『母親になって後悔してる』という本が話題になっている。
昨夜、NHKの番組で取り上げていたのだが、
ちょうど「母親だけに子育てを押しつけていませんか?」といった内容の原稿を書いていて、
タイムリーだったこともあり、注目してしまった。
NHKの調査では、現在子育て中の母親の3人に1人が
「母親にならなければよかった」と後悔しているという。
ただ、7割の母親が子どもを愛しているということで、なるほどと思った。
多くの母親が子どもは可愛いけれど、社会の中での「母親という存在」に後悔しているのだ。
古い時代から位置づけされてきた母親像、
あるいは子どもの頃から刷り込まれてきた母親像。
子どもを産み、夫を立て、家事をこなし、いい子に育て、
どんな辛さも乗り越えていく……のが、良いお母さんと。
子どもを産めば、自然にできていくのが母性だと。
私が子育てをしていた40年前を思い出してしまった。
当時も私の周りでは多くの女性がフルタイムで働いていたが、
誇りを持って専業主婦をしている人も多かった時代。
2人の子どもを育てながら細々とでも仕事を続けていると、
「大事な子育て中に、そんなに仕事が大事なの?」
「三つ子の魂百までと言われるように、3歳までは子育てに専念しなさいよ」
「母性があればできるものよ」
と、身近な人によく言われたものだ。
それでも私が仕事を続けられたのは、フリーランスで何事にも融通がきいたことと、
仕事をすることに夫の理解があったからからだと思う。
好きな仕事を見つけ、困難を抱えながらも生きていく自分の人生。
その途中に母親となって子育てが新たに加わり、
その育児や家事のすべてが母親だけに集中して、その成果まで求められては、
心身ともにパニックになって当然だろう。
私がかつて、ある人から言ってもらったように、私も言いたい。
「お母さんが好きなことを一生懸命していたら、子どもはその背中を見ているはずよ」
今はSNSを通して、人の子育ても目に見える時代だけれど、
人のことなんて気にしないで。
よく本人が変わらなければと言われるけれど、
変わるべきなのは、父親の子育てへの意識や社会の子育てへのやさしい眼差し。