散歩の途中、足の踏み場もないように木の実が落ちている場所があった。
見上げると、桑の大きな木だった。
完熟した実は、「黒い」といっても良いような色で、つぶすと真っ赤な果汁が出てくる。
小さかったころ、いなかには桑の木はたくさんあった。
遊び仲間たちと、いかにもおいしそうに熟れたこの実を食べたことがあった。
私にとって、好きな味ではなかった。
味よりも果汁で唇が赤く染まり、困ったことの方が記憶に残っている。
最近では、季節は限られるのだろうが「桑の実のジャム」も売られている。
まだ口にしたことはないが、どんな味なのだろうか。