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民事事件における裁判事務の優先順位及び対応について

2011-03-18 | 日記
 東北地方太平洋沖地震に関し,平成23年3月14日,最高裁判所事務総局民事局長・行政局長から,高等裁判所長官に対し,各庁の当面の執務上の対応の参考にするために通知された「民事事件における裁判事務の優先順位及び対応について」と題するメモの内容は,以下のとおりです。


民事事件における裁判事務の優先順位及び対応について


 本書面は,被災地における各庁が業務を再開し又は継続するに当たっての参考として作成したものである。既に各庁において業務の優先順位等の取扱いを策定している場合には,これを変更する必要はない。

第1類型
 職員が庁舎に立ち入れないなど, 執務を行うことができない場合
(対応)
 ・当該庁に所属する裁判官が一括して期日変更を行う(原則として追って指定とする。決定書の作成や当事者への告知は執務が可能となった後に行う)。
 ・地方裁判所支部又は簡易裁判所で当該庁に所属する裁判官が期日変更を行えない場合
   ① 地方裁判所支部については,本庁所属の裁判官が期日変更を行う(転補と整理)。
   ② 簡易裁判所については,裁判所法36条に基づき職務を代行する裁判官が期日変更を行う。

第2類型
 執務を行うことは可能であるが,登庁できる職員が限られるなど,執務能力が限定される場合
(対応)
 ・インフルエンザ対応の際の対応(平成22年11月11日付け最高裁総一第001419号総務局長通知「新型インフルエンザ(H5N1等)対応業務継続計画について」)を参考に,以下の優先順位に従って業務を行う。ただし,立入りに危険を伴う地域への立入りが必要な業務(執行官が行う業務等)については行わない。
   ① 事件受付及び保全事件(特に緊急性の高いもの),DV事件,人身保護事件
   ② 保全事件(①以外),執行事件(特に緊急性のあるもの),倒産事件(特に緊急性のあるもの)
   ③ 上記以外

第3類型
 通常どおり執務を行うことが一応可能な場合
(対応)
 ・当事者において期日への出頭や訴訟行為が困難であることに配慮し,担当裁判官において,期日変更や延期の措置を執るなど,柔軟な訴訟指揮を行う。

弁護士 藤田 進太郎

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法定期間の遵守等に関して配慮を要する事項(民事事件及び行政事件)

2011-03-18 | 日記
 東北地方太平洋沖地震に関し,平成23年3月14日,最高裁判所事務総局民事局長・行政局長から,高等裁判所長官に対し,各庁の執務の参考にするために通知された「法定期間の遵守等に関して配慮を要する事項」と題するメモの内容は,以下のとおりです。

法定期間の遵守等に関して配慮を要する事項


 期間の遵守に関する典型的な規定を掲げた。
 なお,被災地に居住する者が被告の場合や,交通の状況等により期日への出頭が困難な場合などには,欠席判決については慎重に対応をする必要があることに留意されたい。
 おって,これらはあくまで例示であるから,実際の執務に当たっては,具体的事案に応じ,適用可能な規定の有無等を必ず確認するよう注意されたい。
1 民事訴訟手続
 (1) 期間一般
   期間の伸長等(民事訴訟法第9 6 条)
   訴訟行為の追完( 同法第97 条)
    ※ 民事訴訟法上の期間の種類とその効果( 民事訴訟法講義案・再訂補訂版107頁以下参照)
      法定期間
        法律がその長さを定めているもの。
        形式的画一性を重視するのが法定期間である。
      裁定期間
        裁判所等が裁量によってその長さを定めるもの(例えば,同法第34条第1項,民事訴訟規則第25条,同法第79条第3項,第137条,第162条など)。
        期間設定に当たり裁判所が地域的特性や事件の特殊性を考慮にいれる余地を残す趣旨に基づくものが裁定期間である。
      不変期間
        法定期間のうちで,特に法律が不変期間と明定するものを不変期間という。
        不変期間はその遵守が強く求められ,裁判所が伸張することができない反面(同法第96条第1項ただし書),当事者の責めに帰することができない事由による徒過については一定期間に限り追完が認められる(同法第97条)点で,通常期間と異なる。
      期間の伸縮等
        不変期間を除き,法定期間は裁判所が,裁定期間はこれを定めた裁判機関が,その裁量により伸縮できるのが原則である( 同法第9 6 条第1項,同規則第38条)。
        しかし,性質上伸縮が許されない場合がある。通常期間の伸縮についての裁量は訴訟指揮権に基づくから,その期間の経過によって,訴訟指揮とは無関係に直接法律効果が発生するような関係にある期間は,訴訟指揮によって伸縮することはできない(例えば,同法第263条,第387条,第392条など)。
        また,期間をおくことが当事者の利益でもある場合,伸張はできても短縮することはできない(例えば,同法第315条)。
        明文で伸縮を禁ずるものもある(同法第112条第3項,第97条第2項)。
        不変期間につき,裁判所は,遠隔の地に住所又は居所を有する者のために付加期間を定めることができる(同法第96条第2項)。これにより付加期間分だけ長い一つの不変期間となる。
 (2) 法定期間(不変期間を含む。)
   控訴期間(同法第285条)
   上告期間(同法第313条)
   上告理由書提出期間(同法第315条第1項,同規則第194条)
   即時抗告期間(同法第332条)
   訴えの取下げに対する同意の擬制期間(同法第261条第5項) など
 (3) 裁定期間
   訴状の補正期間(同法第137条第1項)
2 行政事件訴訟手続
 (1) 期間一般
   民事訴訟手続の例による(行政事件訴訟法第7条,民事訴訟法第96条,第97条)。
 (2) 法定期間(不変期間を含む。)
   取消訴訟(行政事件訴訟法第14条),出訴期間の定めがある当事者訴訟(同法第40条1項)及び民衆訴訟又は機関訴訟で処分又は裁決の取消しを求めるもの(同法第43条第1項,第14条)については,出訴期間内に提起しなければならないが,出訴期間内に訴えを提起することができなかったことに正当な理由があるときは,出訴期間経過後も提起することができる(ただし,公職選挙法第203条第1項,第204条,独占禁止法第77条第1項,特許法第178条第3項,地方自治法第242条の2第2項等に行政事件訴訟法第14条の特例を定める例がある。)。
   第三者の再審の訴え(行政事件訴訟法第34条)に係る出訴期間は,不変期間である(同条第3項)から,これを伸張することはできない(民事訴訟法第96条第1項ただし書)が,一定の要件を備える場合には,訴訟行為の追完(同法第97条)を認めることができる。
3 少額訴訟手続
  法定期間( 不変期間を含む。)
   少額訴訟判決に対する異議申立期間(同法378条第1項)など
4 支払督促
  法定期間( 不変期間を含む。)
   仮執行宣言前の異議申立期間(同法第387条,第391条第1項)
   支払督促の失効期間(同法第392条)
   仮執行宣言後の異議申立期間(同法第393条)など
5 民事保全手続
 (1) 期間一般
   民事保全手続に関しては,特別の定めがある場合を除いて,民事訴訟法の規定が準用される(民事保全法第7条)ことから,民事保全手続に関する期間の規定についても,期間の伸長等(民事訴訟法第9 6 条),訴訟行為の追完( 同法第9 7 条)の
規定が準用される場合がある。
 (2) 法定期間( 不変期間を含む。)
   保全命令申立てを却下する裁判に対する即時抗告期間(民事保全法第19条第1項)
   保全抗告期間(同法第41条第1項)など
 (3) 裁定期間
   保全命令の担保を立てるべき期間(同法第14条第1項)
   保全異議の申立てにおいて決定をするための担保を立てるべき期間(同法第32条第2項)
   担保権利者に対して権利行使をすべき旨の催告期間(民事訴訟法第79条第3項)など
6 保護命令(DV)手続
 (1) 法定期間(不変期間を含む。)
   即時抗告期間(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律第21条による民事訴訟法第332条の準用)
 (2) 裁定期間
   主張書面提出期間(配偶者暴力に関する保護命令手続規則第4条第1項)など
7 労働審判手続
  法定期間(不変期間を含む。)
  労働審判に対する異議申立て期間(労働審判法第21条)
  即時抗告期間(同法第28条)
8 民事調停手続
 (1) 期間一般
   民事調停手続に関しては,特別の定めがある場合を除いて,非訟事件手続法第一編の規定が準用され(民事調停法第22条),非訟事件手続法においては,期間について民事訴訟法の規定が準用される(非訟事件手続法第10条)ことから,民事調停手続に関する期間の規定についても,期間の伸長等(民事訴訟法第96条),訴訟行為の追完(同法第97条)の規定が準用される場合がある。
 (2) 法定期間(不変期間を含む。)
   調停に代わる決定に対する異議申立期間(民事調停法第18条第1項),即時抗告期間(同法第21条)など
9 非訟手続
 (1) 期間一般
   非訟事件の手続の期間に関しては,民事訴訟法の規定が準用される(非訟事件手続法第10条)ことから,期間の伸長等(民事訴訟法第96条),訴訟行為の追完(同法第97条)の規定が準用される場合がある。
   抗告期間経過後の追完の規定もある(非訟事件手続法第22条)。
 (2) 法定期間(不変期間を含む。)
   即時抗告期間(同法第25条による民事訴訟法第332条の準用,借地借家法第48条第1項)など
10 執行手続
 (1) 期間一般
   民事執行手続に関しては,特別の定めがある場合を除いて,民事訴訟法の規定が準用される(民事執行法第20条)ことから,民事執行手続に関する期間の規定についても,期間の伸長等(民事訴訟法第96条),訴訟行為の追完(同法第97条)の規定が準用される場合がある。
 (2) 法定期間(不変期間を含む。)
   執行抗告期間(民事執行法第10条第2項)
   剰余を生ずる見込み又は優先債権を有する者の同意の有無の証明期間(同法第63条第2項)
   売却の見込みがない場合の売却実施申出期間(同法第68条の3第2項)
   引渡命令申立期間(同法第83条第2項)
   配当異議の訴え等を提起したことの証明書等の提出期間(同法第90条第6項)など
 (3) 裁定期間
   配当要求終期(同法第49条第1項)
   代金納付期限(同法第78条第1項,民事執行規則第56条第1項)
   入札期間(同規則第46条)
   特別売却期間(同規則第51条第1項)など
11 破産手続
 (1) 期間一般
   破産手続に関しては,特別の定めがある場合を除き,民事訴訟法が準用される(破産法第13条)ことから,破産手続に関する期間の規定についても,期間の伸張等(民事訴訟法第9 6条),訴訟行為の追完(同法第97条)の規定が準用される場合がある。
 (2) 法定期間(不変期間を含む。)
   即時抗告期間(破産法第9条,民事訴訟法第332条)など
 (3) 裁定期間
   債権届出期間(破産法第31条)など
12 民事再生手続
 (1) 期間一般
   民事再生手続に関しては,特別の定めがある場合を除き,民事訴訟法が準用される(民事再生法第18条)ことから,民事再生手続に関する期間の規定についても,期間の伸張等(民事訴訟法第96条),訴訟行為の追完(同法第97条)の規定が準用される場合がある。
   再生債権者がその責に帰することのできない事由によって裁判所の定めた届出期間内に届出をすることができなかった場合の届出の追完に関する規定(民事再生法第95第条1項)もある。
 (2) 法定期間(不変期間を含む。)
   即時抗告期間(同法第9条,民事訴訟法第332条)など
13 会社更生手続
 (1) 期間一般
   会社更生手続に関しては,特別の定めがある場合を除き,民事訴訟法が準用される(会社更生法第13条)ことから,会社更生手続に関する期間の規定についても,期間の伸張等(民事訴訟法第96条),訴訟行為の追完(同法第97条)の規定が準用される場合がある。
   更生債権者等がその責に帰することのできない事由によって裁判所の定めた届出期間内に届出をすることができなかった場合の届出の追完に関する規定(会社更生法第139条)もある。
 (2) 法定期間(不変期間を含む。)
   即時抗告期間(同法第9条,民事訴訟法第332条)など
14 民事実体法
 (1) 民事法
   民法第161条に,天災その他避けることができない事変のため時効を中断することができないときは,その障害が消滅した時から2週間を経過するまでの間は時効は完成しないという規定がある。
 (2) 商事法
   不可抗力による手形呈示期間の伸長(手形法第54 条,小切手法第47条等)など

弁護士 藤田 進太郎

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労働問題FAQ Q22~25改訂

2011-03-18 | 日記
労働問題FAQのQ22~25を改訂しました。


Q22紛争調整委員会から,「あっせん開始通知書」が会社に届きました。どのように対応すればいいでしょうか?

Q23労働審判制度の主な特徴はどのようなものですか?

Q24「労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告状」や「労働審判手続申立書」などが裁判所から会社に届きました。労働審判を申し立てられた使用者の主な注意事項はどのようなものですか?

Q25労働審判手続において調停が成立しなかった場合は,どうなるのですか?


弁護士 藤田 進太郎

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