おもしろいニュースを聞いた。
「『ハインリヒ13世』を名乗る男。いったい、どのような人物なのでしょうか。
ドイツの連邦検察は、国内のテロ組織に関わっていたとして『ハインリヒ13世』を名乗る貴族の家系出身とみられる男や現職の裁判官など25人を逮捕しました。
検察は、男らが国家の転覆と独自の政府の樹立を企てていた疑いがあるとみて組織の実態解明に向けて捜査を進めています。」
(NHK NEWS WEB 12月8日配信)
「ハインリヒ13世」を名乗るドイツ人は、ドイツ国憲法のどんな条文に則って「有罪」と判決を下されるのだろうか。残念ながら私はドイツの憲法については何も知らないので、もし日本で同様の事件が起こったらどうなるか、それを考えてみたい。
仮に「伏目宮13世」を名乗る男が、YouTubeで次のように演説したとしよう。
「薄汚れた自民党政権を倒して、俗世を超越した全く新しいピュアな政府、神聖な政府を樹立するのだ。傍系ではあるが、天皇家の血統をひく私なら、その神聖な清き政府のトップ・リーダーにふさわしい。私を国家主席とした新国家を打ち立てようではないか!」
もちろん、国にこの男の演説を差し止める権限はない。わが日本国憲法は、その20条で次のように謳っている。
「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」
信教の自由とは、どんな宗教思想を信じても自由だということである。日本国憲法はこの自由を「権利」として日本国民に保障している。伏目宮13世がどんな思想信条を持ち、どんな場でこれを唱道したとしても、国はこれを差し止めることはできないのだ。一般の人々も、「可笑しなキ印が出てきたなあ」と、彼を嘲笑うだけだろう。
だが、伏目宮13世の懸命な訴えが次第に人々に受け入れられ、自衛隊の幹部や、霞が関の高級官僚らから何人も同調者が出てくるようになれば、事情は違ってくる。伏目宮13世の同調者グループは、「テロを準備している危険な集団」とみなされるため、厳しい監視の目が注がれ、厳格な取り締まりの対象になる。国は取り締まりの根拠として、憲法第13条を持ち出すだろう。
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」
伏目宮13世の同調者グループが国による取り締まりの対象になるのは、彼らが「公共の福祉」を脅かす存在とみなされるからなのだ。
ま、いずこも同じ。出る杭は打たれる。ただ、出る杭を打つのが国となると、それなりの大義名分が必要になるということである。
「『ハインリヒ13世』を名乗る男。いったい、どのような人物なのでしょうか。
ドイツの連邦検察は、国内のテロ組織に関わっていたとして『ハインリヒ13世』を名乗る貴族の家系出身とみられる男や現職の裁判官など25人を逮捕しました。
検察は、男らが国家の転覆と独自の政府の樹立を企てていた疑いがあるとみて組織の実態解明に向けて捜査を進めています。」
(NHK NEWS WEB 12月8日配信)
「ハインリヒ13世」を名乗るドイツ人は、ドイツ国憲法のどんな条文に則って「有罪」と判決を下されるのだろうか。残念ながら私はドイツの憲法については何も知らないので、もし日本で同様の事件が起こったらどうなるか、それを考えてみたい。
仮に「伏目宮13世」を名乗る男が、YouTubeで次のように演説したとしよう。
「薄汚れた自民党政権を倒して、俗世を超越した全く新しいピュアな政府、神聖な政府を樹立するのだ。傍系ではあるが、天皇家の血統をひく私なら、その神聖な清き政府のトップ・リーダーにふさわしい。私を国家主席とした新国家を打ち立てようではないか!」
もちろん、国にこの男の演説を差し止める権限はない。わが日本国憲法は、その20条で次のように謳っている。
「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」
信教の自由とは、どんな宗教思想を信じても自由だということである。日本国憲法はこの自由を「権利」として日本国民に保障している。伏目宮13世がどんな思想信条を持ち、どんな場でこれを唱道したとしても、国はこれを差し止めることはできないのだ。一般の人々も、「可笑しなキ印が出てきたなあ」と、彼を嘲笑うだけだろう。
だが、伏目宮13世の懸命な訴えが次第に人々に受け入れられ、自衛隊の幹部や、霞が関の高級官僚らから何人も同調者が出てくるようになれば、事情は違ってくる。伏目宮13世の同調者グループは、「テロを準備している危険な集団」とみなされるため、厳しい監視の目が注がれ、厳格な取り締まりの対象になる。国は取り締まりの根拠として、憲法第13条を持ち出すだろう。
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」
伏目宮13世の同調者グループが国による取り締まりの対象になるのは、彼らが「公共の福祉」を脅かす存在とみなされるからなのだ。
ま、いずこも同じ。出る杭は打たれる。ただ、出る杭を打つのが国となると、それなりの大義名分が必要になるということである。