時おり、春先特有の突風が吹き抜ける一日だった。
「風が吹けば桶屋が儲かる」話を思いだしている。
記憶違いがあるかもしれないが、ざっとこんなストーリーではなかったろうか。
・風が吹く。
・砂ぼこりが眼に入り眼を患い、目の不自由な人が増える。
・目が不自由な人は三味線を弾く職業に就くので、三味線がよく売れるようになる。
・三味線に使われる猫の皮の需要が増え、猫が少なくなる。
・猫がいなくなるとネズミが増え、桶をかじる。
・人々は、桶を直したり新たに買ったりする。
・桶屋が儲かる。
「なになに」だから「こうなる」という、こじつけが面白い。
それぞれの関係を見ると、現代においてはその可能性は極めて少ないといえる。
そもそも、本物の桶を使うことがないし、儲かることになっている桶屋さんを見たことがない。
私の三味線は、以前、皮を張り替えてもらったことがある。
その時、猫の皮ではなく犬の皮だと聞いた。
三味線の皮が犬では、この話は展開しない。