西武鉄道西武線の東村山駅前には、東村山市(東京都)出身のお笑いタレント(Kさんとさせていただく)を偲ぶ銅像が立っている。
その東村山にはおいしいうどん屋さんが多い。
なかでも「こせがわ」さんは、あのKさんが、生前に好きだったお店と知って食べに行ってきた。
何か目印になるものがあるわけでもなく、地元の人に尋ねながらなんとかお店にたどり着いた。
道を教えていただいた方も、その方向を差しながら「おいしいですよ」と一言添えた。
住宅街の中、目の前まで行って「アッ、ここだ」と気が付くようなところだった。
庭に面して、「手打ちうどん」と染め抜かれた暖簾が架かった入口があり、それも二か所ある。
手前は「持ち帰り」のうどんを買いに来る人の入り口で、順番待ちのお客が一人待っていた。
「食べるのなら隣の入口にまわるように」教えられた。
庭の奥にあるのが、食堂の入口。
11時半ごろに到着したのだが、中に入ると、既に6人のお客がうどんをすすり上げていた。
壁には見覚えのあるKさんの似顔絵などが貼られていて、このお店とご縁があったであろうことを示している。
メニューは、ざる、かけうどん、肉うどんの三種類あり、ざるには普通、大、特もりの3サイズあることが見てとれる。
サイドには、てんぷらのほか、武蔵野うどん特有の「糧(かて)三種盛り合せ」、さらに、大根おろしが用意されている。
うどんは一旦食べてみて、足りなければ替え玉もできるようである。
私は、武蔵野うどんといえば、判で押したように「ざる+肉汁+天ぷら」の組み合わせので、この日も全く同じパターンで注文。
うどんは薄めにのしてあり、やや幅広にカットされている。
幅には若干のムラがみられ、機械で切ったのとは異なり、これはこれで「手打ちのアジ」が出ている。
天ぷらは、その日は、春菊と野菜のかき揚げであった。
武蔵野うどんは、昔から家庭で食べられていたスタイルが引き継がれていると聞く。
おばあちゃんが打ったうどんに、畑で採れた野菜をてんぷらにして添え、家族が揃っていただく。
そんな光景を思い浮かべながら、おいしくいただいた。
Kさんは、昔の懐かしさも手伝って、「武蔵野うどん」がお気に入りだったのではあるまいか。
今にも「イヨッ!」とか言いながら、あの人懐っこい笑顔で入ってくるのではないか・・・。
うどんを食べながら、そんな、あり得ないことを考えてしまった。