treat: NNT)と呼びます。
1%は1/100ですので、この逆数をとると、必要治療人数は100人(10年間)となります。
100人を10年間薬を飲んでやっと1人の発症予防となるのです。
沖縄はもうすぐ海開き
待望のシリーズ第三弾!テレビや新聞より早いグローバルな情報や科学的に正確なエビデンスに基づき、サプリなどの宣伝なしの信頼性の高い中立な情報をお届けします。キンドル版「知っておくと役に立つ最新医学2017(ノンフィクション)」こちらいかがでしょうか。
科学的根拠に基づく最新医学情報とグローバル・スケールでの先端医学のホットな話題を提供し、わかりやすく解説します。メルマガ「ドクター徳田安春の最新健康医学」。2016年のメルマガまぐまぐ大賞「健康」部門5位に選ばれました。
迅速・的確なトリアージができる!ナースのための臨床推論 [単行本] [2016] 徳田安春、こちらナースの皆様はもちろん、これからナースを目指す方、看護の情報を知りたい方にもどうぞ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます