「ねぇ、シン君、焼きいも食べたくない?」
「は?」
秋の東宮殿。
庭の木々は色付き、ハラハラと枯れ葉が舞う午後に、今日もシンの愛しの宇宙人は予想しなかった台詞をはいた。
「やっぱり秋は焼きいもだよね~?」
チェギョンはそう言いながら満面の笑みで、両手を胸元で合わせると、軽やかにターンを決めた。
シンはその姿を眺めながら、少し首を傾げた。
「やきいもって、何だ?」
「…えぇ~!?」
シンの言葉に、チェギョンが大声で反応した。
「シン君、焼きいも知らないのぉ~?!」
シンは顔をしかめながら頷いたのだった。
「そ、そっか~、焼きいもなんて、THE☆庶民の食べ物、シン君は知らないよね」
段々と、顔を下に向けながら呟くチェギョン。シンはその横顔を、眉根を寄せつつ眺めていた。
「なぜ、うつむく?」
不機嫌な響きを滲ませたシンの声が聞こえた。
「だぁって~」
チェギョンは口元を尖らせてシンを見上げた。
「焼きいもが食べたかったんだもん」
「水刺間に作らせるか?」
シンの提案に、チェギョンはすぐに首を横に振った。
「違うの!庭の枯葉で自分で焼くから美味しいのよ」
チェギョンの力説にシンが驚いてのけ反った。
「…焼く、のか…?庭園で」
シンが戸惑いながら発した言葉に、チェギョンが満面の笑みで答えた。
「焼いて良いの?!」
「あ…」
自分で言いながら、シンは思わず視線を宙にさ迷わせた。
「コン内官に、確認してみる」
シンはそう言うと、コン内官を呼び寄せたのだった。
「庭で焼きいも、でございますか?」
シンに告げられた言葉に、コン内官は目を白黒させている。
何しろ重要文化財で焼きいもをしようと言うのだから、当たり前だ。
「あぁ、チェギョンに教えられ、僕も興味がわいた。可能なら、やってみたいのだが」
コン内官は戸惑った表情のシンと、笑顔のチェギョンを見比べた。
「はぁ…失礼ながら両殿下、東宮殿の庭園では難しいと存じます」
途端、やはりと納得顔のシンとがっかりした顔のチェギョンが並んだ。
「残念だな、チェギョン、諦めろ」
そう諭すシンに、チェギョンはすがりついた。
「難しいって事は、絶対に無理って事じゃないでしょ?」
「ちゃんと言葉の裏を読め。いくら無理でも内官が、はっきり言えるわけ無いだろう。可能ならそう言う」チェギョンはアヒル口でシンを見上げた。
「う~、なら、庭園が無理って事でしょ?ほかの場所なら平気なんでしょ、コン内官おじさん」
コン内官に向けたその顔は、まるで駄々をこねた子どものようだった。
「左様でございますね。文化財になっておりません所有の邸宅であれば可能かと…」
コン内官もさすがに言葉を濁した。
「チェギョン、諦めろ」
途端、聞こえた声に、チェギョンは頬を膨らませた。
「条件を満たす邸宅は、車で5時間かかる。だから諦めろ」
シンはその後、仕事を思い出したと言って、コン内官とともに上殿へ向かった。
東宮殿には、不機嫌な妃宮が1人、残されたのだった。
「あぁあ~、ほっこりほくほくまったり~な、お芋が食べたかったのにな~」
パビリオンのソファーに腰を落ち着けたチェギョンは、寝室から持って来た豆腐人形をギュウッと抱き締めたのだった。
その頃、シンは上殿で今をときめく皇帝陛下と対面していた。
「は?」
秋の東宮殿。
庭の木々は色付き、ハラハラと枯れ葉が舞う午後に、今日もシンの愛しの宇宙人は予想しなかった台詞をはいた。
「やっぱり秋は焼きいもだよね~?」
チェギョンはそう言いながら満面の笑みで、両手を胸元で合わせると、軽やかにターンを決めた。
シンはその姿を眺めながら、少し首を傾げた。
「やきいもって、何だ?」
「…えぇ~!?」
シンの言葉に、チェギョンが大声で反応した。
「シン君、焼きいも知らないのぉ~?!」
シンは顔をしかめながら頷いたのだった。
「そ、そっか~、焼きいもなんて、THE☆庶民の食べ物、シン君は知らないよね」
段々と、顔を下に向けながら呟くチェギョン。シンはその横顔を、眉根を寄せつつ眺めていた。
「なぜ、うつむく?」
不機嫌な響きを滲ませたシンの声が聞こえた。
「だぁって~」
チェギョンは口元を尖らせてシンを見上げた。
「焼きいもが食べたかったんだもん」
「水刺間に作らせるか?」
シンの提案に、チェギョンはすぐに首を横に振った。
「違うの!庭の枯葉で自分で焼くから美味しいのよ」
チェギョンの力説にシンが驚いてのけ反った。
「…焼く、のか…?庭園で」
シンが戸惑いながら発した言葉に、チェギョンが満面の笑みで答えた。
「焼いて良いの?!」
「あ…」
自分で言いながら、シンは思わず視線を宙にさ迷わせた。
「コン内官に、確認してみる」
シンはそう言うと、コン内官を呼び寄せたのだった。
「庭で焼きいも、でございますか?」
シンに告げられた言葉に、コン内官は目を白黒させている。
何しろ重要文化財で焼きいもをしようと言うのだから、当たり前だ。
「あぁ、チェギョンに教えられ、僕も興味がわいた。可能なら、やってみたいのだが」
コン内官は戸惑った表情のシンと、笑顔のチェギョンを見比べた。
「はぁ…失礼ながら両殿下、東宮殿の庭園では難しいと存じます」
途端、やはりと納得顔のシンとがっかりした顔のチェギョンが並んだ。
「残念だな、チェギョン、諦めろ」
そう諭すシンに、チェギョンはすがりついた。
「難しいって事は、絶対に無理って事じゃないでしょ?」
「ちゃんと言葉の裏を読め。いくら無理でも内官が、はっきり言えるわけ無いだろう。可能ならそう言う」チェギョンはアヒル口でシンを見上げた。
「う~、なら、庭園が無理って事でしょ?ほかの場所なら平気なんでしょ、コン内官おじさん」
コン内官に向けたその顔は、まるで駄々をこねた子どものようだった。
「左様でございますね。文化財になっておりません所有の邸宅であれば可能かと…」
コン内官もさすがに言葉を濁した。
「チェギョン、諦めろ」
途端、聞こえた声に、チェギョンは頬を膨らませた。
「条件を満たす邸宅は、車で5時間かかる。だから諦めろ」
シンはその後、仕事を思い出したと言って、コン内官とともに上殿へ向かった。
東宮殿には、不機嫌な妃宮が1人、残されたのだった。
「あぁあ~、ほっこりほくほくまったり~な、お芋が食べたかったのにな~」
パビリオンのソファーに腰を落ち着けたチェギョンは、寝室から持って来た豆腐人形をギュウッと抱き締めたのだった。
その頃、シンは上殿で今をときめく皇帝陛下と対面していた。