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労組法上の「使用者」

2013-12-23 | 日記

「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なくて拒むこと。」(労働組合法7条2号)は,不当労働行為の一つとして禁止されていますが,「使用者」とは雇用主のみを指すのですか?

 「使用者」の判断基準としては,朝日放送事件最高裁第三小法廷平成7年2月28日判決が,「雇用主以外の事業主であっても,雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ,その労働者の基本的な労働条件等について,雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配,決定することができる地位にある場合」には,その限りにおいて,右事業主は同条の「使用者」に当たるものと判示しています。
 つまり,雇用主でなくても,基本的な労働条件等について雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配,決定することができる地位にある場合には,当該労働条件等との関係に限っては,「使用者」に該当することになります。

 近時の中労委は,労組法上の使用者性を,以下の基準を用いて判断しています(「労組法第7条の使用者性を判断するための一般的な法理」)。
 労組法7条は,労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進するために,労働者が自主的に労働組合を組織し,使用者と労働者の関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること,その他の団体行動を行うことを助成しようとする労組法の理念に反する使用者の一定の行為を禁止するものであるから,同条にいう「使用者」は,「同法が上記のように助成しようとする団体交渉を中心とした集団的労使関係の一方当事者としての使用者」を意味し,
 ① 労働契約上の雇用主
が基本的にこれに該当するものの,必ずしも同雇用主に限定されるものではなく,雇用主以外の者であっても,例えば,
 ② 当該労働者の基本的な労働条件等に対して,雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有しているといえる者
 ③ 当該労働者との間に,近い将来において雇用関係の成立する可能性が現実的かつ具体的に存する者
もまた雇用主と同視できる者であり,労組法7条の「使用者」と解すべきである。

弁護士法人四谷麹町法律事務所

弁護士 藤田進太郎

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