さて「ブラック・レイン」の続きです。
アンディ・ガルシアとメンチの切り合いをする俺(平成元年11月号のロードショー誌より)
「ブラック・レイン」のこのシーンを観てもらえばわかると思うけど
俺はマイケル・ダグラスとアンディ・ガルシアのほんま至近距離を走っているのです。
何回目かのリハーサルの時、チャーリー(アンディ・ガルシア)が
アドリブなのか監督の演出なのかはわからんけど
手に持っていたカバンを振りまして俺のバイクを攻撃してきたのです!
こんな滑る路面で安定感のないバイクに攻撃されたら転倒しかねない! 危ない!
そんな危険性をボビーに伝えないといけないことも知らなかった俺は
気の利いたアドリブもフォローもできずにカバンを蹴り返したりしてたのです。
アクションシーンで“危険”と思ったことは
すぐにアクション監督に伝えなければならない。
事故が起こってしまう前に。
当時の俺はまだまだプロの現場の経験不足で、アクション映画業界のド素人でした。
結局カバンを振り回したり蹴っているところはカットされてたけど
あのシーンのアンディ・ガルシアの演技はチャーリーになりきってるし
その後のシーンで“ナシダ”の挑発にのって惨殺されてしまうチャーリーのキャラクターを象徴する見事な演技ですね。
マイケル・ダグラスの睨みも凄みがあったわ~
バイクでただ走るだけではなく
2人に向かって“日本語で何か汚い言葉を発して挑発して下さい”という指示もあったので
暴走族のみんなは思い思いのアドリブで
「どかんかい!われ~!」 「しばくぞ!こら~!」」
「外人やと思ていきんなよ!」 「なめとんのか外人~!」
と思いっきりガラの悪いコテコテの“大阪弁”で挑発したりもしました。
でも完成した映画を観るとこのシーンの暴走族の声は一部はそのまま使われているけど
ほとんどカットされて吹き替えになってたのでちょっと驚いきました。
俺のドアップが2カットあって、撮影の時は
「おらおらおら~」「おらおらどかんかい~」とか言ってたはずなのに
映画を観ると
「ホウホウホウ」か「フォッフォッフォッ」って変な奇声にアフレコされてたので変な感じでした。
アメリカの声優さんの声なのかな?
モミアゲをつけた(つけられた)俺の風貌が“猿”っぽいのでこんな奇声をアフレコされたなのかな?
しかしこのモミアゲをつけた“ジャパニーズモンキー”の俺がこのシーンで一番、アップが多いのよ。
リドリー・スコット監督に気に入られたのかも(笑)
予告でもこのシーンは使われてるし、予告にも俺のアップもちょっとだけ出てきます。
2人の周りをクルクル回ったり、カメラ目線でカメラの周りをクルクル回ったり、
ローアングルから撮られたり、ワイドで撮られたりといろんなカットを撮られました。
リハーサルなのか本番なのか、正直よくわからないくらい何度も何度も走り回りました。
路面が乾いてくると散水車で何回も水を撒くのでその度にタイヤがツルツル滑ってちょっと怖かったです。
撮影は23時くらいから始まって翌朝方まで続きました。
でも疲れたとかしんどいなんて全く思わなかった。楽しくて楽しくてしょうがなかった。
このシーンの撮影だけで2日間(2晩)かかりました。
映画の中では1分ちょっとしかないシーンなのにね。
やっぱりハリウッド大作は時間と金のかけ方が違う!
つづく・・・次回「ブラック・レイン」~いよいよ感動の(?)最終回!~お楽しみに!
最新の画像[もっと見る]
「ブラック・レイン」は日系アメリカ人俳優がたくさん出ておられるようで
ところどころでイントネーションが変な日本語が出てきますね。
変な“漢字”もおもろかったですね。クラブミヤコには「諸行無常」とか書いてあったし・・
もうそれで脳内再生されてます!!
その裏側で支えるスタッフの苦労なんかを考えながら観るとおもろいです。
「このカット、どうやって撮ってんやろ?」
「撮影たいへんやったやろな~」 とかね。
でも最近の映画はなんでもかんでもCG、VFX・・・背景も血しぶきも。
コンピューター合成が主流なようで
現場もたいへんやろうけどCGクリエーターの苦労が多いんじゃないかな。
ほんま映画も変わってきたねー。
確かに、フォフォって声出して、なんでフォフォフォなんやろって思ってた^^
そういえば、口とあってなかったような。
そのまま、オラオラ~しばくど~が良かったなァ アレンジされたんやね。
わずか数分のシーンにも2日ですか… 情熱とコダワリやね。重みを感じます。
改めて、映画見直してみたくなったわ
こういう背景を教えてもらってみたらまた違って見れるね。