演劇知

劇的考察譚

演出ノートとは2

2011-11-09 12:39:21 | Weblog


演出ノート。各役者へ思ったことをメインキャスト中心に書きます。各人の意見や感想は完全にわたしの主観なので、本人の意思とは異なる場合がありますが、そこはあしからず。

人数が多いのでとりあえず前半戦。


○小林知未
今回の主役ワタシを託す。主役に抜擢したのは外部で演劇をし、昔持っていた純粋さと演劇に対する反骨心の丁度中間で揺らいでいたから。その荒い部分を見たいという気持ちと、かつての気持ちをまた取り戻して貰おうと思った。見た目、演技共に可愛らしいので「擦れた」ことが出来るかを試してもらった。本人も大分悩んだ様子。結果「擦れる」というよりも「塞ぎこむ」になってしまったかなとも思う。基本器用。他にダメだしするところが多々あったので、彼女には少々のことしか言っていなかったが、それでもそこから答えをつむぎ出してくれた。マッチアップした相手が良かったので、今後はその位置に彼女がついて欲しい。

○中川由紀子
亀をお願いする。物語のキーであり、説得力を要する役。今回の配役を見た時に中川さんしかいないと思った。キャラクターに説得力があるのは、人間の質が良いから。故に嘘臭くない。中川さんはact orchを愛してくれています。稽古以外のところでももっと愛して、逆に皆も中川さんを愛してくれたら、中川姉さんの真の実力が見れたのにと残念。踊りを危惧していたが、ちゃんと踊れていたよ。

○畔彩音
幹部東雲。課題として与えたのは個性0の役とどう向き合うか。そして独特の芝居ではなく、複数人いる中でバランスを取り、且つ印象に残るにはどうすればいいかというもの。基本的に学年が上がれば上がるほど要求するものは高くなる。外部でも活動する彼女のあがきっぷりをもっと見たかった。本人も反省していたが、バスチームをもっと客観的に見ることが出来れば、自分に何が求められているか分かると思います。

○犬井のぞみ
象・銀行員有明。本人には言わなかったが、銀行のシーンは前回の「lab~再開発~」のこんとシーンの焼き直し。ボケポジションをお願いする。今回のメンバーの中で自由に、コミカルに、コケテッシュに動けるのは犬井さんだけだと思う。前回の「report01」では演技の印象が薄いということを実は思っていたが、今回はそれも解消。その背景にはこの数年間で彼女が体験した人生の苦しい部分があったからであると勝手に推測。真剣なシーンでの真剣さがもっと欲しい。

○㈱ゆとり
幹部常盤。「芝居がしたいです」という熱い気持ちで今回飛び込んでくれる。消息不明の時期もあったので大丈夫かなとも思ったが完全復帰。というより昔以上にアクが濃くなった。課題としてはやはり無味の役をどう扱うかにあったが、お母さんキャラとして作り上げた。が、その結果日常においてもお母さん気質が紛れ込むことに。ダンスに苦労していた姿があったが、その分頑張っていたように思える。あと発声もっと頑張れ。

○田中翔太
タクシー運転手古石場。初参戦。日常も芝居をしている姿も全く見たことがなく、写メでみる容姿でひとまずタクシードライバーに。当初は40歳の疲れたおじさんをイメージしていたタクシードライバーだが、彼の演技を見て、線の細い青年タクシードライバーに変更。声先行の演技をする傾向にあるので体がついてくるともっと舞台上で自由に動けると思います。

○吉田有里
象・銀行員平野。この子はわたしが教育実習の頃からずっと見てきているが、未だにつかめない。客演している姿やact orchの姿を見ているが、完全にはまった役というのはまだないのではないかという気がする。本人が下手というわけではなく、個性の使い所として。平野も象もちょいちょいネタを入れてくる。犬井のそれとは違って引きのネタなので見ていてバランスが取れて面白い。

○黒澤匠雅
幹部扇橋兄。稽古回数少ないact orch、更にその最短回数で本番に立った伝説の男。が、基本器用な役者なのだろう、合わせることに長けていた。またスロースターターで演出指示で出した「プラプラ」「ロック」が稽古初回でとんでもないことになっていたが、日数(彼の場合は回数ではなく日数なのだ)を重ねるごとにどんどん良くなっていった。個性は前回の「OWL」で完全にその使い方が分かった。なお、彼がいると内田がはしゃぐ。

○杉田里美
幹部冬木。ダンス隊長の一人、そしてバスチームのリーダー。幹部の中でも実務に長けているという設定。それもずばり彼女の普段を見ているから。頑張り屋。個別シーンに一早く危機感を覚え早々に自主練を行う。その結果他のチームも向上させることが出来た。感謝。演技を練れば練るほど小物感が出てきてしまう困ったさん。台詞は抑揚のコントロールが上手い。あと酒が強い。

○すはらゆうこ
幹部青海。現役で活動をする彼女には基本これまでやってこなかった役を与えています。今回は不気味な幹部というわりととらえどころ無く、かつやりがいのある役を与えたのですが、前半揮わず。杉田と同様小物感が出やすい演技。が、終盤で突如進化し、妖精もといゾンビ青海を生み出す。窮地に立たされることでようやく爆発出来るタイプ。それが前半に出来れば、団体の中でもっと歯車になれるはず。

○曽我明希
予言者ドンペン。メインキャストの中で誰よりも己の役に潜ったであろう人。ペンギン役だけにね。その努力は言うまでもなく。性格や性質を技術で構築する傾向にあるのか(それが果たして今回だけなのか?)、稽古中盤は凄く辛そうに見えた。基本真面目な性格の彼女にふざけた大人ペンギン役を与え、舞台上で「自由に」動いて欲しかったが、その結果ははてさて。本番で是非竹田氏をぶん殴って欲しかった。

○波野平遼
ペットショップ店員猿江。ドンペンのパートナーにして現実世界との繋ぎ役、果ては賑やかし役とまぁ大変な役回りを与える。「report01」から共に舞台を踏んできて彼の使い方、見せ方が分かってきて、今回の亀井戸ではここまでの総括として役を演じられたのではないだろうか。本番台詞につまるも、流れを優先し己の見せ場を消したのは流石劇作演出目線。稽古中盤の「なべさん、オカマにしていいですか?」でオカマに決定。

○菊地祥子
影・蛇。「lab~再開発~」では実はルーキーとして位置づけ扱っていた。今回は一つ上の成長、団体の中堅になってもらうべく配置。基本素直な性格なので、シーンに内在するテーマをもっとメタフォリカルに感じることが、そして扱うことが出来ればもっと上手くなる。後、キャラクターをもっと頑張れ。既成の焼き直しではなく、あなたでしか出来ないことを見たい。情熱を転換出来る技術を。

○西脇千江子
店員住吉。lab初参戦。外部で芝居をしていたがそれを見る限り、演技してますオーラ全開で演技をするタイプ。見飽きたわたしはストレートで味が無く、悲劇のヒロインとして存在する同年代の女性として出てもらう。役の個性の出し方の引き出し数がもっと多くなればよいなと思った。ダンス隊長の一人として後輩を良く指導してもらった。また先輩も良く指導してもらった。

○安助るり
幹部毛利。小林と同様、またはそれ以上に可愛いと思える芝居をこれまで見てきた。現役で表現の場にいる彼女のダークサイドが見たく爆弾魔という役を与える。どうなるか楽しみであったが、想像以上に良く、今回良い意味で期待を裏切られた人No1である。これも外部活動があってこそのこと。本人も学生時代では絶対に出来なかったと言っていた。役者の成長を見た人物の一人であった。稽古序盤でつけてきたタモさん眼鏡が凄い。

○内田直斗
幹部扇橋兄。イカつい見た目、逞しい体をしている彼だが性格は温厚。その性格と反対の役を与えたが、予想通りカッコいい台詞回しを見せてくれた。早い台詞回しが特にカッコいい。基本人数が揃わないドンキホーテチームで声を出しよく頑張ってくれていたと思う。全開公演で黒澤君と仲良くなり、それを見てチームを組ませていたが、それも相成ってか素敵な兄弟だった。体がもっと動くと良いね。




前半終了。後半の人たちも個性派ぞろいなので大変そうだ。

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