平成22年7月14日に弁護士会館で開催された会期合同研究の全体討議第2部では,労働審判の実演型企画が行われました。
その中で白石部総括判事は,解決金の額等に関し,以下のようなコメントをしています。
① まず,解雇や雇止めが有効か否かの審判委員会の判断,それが訴訟で維持されるか否かの見込み(ある程度明確な解雇無効の事案か,限界事案か)が最も重要な判断要素である。
そして,就労期間の長短(例えば,数か月しか稼働していない場合と,10年以上稼働して会社に貢献をしてきた場合とで,同じ事由による解雇でも,調停における解決金の額が異なることも当然であろう。),再就職の見込み,双方の落ち度や問題点の有無・程度等,具体的な給料の額,労働者の家族を含めた現在の生活状況,会社の支払能力等の諸般の事情を総合考慮する。
② 本件においては,解雇無効が明確な事案と言いうるが,労働者側にも問題点が指摘できること,解雇から3か月半で解決に至り,再就職も予想されており,解雇予告手当(1か月分)や雇用保険の支払もされていること等からすると,給料の5か月分の150万円の解決金という調停案も,考えられる幅の範囲内にあると思う。
③ 解雇事案の解決金については,一般的に訴訟より労働審判の方が低額である。
これは,正式裁判を行わずに(その意味で,時間と費用をかけずに),早期に紛争が解決されるという労働審判のシステムからして,納得できるのであろう。
①が重要なのは当然であり,まずは①をよく検討すべきことになります。
その上で,②③を分析してみると,同じような事案であれば(同じような解雇がなされた場合であっても),早期に解決した事案の方が,解決金の金額が低額になる傾向にあることが分かります。
③は,一見,労働審判の方が解決金の金額が低額になると言っているようにも思えますが,訴訟の場合であっても,早期解決した場合は,労働審判と余り変わらないでしょう。
重要なのは,解雇からどれだけの時間が経っているのかという点です。
裁判所は,既発生のバックペイの金額を念頭に置きながら,妥当な解決金の金額を検討しているものと思われます。
したがって,使用者としては,負け筋の事案においては,できるだけ早期に調停・和解を成立させる努力をすべきことになります。 弁護士 藤田 進太郎
その中で白石部総括判事は,解決金の額等に関し,以下のようなコメントをしています。
① まず,解雇や雇止めが有効か否かの審判委員会の判断,それが訴訟で維持されるか否かの見込み(ある程度明確な解雇無効の事案か,限界事案か)が最も重要な判断要素である。
そして,就労期間の長短(例えば,数か月しか稼働していない場合と,10年以上稼働して会社に貢献をしてきた場合とで,同じ事由による解雇でも,調停における解決金の額が異なることも当然であろう。),再就職の見込み,双方の落ち度や問題点の有無・程度等,具体的な給料の額,労働者の家族を含めた現在の生活状況,会社の支払能力等の諸般の事情を総合考慮する。
② 本件においては,解雇無効が明確な事案と言いうるが,労働者側にも問題点が指摘できること,解雇から3か月半で解決に至り,再就職も予想されており,解雇予告手当(1か月分)や雇用保険の支払もされていること等からすると,給料の5か月分の150万円の解決金という調停案も,考えられる幅の範囲内にあると思う。
③ 解雇事案の解決金については,一般的に訴訟より労働審判の方が低額である。
これは,正式裁判を行わずに(その意味で,時間と費用をかけずに),早期に紛争が解決されるという労働審判のシステムからして,納得できるのであろう。
①が重要なのは当然であり,まずは①をよく検討すべきことになります。
その上で,②③を分析してみると,同じような事案であれば(同じような解雇がなされた場合であっても),早期に解決した事案の方が,解決金の金額が低額になる傾向にあることが分かります。
③は,一見,労働審判の方が解決金の金額が低額になると言っているようにも思えますが,訴訟の場合であっても,早期解決した場合は,労働審判と余り変わらないでしょう。
重要なのは,解雇からどれだけの時間が経っているのかという点です。
裁判所は,既発生のバックペイの金額を念頭に置きながら,妥当な解決金の金額を検討しているものと思われます。
したがって,使用者としては,負け筋の事案においては,できるだけ早期に調停・和解を成立させる努力をすべきことになります。 弁護士 藤田 進太郎