久しぶりに緩和ケア医(ホスピス医)である関本雅子さんに取材させてもらった。
関本先生は関西での緩和ケア医として先駆者的な存在で、
これまで在宅患者さん4000人近くを看取ってきた医師。
24時間の訪問診療を続けてこられた方で、
がん治療などに伴う心身ともの「苦痛」「痛み」を取り除く医師だ。
ご長男も母の背中を見て同じ緩和ケア医となられたが、
クリニック院長を譲られた矢先のこと。
肺がんを発症し、2年半の闘病で亡くなられた。
母親である関本医師たちの行き届いた緩和ケアで、
闘病中もずっと仕事を続け、家族や友人たちとも楽しい時を持ち、
自分の葬儀の準備までされての旅立ちだった。
この辛い体験で関本先生は、「症状緩和の大切さを新たに痛感した」と話しておられた。
しかし、緩和ケアの大切さは一般的にはあまり広まっていない。
多くの人は、がんなどで治療不可能になって行うものと思われているようだ。
関本先生によれば、「治療とともに始まるのが緩和ケア」だそう。
私は父をはじめ、「がんに痛みはつきもの、ガマンするしかない」
という現実を見てきたので、まるで夢のような話だった。
現在、仮に総合病院でがん治療を行いながらも、
普段の痛みなどは連携する地域のクリニックで診療してもらえる。
がんだけでなく、苦痛を伴うほかの病気の場合も同様だそう。
関本先生のクリニックはそういう場。
ただ、緩和ケアができる医師はまだまだ少ない。
近所で探したい場合は、ムック本『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん』(朝日新聞出版)で、
緩和ケアができるクリニックを参照とのこと。
先生に教えられた。「生活背景まで大切にしてくれる医師を選びなさいね」