前回の続き 「ブラック・レイン」 ~オーディション編~
バイクのことがよくわからない人にはちょっと理解しにくいと思いますが・・・
それにまた長文になってしまったので興味のある人だけ読んでください。
俺が受けたオーディションは“暴走族”役ということでした。
オーディションを受ける段階までは詳しい内容は全く知らされず
オーディション会場に“バイクを持っている人はバイクに乗って来なさい”
ということだけ連絡を受け、
当時乗っていた『ヤマハFZ400N』でオーディション会場に乗りこんだ。
ヤマハFZ400N(1985年式)
〔車体カラーは赤やったけど缶スプレーでガンメタに塗った。アンダーカウルはRZ250R用。〕
オーディション会場の場所ははっきりとは憶えていないけど
大阪市北区か福島区あたりのだだっ広~い更地で
いまのスカイビルやウエスティンホテルがあるあたりやったと思う。
更地なので地面はアスファルトではなく砂地でところどころ小石なんかも転がっていた。
オーディション会場には30人くらいの若者が集まっており
その若者たちの所有車であろう十数台のバイクも止めてあった。
250ccや400cc、750ccもあった。
その時は俺はまだ中型免許しか持っていなかったので
750cc(ナナハン)に跨ってる奴を見て
「あいつ大型免許持ってるんか・・・負けたわ・・」とちょっと弱気にもなったりした。
※当時は自動二輪大型免許は現在のように誰もが教習所で簡単に取得することができなかったため
運転免許試験場での一発試験に合格した者のみが取得できたのだ。
その合格率は10%未満ともいわれるくらい超難関で自動二輪大型免許所得者は
中免ライダー達から崇拝され、憧れと尊敬と嫉妬の対象であった。
ちなみにこのオーディションのすぐあとに俺も自動二輪限定解除(大型二輪)取得しました。
数人の日本人スタッフと外人スタッフがいて
その中でプロレスラーのような大柄の白人がいた。
その大柄な白人のこそがスタントコーディネーターのボビー・バースだった。
MAー1にジーパン、アポロキャップを被り
いかにもアメリカの“スタントマンの親分”って感じで渋かった。
その時はボビー・バースのことは全く知らなかったけど
ハリウッドでも有数のスタントコーディネーターらしい。
そんなボビーがオーディションの説明を始めた。
もちろん英語で。通訳の人が日本語で訳してくれるのだが
ボビーは身振り手振りのジェスチャーや“擬音”が多いので
だいたい何が言いたいのかは理解できた。
「あなた達のバイクテクニックを見せてもらいます。
私の周りをバイクでグルグル回って下さい、スピードは出さずゆっくりと。
危険だと思ったら足をついてもOKです。」
オーディションが始まり、一人ずつ、ボビーの周りをグルグル走る。
バイクを持っていない人は他の人のバイクを借りて乗っていた。
俺も他人に自分のバイクを貸すのはいややったけど
2、3人に自分のバイクを貸してあげた。
地面が砂地なので車体を倒しすぎたり、アクセルを開けすぎると
タイヤがズルッ!っとスベってしまうのでなかなか難しい。
何人か転倒していた奴もいた。
俺の順番がやってきた。緊張はしていたものの実はちょっと自信もあったのだ。
オフロードバイクで淀川河川敷を走り回っていたしFZでも公園などの砂地で
タイヤを滑らすテクニックはけっこう練習していたのだ。
その甲斐あって俺はなかなかうまくボビーの周りをグルグル走れたと思う。
グルグル回るテストが全員終わり
数人だけがボビーに指名されて、もう一度、別のテストをすると言うのだ。
俺も指名された。
今度はもう少し高度なテクニックだった。
ボビーは“擬音”と大きなジェスチャーで
「ギュルギュルギュルーーー!」「ブォーーーン!」「キキーーー!」「ザザーーー!」っと説明する。
ホイールスピンさせて急発進、そして急ブレーキで止まれと言うのだ。
俺はオフロードバイクではやったことのあるテクニックだったけど
FZではそんなことはやったことがない・・できるかな・・と不安やったけど
本番、思いきってアクセルを開けクラッチを繋いだ!
「ギュルギュルギュルーーー!」「ブォーーーン!」「キキーーー!」「ザザーーー!」 バッチリ決まった。
自分でも正直驚いたわ。
ちょっと“まぐれ”気味で出来てしまった。
ボビーは満足そうな表情をしていた。
(こんな感じでオンロードバイクを砂地に乗り入れて練習していた経験が役に立った。
この写真は海の近くで遊んでた時のもの、普段は海パン、ビーサンではバイクには乗っていませんよ)
バイクの実技テストが終わり、全員だったかどうか忘れたけど写真を数枚撮られた。
ボビーが
「あなた達のバイクテクニックは理解しました。
バイクの大きさ、タイプもちゃんと考慮しています。
今日は監督のリドリー・スコットはここにはいませんが
最終判断はすべてリドリーがします」ということだった。
要するにボビーがバイクテクニックを判断してリドリーが写真を見て決めると言うのだろう。
俺はこの時点では「まあいけたやろ。合格やろ。」と思っていたのだが・・・
最後にスタッフの人が
「このオーディションは東京、名古屋、京都でも行います(行いました、やったかな)
その中で8名だけを選考してキャスティングします。」と言うのだ。
「ええ~っ!たった8人だけ?
今日この大阪だけでも30人くらいおるやん・・
東京、名古屋、京都っていったい全部で何人おるねん?
100人以上はおるんやろなー、もっと上手いやつばっかりやろなー」
やっぱり俺はあかんかなーっと不安になっていたけど
後日、めでたく「オーディションに合格しました」と電話がありました。
つづく・・・次回「ブラック・レイン」~衣装合わせ編~
バイクのことがよくわからない人にはちょっと理解しにくいと思いますが・・・
それにまた長文になってしまったので興味のある人だけ読んでください。
俺が受けたオーディションは“暴走族”役ということでした。
オーディションを受ける段階までは詳しい内容は全く知らされず
オーディション会場に“バイクを持っている人はバイクに乗って来なさい”
ということだけ連絡を受け、
当時乗っていた『ヤマハFZ400N』でオーディション会場に乗りこんだ。
ヤマハFZ400N(1985年式)
〔車体カラーは赤やったけど缶スプレーでガンメタに塗った。アンダーカウルはRZ250R用。〕
オーディション会場の場所ははっきりとは憶えていないけど
大阪市北区か福島区あたりのだだっ広~い更地で
いまのスカイビルやウエスティンホテルがあるあたりやったと思う。
更地なので地面はアスファルトではなく砂地でところどころ小石なんかも転がっていた。
オーディション会場には30人くらいの若者が集まっており
その若者たちの所有車であろう十数台のバイクも止めてあった。
250ccや400cc、750ccもあった。
その時は俺はまだ中型免許しか持っていなかったので
750cc(ナナハン)に跨ってる奴を見て
「あいつ大型免許持ってるんか・・・負けたわ・・」とちょっと弱気にもなったりした。
※当時は自動二輪大型免許は現在のように誰もが教習所で簡単に取得することができなかったため
運転免許試験場での一発試験に合格した者のみが取得できたのだ。
その合格率は10%未満ともいわれるくらい超難関で自動二輪大型免許所得者は
中免ライダー達から崇拝され、憧れと尊敬と嫉妬の対象であった。
ちなみにこのオーディションのすぐあとに俺も自動二輪限定解除(大型二輪)取得しました。
数人の日本人スタッフと外人スタッフがいて
その中でプロレスラーのような大柄の白人がいた。
その大柄な白人のこそがスタントコーディネーターのボビー・バースだった。
MAー1にジーパン、アポロキャップを被り
いかにもアメリカの“スタントマンの親分”って感じで渋かった。
その時はボビー・バースのことは全く知らなかったけど
ハリウッドでも有数のスタントコーディネーターらしい。
そんなボビーがオーディションの説明を始めた。
もちろん英語で。通訳の人が日本語で訳してくれるのだが
ボビーは身振り手振りのジェスチャーや“擬音”が多いので
だいたい何が言いたいのかは理解できた。
「あなた達のバイクテクニックを見せてもらいます。
私の周りをバイクでグルグル回って下さい、スピードは出さずゆっくりと。
危険だと思ったら足をついてもOKです。」
オーディションが始まり、一人ずつ、ボビーの周りをグルグル走る。
バイクを持っていない人は他の人のバイクを借りて乗っていた。
俺も他人に自分のバイクを貸すのはいややったけど
2、3人に自分のバイクを貸してあげた。
地面が砂地なので車体を倒しすぎたり、アクセルを開けすぎると
タイヤがズルッ!っとスベってしまうのでなかなか難しい。
何人か転倒していた奴もいた。
俺の順番がやってきた。緊張はしていたものの実はちょっと自信もあったのだ。
オフロードバイクで淀川河川敷を走り回っていたしFZでも公園などの砂地で
タイヤを滑らすテクニックはけっこう練習していたのだ。
その甲斐あって俺はなかなかうまくボビーの周りをグルグル走れたと思う。
グルグル回るテストが全員終わり
数人だけがボビーに指名されて、もう一度、別のテストをすると言うのだ。
俺も指名された。
今度はもう少し高度なテクニックだった。
ボビーは“擬音”と大きなジェスチャーで
「ギュルギュルギュルーーー!」「ブォーーーン!」「キキーーー!」「ザザーーー!」っと説明する。
ホイールスピンさせて急発進、そして急ブレーキで止まれと言うのだ。
俺はオフロードバイクではやったことのあるテクニックだったけど
FZではそんなことはやったことがない・・できるかな・・と不安やったけど
本番、思いきってアクセルを開けクラッチを繋いだ!
「ギュルギュルギュルーーー!」「ブォーーーン!」「キキーーー!」「ザザーーー!」 バッチリ決まった。
自分でも正直驚いたわ。
ちょっと“まぐれ”気味で出来てしまった。
ボビーは満足そうな表情をしていた。
(こんな感じでオンロードバイクを砂地に乗り入れて練習していた経験が役に立った。
この写真は海の近くで遊んでた時のもの、普段は海パン、ビーサンではバイクには乗っていませんよ)
バイクの実技テストが終わり、全員だったかどうか忘れたけど写真を数枚撮られた。
ボビーが
「あなた達のバイクテクニックは理解しました。
バイクの大きさ、タイプもちゃんと考慮しています。
今日は監督のリドリー・スコットはここにはいませんが
最終判断はすべてリドリーがします」ということだった。
要するにボビーがバイクテクニックを判断してリドリーが写真を見て決めると言うのだろう。
俺はこの時点では「まあいけたやろ。合格やろ。」と思っていたのだが・・・
最後にスタッフの人が
「このオーディションは東京、名古屋、京都でも行います(行いました、やったかな)
その中で8名だけを選考してキャスティングします。」と言うのだ。
「ええ~っ!たった8人だけ?
今日この大阪だけでも30人くらいおるやん・・
東京、名古屋、京都っていったい全部で何人おるねん?
100人以上はおるんやろなー、もっと上手いやつばっかりやろなー」
やっぱり俺はあかんかなーっと不安になっていたけど
後日、めでたく「オーディションに合格しました」と電話がありました。
つづく・・・次回「ブラック・レイン」~衣装合わせ編~
何回まで続くんか分からんけど、できれば永遠に語っていてください(笑)
何回も見た。あの顔アップ。あの役をゲットするのには大変な苦労があったんやね。
オーディションなんて人生の中で受けたことないから、めっさ緊張するんやろナ。
ブラックレインってリドリースコット監督やってんね。私の好きな歴史的大作グラディエーターの監督やん。
この日記の続きが早く読みたい私です。ドキドキする。
どうも~。「ブラック・レイン」の話はあと2、3回のつもりです。
「ブラック・レイン」以外もおもろい話書きますのでまた読んで下さい。
「バトルハンター」も数回に分けて書きますよ。
>ユカジャ~。
ユカジャ、オーディションの経験ないの?
でもフランスのアニソン大会とか出てるんやろ?
リドリースコット監督のことは「ブラック・レイン」~撮影編~で後日書きます。
お楽しみに~!
またカラーリングがいいね。ガンメタ。乗ってた乗ってた^^
オーディションの苦労、当時なにげなく聞いて「すごい」って思ってたけど、話を聞くほどに「凄いっ!!」になります。
実力と運と度胸など全てが兼ね備わってたから出来たことだろうけど、
その実力を本番で100%出せたことも、
普段からの信念ある努力があればこそ、なんですよね。
努力しない人には運は引き寄せられない、らしい。(カッコイイ)
グンヘル被ってたね!