57歳から始めるレンタルカートの世界

唄う物書きアマミヤユキト57歳で人生初のレンタルカートデビュー。

F1は前が見えないことについて その2

2020年06月21日 | フォーミュラーカー
F1 1987 Mexico | Satoru Nakajima Onboard Lap


F1の視界の悪さ、についての続きです。
上の動画は、1987年のF1メキシコグランプリでの中嶋悟さんのオンボードカメラ映像です。
カメラ位置はヘルメットの目線の高さです。
どうでしょう?
素晴らしく視界がいいですね。
ドライバーにとっては、めちゃくちゃ運転しやすい!
これならやる気も出ますよね。
それと対照的なのが、現在のF1のシートポジション。


写真はF1ワールドチャンピオンのルイス・ハミルトン氏
今現在、F1ドライバーは、このドライビングポジションで運転しています。
シートから見える風景はこんな感じ。

REAL RACING3
というスマホゲームでのシート目線。マシンはF1マシン、TORO ROSSO STR14、ドライバーはボクです。ほんまに路面がわからんのですよ。)


何故、こんな奇妙なポジションにたどり着いたのか? もちろん訳があります。
『F1』は、何もかもが、極限の世界です。
最も速くサーキットを走るために、たどり着いたのが、このドライバーポジションなのです。
この姿勢をうんだ、ご先祖様が、『ティレル019』というマシン。
1990年シーズンにデビューしました。

ドライバーは、ジャン・アレジと、日本人初のF1ドライバー、我らが 中嶋悟さんでした。
このマシンから、現代21世紀のF1につながる、『ハイノーズ』のシャシーが導入されました。
なぜこんな形にしたのか?
その利点は……

①ノーズ部分から、たくさんの空気をボディ下へ流すため。
②それによりボディ下の空気の流れが速まる。
③結果としてマシンを下向きに抑える『ダウンフォース』が増える。
④ダウンフォースが増えれば、マシンはコーナーを速く走れる。

ダウンフォースを増やす簡単な方法は、ウィングの角度を立てれば良いのです。
しかし、それでは、空気抵抗が増えて、マシンの直線スピードは遅くなります。
このハイノーズという手法は、空気抵抗を極力抑えて、ダウンフォースを増やせる、画期的な方法だったのです。
(その手法をいち早く取り入れたのが、ティレルという、プライベートチームであり、世界で初めてドライブしたのが、ジャン・アレジ氏中嶋悟氏であったということ、さらには、当時ティレルのチーフエンジニアが

『ティレル019は”サトル”が作ったマシンと言っていいね』

と絶賛していたことについて深い感動を覚えます)

ティレル019を見れば分かるのですが、この時のドライビングポジションは、上体が立ったかたちで、前方視界は、かなりいいことがわかります。
しかし、F1の設計者たちは、このハイノーズの利点を活かしたまま、さらに空気抵抗を減らそうと目論んだのです。
そして、ドライバーの視界をギリギリ確保しながら、極限まで寝かせたドライビングポジションが生まれました。
それが21世紀のF1の『スタンダード』となっているのです。
***
しかし、F1の歴史は、つねに制約と進化の歴史でもあります。
エンジニアたちが心血を注いで作ったハイノーズのF1。
それがFIA規則により、2022年から廃止される、というのです。
(さらに続く予定😁😂です。)


***本文の著作権は天見谷行人に帰属します ©️Yukito amamiya 2020
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