「敵基地攻撃」とはこういうことなのかーー。夕餉の食卓でNHKのニュースを聞きながら、私は、最近わが国で当たり前のように押し進められている軍拡路線のことを考えた。
NHKのアナウンサーが報じたのは、以下のような出来事についてである。
「ロシア国内の複数の空軍基地で爆発があり、ロシア国防省はウクライナ軍の無人機による攻撃を受けたと発表しました。これらの基地は、ウクライナへのミサイル攻撃にも関わっている戦略上重要な拠点で、ロシア軍にとって大きな打撃になるという見方が出ています。」
(NHK NEWS WEB 11月6日配信)
ロシア―ウクライナ間の戦闘のニュースを聞きながら、私が脳裏に浮かべたのは、昨今のわが国の明白な軍拡路線ーー軍事費を増額し、敵基地反撃能力の保有へと突っ走ろうとする、近頃の岸田政権の前のめりの姿勢である。
わが国が敵基地を攻撃するようになったら、わが国は一体どんな事態を引き寄せ、どんな事態に巻き込まれることになるのか。
そんなことを考えながら、私の思考は、ロシア―ウクライナ間のきな臭い戦場へと揺り戻された。
「もっとわが国に武器の援助を!」
私の記憶が間違っていなければ、そう訴えるゼレンスキー大統領に対して、アメリカのバイデン大統領は、「武器の援助はするが、ロシア本土までは攻撃しない」と言質をとった上で、高性能ミサイルの供与に応じたはずだ。別の言葉でいえば、「ウクライナ軍はロシア本土の敵基地を攻撃しない」という約束が、ウクライナとアメリカの間には成り立っていたはずだ。バイデン大統領は、ウクライナ軍がロシア本土を攻撃するようになれば、戦線は際限なく拡大して、収拾がつかなくなることを恐れたのである。
アメリカのこの老練な大統領は、ゼレンスキーという血の気の多い壮年指導者の、その有り余る「力への意志」を警戒していたと言ってよい。
ゼレンスキーの「力への意志」という言い方をしたが、国のトップが誰であれ、軍隊という暴力組織は際限なく自己を増大しようとする特有の動性を持っている。バイデン大統領はこの動性を恐れたのである。
こうしたことを念頭におき、ひるがえってわが国の現状を考えると、同様の懸念が浮かびあがる。「敵基地反撃オーケー」の指令が出たとき、自衛隊というわが国の軍事組織は、「専守防衛」の国家理念をかなぐり捨て、(かつての関東軍のように)自己の増大化という軍隊特有の動性に従って走りださないかどうか。
キシダくんは(リベラル派で知られる)宏池会の領袖だから、という幻想に誤魔化されてはならない。
NHKのアナウンサーが報じたのは、以下のような出来事についてである。
「ロシア国内の複数の空軍基地で爆発があり、ロシア国防省はウクライナ軍の無人機による攻撃を受けたと発表しました。これらの基地は、ウクライナへのミサイル攻撃にも関わっている戦略上重要な拠点で、ロシア軍にとって大きな打撃になるという見方が出ています。」
(NHK NEWS WEB 11月6日配信)
ロシア―ウクライナ間の戦闘のニュースを聞きながら、私が脳裏に浮かべたのは、昨今のわが国の明白な軍拡路線ーー軍事費を増額し、敵基地反撃能力の保有へと突っ走ろうとする、近頃の岸田政権の前のめりの姿勢である。
わが国が敵基地を攻撃するようになったら、わが国は一体どんな事態を引き寄せ、どんな事態に巻き込まれることになるのか。
そんなことを考えながら、私の思考は、ロシア―ウクライナ間のきな臭い戦場へと揺り戻された。
「もっとわが国に武器の援助を!」
私の記憶が間違っていなければ、そう訴えるゼレンスキー大統領に対して、アメリカのバイデン大統領は、「武器の援助はするが、ロシア本土までは攻撃しない」と言質をとった上で、高性能ミサイルの供与に応じたはずだ。別の言葉でいえば、「ウクライナ軍はロシア本土の敵基地を攻撃しない」という約束が、ウクライナとアメリカの間には成り立っていたはずだ。バイデン大統領は、ウクライナ軍がロシア本土を攻撃するようになれば、戦線は際限なく拡大して、収拾がつかなくなることを恐れたのである。
アメリカのこの老練な大統領は、ゼレンスキーという血の気の多い壮年指導者の、その有り余る「力への意志」を警戒していたと言ってよい。
ゼレンスキーの「力への意志」という言い方をしたが、国のトップが誰であれ、軍隊という暴力組織は際限なく自己を増大しようとする特有の動性を持っている。バイデン大統領はこの動性を恐れたのである。
こうしたことを念頭におき、ひるがえってわが国の現状を考えると、同様の懸念が浮かびあがる。「敵基地反撃オーケー」の指令が出たとき、自衛隊というわが国の軍事組織は、「専守防衛」の国家理念をかなぐり捨て、(かつての関東軍のように)自己の増大化という軍隊特有の動性に従って走りださないかどうか。
キシダくんは(リベラル派で知られる)宏池会の領袖だから、という幻想に誤魔化されてはならない。