事業場外みなし労働時間制とは
労働者が 労働時間の全部または一部について事業場施設の外で業務に従事した場合に, 労働時間を算定するのが難しいときは,所定労働時間だけ労働したものとみなす制度のことを言います。
この二つの要件が認められた場合には,労基法上の立て付けとして,原則として,① (当該業務を遂行するために,通常,所定労働時間を超えて労働する必要がない場合は)所定労働時間を労働したものとみなされます(「所定労働時間みなし」)が,例外として,② 当該業務を遂行するために,通常,所定労働時間を超えて労働する必要がある場合には,当該事業場外での業務の遂行に通常必要とされる時間を労働したものとみなされる(「通常必要時間みなし」)という構造を一応は取っています。
通常必要時間とは,通常の状態で当該業務を遂行するために客観的に必要とされる時間を言いますが,もし通常必要時間を労使協定で締結した場合には適正な手続きに則っている限りそこで定められた時間が通常必要時間となります。
しかし,ここで注意が必要な点があります。それは,労基法の条文を見る限り,使用者は,所定労働時間みなしが適用されるのが当たり前(原則)と考えがちですが,現実問題として多くの会社では,条文上は例外として定められいてる「通常,所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合」に該当するケースがあるということです。前記との要件を満たしたとしても,通常必要時間みなしと判断された場合には,そのみなし時間が労働時間であると判断されることになるので注意が必要です。
そこで,使用者は,前記との要件に加えて,当該事業場外での業務を遂行するために,通常,所定労働時間を超えて労働する必要がある場合に該当するのかを見極める必要があります。
まとめると以下のようになります。
労働時間の全部または一部について事業場施設の外で業務に従事した場合
労働時間を算定するのが難しいとき
↓
① 当該業務を遂行するために,通常,所定労働時間を超えて労働する必要がない場合
→所定労働時間を労働したものとみなされる(「所定労働時間みなし」)
② 当該業務を遂行するために,通常,所定労働時間を超えて労働する必要がある場合
→当該事業場外での業務の遂行に通常必要とされる時間を労働したものとみなされる(「通常必要時間みなし」)
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