健康長寿の窓口 (タロー8の脳腫瘍闘病記改め)

2009年に乏突起神経膠腫の手術を受け15年が経過したことを機にブログをリニューアル、健康長寿の情報を発信していきます。

プロテイン摂取は何時?

2024-10-22 17:25:58 | 日記

朝タン?

新聞で某通信販売の「朝タンのススメ」なる広告を見つけました。朝タンとは、食でタンパク質を摂る、ってことを言うらしい。夕食で多く摂っても筋肉ではなく脂肪になってしまうのだそうです。

はて、

タンパク質は運動の後や寝る前が良い、って認識していましたが、朝タンのエビデンスはあるの?

新聞広告には出典が記載されていなかったので、早速、調査開始です。

 

高齢女性で実証、遺伝子レベルでメカニズム解明も

早稲田大学のプレスリリース(2021年7月7日)によると、「マウスを使った動物実験で体内時計と朝のタンパク質摂取と筋肉増加が関係していた、そして高齢女性を対象とした調査で、3食のタンパク質摂取量と骨格筋機能に相関があった」のだそうです。

体内時計は、時間遺伝子によって時間を刻み、ヒトでは1日が24時間より15~20分程度長いと考えられています。中途半端な15~20分は朝日を浴びることでリセットされるので、1日を快適に過ごし、しっかり睡眠を取って翌日に備えることができます。

マウスでの実験は、まず、①タンパク質の多い朝食、②朝夕食とも同じタンパク質量、③タンパク質の多い夕食で筋肉量を比較したら、①が多いことを確認しています。

※ タンパク質はカゼインタンパクを使い、カゼイン20%含有を多い方、3%含有を少ない方、同量はそれぞれ11.5%含有とした。(多い方を14%,少ない方は3%、それぞれ8.5%を同量としたパターンもあり)

次に、筋肉の合成を高める作用が強いアミノ酸でお馴染みのBCAA(分岐鎖アミノ酸)を加えた朝食または夕食を食べさせたところ、BCAAの多い朝食の方が筋肉量が多く、BCAA以外のアミノ酸では増加しなかったそうです。つまり、朝食でBCAAを摂ることが筋肉を増やすには大事なのだということが分かります。

続いて、DNA情報を読み取る時計遺伝子(CLOCK遺伝子)が働かないマウスと、筋肉と関係のある時計遺伝子(BMAL1遺伝子)※が働かないマウスに朝食と夕食でタンパク質を食べさせて筋肉量を比べたところ、いずれのマウスも朝食でタンパク質を摂って筋肉量が増える効果が見られず時計遺伝子が関係しているらしい、とのことです。

※ CLOK遺伝子がBMAL1遺伝子とくっつくことで筋肉形成が始まります。

さらに、朝食時にタンパク多く摂るとオートファジーの活性化によって筋肉が増えるということも分かりました。オートファジーというのは、タンパク質をアミノ酸に分解して再度タンパク質を作るという生物が持っている機能です。オートファジーと健康長寿の関係については過去でのブログに書いているので、「gooブログ 健康長寿の窓口 脳腫瘍闘病記 オートファジー」で検索、ポチッて下さい。

マウスの実験は、「Distribution of dietary protein intake in daily meals influences skeletal muscle hypertrophy via the muscle clock: Cell Reports 36 , 109336」という論文で発表されています。

以上のマウス実験を受けて、65歳以上の高齢女性60人を対象に、3食のタンパク質の摂取量と骨格筋機能との関係を2017年10月から2018年2月まで調査したところ、「朝食で多くのタンパク質を摂取している人の方が、夕食で多くのタンパク質を摂取している人よりも、筋肉量(骨格筋指数)が増えた」という結果がえられたそうです。

夕食でタンパク質をたくさん摂ったら脂肪になる?

残念ながら、科学的根拠を見つけ出すことができませんでした。

皆さんご存知の通り、エネルギー源(糖質・、脂質)を摂ってもエネルギーを消費しないと余ったエネルギー源が脂肪となって身体に蓄積していきますよね。

タンパク質はほとんどが身体の構成成分となっていて、糖質・脂質が不足した時に、タンパク質が糖新生というプロセスを経てできたブドウ糖(糖質)がエネルギー源として使われます。通常、夕食後にエネルギーを使うことはないので、糖質・脂質が消費されずに残るので、タンパク質がブドウ糖になって蓄積されるということは起きないはずなのですが・・・。ただし、空腹で糖質が足りないとか、糖尿病や糖質代謝異常症などの病気の場合は、糖新生が活性化するので脂肪の蓄積につながることがあります。

運動する前と後のどちらが良い?

筋肉を作るときにmTORという酵素が働きます。mTORは筋トレなどの運動後に活性化されるので、タンパク質を摂るのは運動後が良さそうです。運動後の30~60分が「ゴールデンタイム」なので、消化吸収の速いホエイタンパクが良いです。

寝る前も良い?

就寝中は成長ホルモンが分泌されてmTORが活性化するので、お布団に入る前のタンパク質摂取も良いです。カゼインタンパクはゆっくり吸収されるので、寝ている間に長時間の筋肉合成効果を得るのに適しています。

成長ホルモンは深い睡眠の時に多く分泌されるので、質の良い睡眠を取ることが効果的ですね。眠りに入って1~3時間がポイントです。

サプリに頼るのも良いですが、昼寝は短めに、寝る前は部屋を暗くする、というのもアリです。

「筋トレをした時の就寝前のプロテイン摂取は効果的だ」との比較的新しい論文があります。

Protein Ingestion before Sleep Improves Postexercise Overnight Recovery(Med Sci Sports Exerc. 2012 Aug;44(8):1560-9.)

 

朝食と筋トレした後、そして寝る前にタンパク質を摂る、というのが理想のようです。

1日に体重あたり1gのタンパク質を摂りましょう。60kgの人なら60g、覚えやすいですね。

 

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