令和5年1月21日(土)午後3時から、金沢東急ホテルにて、
JSCA中部支部北陸部会記念講演会「国立競技場の構造設計」が行われ参加してきました。
講師は大成建設株式会社設計本部構造設計第三部設計室長 河本慎一郎氏。
記念講演の内容は
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のメインスタジアムとして建設され、
第33回JSCA業績賞を受賞した国立競技場の構造設計についてでした。
2021年(令和3年)開催、東京2020大会のメイン会場の国立競技場は2019年11月30日に完成。
主な特徴は、日本のスタジアムでは最大級の約60mの片持ちの大屋根構造。
建物外周の軒庇(のきびさし)や、室内にも積極的に木材を利用。
アスリートや全ての観客席からよく見える大屋根裏の構造部材にも木材を利用などです。
2022.07「国立競技場」が構造分野の賞を複数受賞│de'-TAISEI DESIGN│大成建設株式会社 設計本部
国立競技場は数々の構造上の工夫がされておりました。
①材料を調達や天候に左右されず工期を確保することを目的として、
基礎から屋根まで大部分の部材を工場で造り、現場で組み立てを行っている。
②地震対策として約60mの片持ち屋根の揺れを抑えるため、「ソフトファーストストーリー制振」構造としている。
下の層は柔らかいフレームで構成、オイルダンパーによりエネルギーを吸収。
2、3層スタンドは一般的なブレースで固めて免震に近い効果が出る制振構造。
③屋根トラスは、鉄骨と木材のハイブリット部材で構成されている。
④木材は森林認証を得た集成材を利用し、強度が必要な部分にはカラマツを、それ以外はスギを使用。
木材は国土交通省制定の木造計画設計基準に沿った防腐防蟻処理を施し、耐久性と安全性を確保している。
⑤屋根は鉄骨だけでもレベル2の大地震に耐えられる設計となっているが、
想定以上の地震や台風などの強風でも変形を抑える余力として木材を使用。
厳しい工期の中でやり遂げられた設計・施工に驚きと敬意を表します。
金沢東急ホテル5階の会場から見る兼六園方面。
午後5時10分頃、記念講演を終え、妻と共に帰宅。
残念ながら次の予定があり、新年互例会は不参加でした。
次回の懇親会はタイミングが合えば参加したいですね。