ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

自民党の改憲案はどうよ

2018-03-25 10:19:15 | 日記
自民党の改憲案はうまくまとめられている。きのうの本ブログで、私はそ
う書いたが、ホントにそう言えるかどうか、もう一度検討してみよう。

自民党の憲法改正推進本部が提出した案は、基本的に安倍首相案に沿い、第
9条の第1項(戦争放棄)と第2項(戦力の不保持)を維持しようとするも
のであった。ただ、このままでは自衛隊違憲論との衝突が避けられない。
「自衛隊は、保持できないはずの『戦力』に当たり、これを保持することは
憲法違反になるのではないか」という異論に対処する必要が生じてくる。
そこで、自民党は、こうした異論に対処すべく、以下の文言を付け加えるの
である。

「前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つため
に必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律
の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者と
する自衛隊を保持する。」

つまり、自民党の改憲案は、第9条の第2項で「戦力の不保持」をうたいな
がら、同時に「国家の平和と独立」および「国民の安全」を不可侵の自然権(当然の権利)として主張し、これを守るための「実力組織」として、自衛
隊を憲法上に位置づけるのである。

う〜む、やはりよく考えられているではないか。戦後、日本が堅持してきた
専守防衛の理念だが、自民党の改憲案は、これをパラフレーズして、憲法の
条文に書き込んだと言ってよい。

安倍首相は1年ほど前、憲法改正に関するメッセージを公にして、次のよう
に述べている。

「自衛隊は違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ」
というのは、あまりにも無責任です。
                   (日本経済新聞1917年3月15日)

首相が目論む憲法改正は、自衛隊違憲論を退けることに主眼をおいている。
今回の自民党改憲案は、その眼目をクリアできているだろうか。今後は、こ
の点をめぐって、ああでもない、こうでもないと、喧々諤々の議論が戦わさ
れることだろう。私は、今回の自民党案は大筋で間違っていないのではない
かと見ている。むしろ議論に精力を費やすべきは、「国家の平和と独立」や
「国民の安全」を守るために、ではどこまでの武力行使が許されるのか、と
いったことではないだろうか。
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自民党の改憲論議

2018-03-24 11:54:29 | 日記
う〜む、よく分からない。何が問題の本質なのか、まったくもって分から
ない。改憲にむけた自民党内の議論の意味が、である。

聞くところによれば、自民党の改憲論議では、2つの改正案が競り合って
いたという。その一つは安倍首相案であり、もう一つは石破元幹事長案で
ある。まずは、この2つの改正案がどういうものなのか、それを確認する
ところから始めることにしよう。

一方の安倍首相案であるが、これは、第9条の第1項と第2項を維持しよ
うとするものである。では、日本国憲法第9条の第1項と第2項はどうい
うものなのか。ググってみたら、ウィキペディアではこう表記されてい
た。
1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国
権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解
決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持し
ない。国の交戦権は、これを認めない。

第9条の第1項は戦争放棄をうたい、第2項は戦力の不保持をうたって
いる。安倍首相案はこの2つを維持しようとするものだが、「改正案」
であるからには、むろんまるごとこの通りというわけではない。安倍首
相案は、この2項の他に、新たに第3項を書き加え、自衛隊の合憲たる
ゆえんを明示しようとする。自衛隊が合憲であることの明示、ーーこれ
が安倍首相改正案の、その本来の目的であることは言うまでもない。

では、これに対する石破元幹事長案は、どういうものなのか。石破氏
は、「戦力の不保持」をうたう第2項を削除すべきだと主張する。この
第2項を維持したまま、自衛隊を保持するとなれば、「自衛隊は、保持
できないはずの『戦力』に当たらないのか。当たるのではないか」といっ
た異論が生じることになり、こうした異論との(不毛な)神学論争が避
けられないからである。

しかし、この石破案には大きな欠陥がある。憲法で自衛隊の存在を明示
しなければ、自衛隊は法の埒外の存在、アウトローの存在であるかのよ
うな、いかがわしい印象を免れない。自衛隊の合憲性を明文化すること、
ーーそれが自民党の改憲論議の本来の目的であるとすれば、石破案は自
民党の本来の目的から大きく外れていることになる。

きのうのことだが、次のような報道があった。
「自民党の憲法改正推進本部は22日、安倍晋三首相の9条改正案に
沿って、戦力不保持を定める2項を維持して「自衛隊」を明記する方向
で取りまとめる方針を決めた。新たに9条の2を設け、「(2項は)必
要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織」と位置づけ
て自衛隊を保持する案が軸となる。」
                   (朝日新聞3月23日付)

整理しよう。自民党憲法改正推進本部の執行部が有力と考える案は、朝
日新聞では、以下のようにまとめられている。

 9条の2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の
安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実
力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣
を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
 ②自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の
統制に服する。

なるほど。うまいことまとめたものだ。朝日は3月23日の社説で、自民
党の改憲論議を取り上げ、「ずさん極まる」と批判しているが、私はそう
は思わない。きょうの本ブログの書きはじめに、「何が問題の本質なのか、
まったくもって分からない」と記した私であるが、この「問題の本質」を
理解しようとして文章を書きすすめるうち、問題の輪郭がおのずと見えて
きた。問題の構造が理解できた今、朝日の記事を改めて読み返すと、なる
ほど、自民党はうまいことまとめたものだと思えてくる。党是をテーマに
した党内議論は、決して伊達ではない。
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情報の改ざんはどうよ

2018-03-23 11:19:06 | 日記
夕食時、いつものようにぼんやり・のんびりしながらテレビのニュース番組
を見ていた。老妻と二人暮しの我が家では、テレビのニュース番組は夕食時
のBGMのようなものである。このBGMの中からその言葉が聞こえたとき、私は
思わず感心して、「お、いいネ!」と呟いてしまった。
「地元の皆様方からのご懸念があれば、その大切なお声を国にしっかりとお
届けすること、地元の皆様方の大きなお力で今こうして国会議員を務めさせ
ていただいている私にとりましては、当然、大切な仕事であると常々考えて
まいりました。」
うむ。この上なく立派な正論である。反論の余地などあろうはずがない。

ところが、である。次のアナウンサーの言葉で、私がいだいた感慨はがらり
と反転した。このご高説をたれたのは、な、な、なんと、前川氏の講演にい
ちゃもんをつけて、最近メディアの話題になっている、あの「安倍チルドレ
ン」の極右議員だというのである。件(くだん)の見解は、前川講演を企画
した主催者に働きかけるよう、文科省に圧力をかけた自分の行為を正当化す
るための、お為ごかしの言い訳に過ぎなかったのだ。

しかしながら、そうだとして、この極右議員氏の件の「正論」を前にして、
では我々は、どういうふうに反論をすればよいのだろうか。まずもって気に
なるのは、次のことである。「地元の皆様方からのご懸念があれば」と議員
氏は宣(のたま)うが、前川氏が名古屋市の市立中学校で、中学生相手に講
演を行うことに対して、地元の住民たちはどんな「懸念」をいだいたのだろ
うか。そもそもそんな「懸念」をいだいた住民が、一人でもいたのだろうか。
ネットで調べる限り、NHKのニュース・サイトだけが「**衆議院議員は記
者団に対し、地元の有権者から懸念の声があったため問い合わせを行ったと
説明しました」と書いているが、この**議員の説明が虚偽でないと、何を
根拠に言いきれるのだろうか。

仮にこの**議員の説明が虚偽でなかったとしよう。ホントだったとしよう。
そうだとしても、次のようにすれば、住民の「懸念」が生じるのは、おおい
にあり得ることではないか。

「あ、Aさん、お久しぶりです。選挙ではいつもお世話になっております。
ところでAさん、前川喜平という人をご存知でしょうか。この人はですね、
出会い系バーに入り浸っていたことで騒がれた人でですね、汚職まがいの責
任をとって役人を辞めた人なんですが、この人が今度、○○中学で講演をす
るというのですよ。どう思われます?」

「あ、Bさん、お久しぶりです。選挙ではいつもお世話になっております。
ところでBさん、前川喜平という人をご存知でしょうか。この人はですね、
売名のためにデタラメを言って、政府を批判して、それで有名になった人な
のですが、この人が今度、○○中学で講演をするというのですよ。どう思わ
れます?」

このような印象操作を行えば、「前川某は危険人物らしい」と思う人が出て
きてもおかしくはない。「そんな危険人物に、中学校で講演をさせるのは、
ちょっと心配だな」と懸念する人も出てくるだろう。

フェイクだらけの今の世の中だから、我々は「文書の改ざん」だけでなく、
「情報の改ざん」にも気を配らなくてはならない。そう思う天邪鬼爺のこの
頃である。
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渡る世間は俗物ばかり

2018-03-22 10:08:27 | 日記
時の権力者に弓を引いた勇敢な漢(おとこ)、前川喜平。その前川氏が名古
屋市の中学校で講演を行ったことに対して、文科省が主催者側にメールで講
演内容の報告を求めるなど、圧力を加えた陰湿きわまる事件があった。この
ことを知ったとき、この事件の犯人は首相官邸か、文科省の幹部官僚に違い
ない、と私は推測した。「一度でも権力に楯つくと、後々までこういう目に
あうんだぞ!」と、権力の中枢が見せしめのために嫌がらせをしたか、出世
に目が眩んだあざとい官僚が、人事権をにぎる首相官邸に阿(おもね)ろう
として仕出かしたか、そのどちらかだろう。そう考えたのである。

だが、その後の報道で、この事件の真犯人がまったく別の筋の人物だったこ
とを知った。自民党の文部科学部会に所属する、“安倍チルドレン”の議員2
名が、前川講演の主催者に働きかけるよう、しつこく文科省に迫ったのだと
いう。前川氏を以前から煙たく思っていた2人が、前川氏に嫌がらせをする
ため、また、首相官邸に自分の存在をアピールするため、一石二鳥をねらっ
て仕出かしたのだろう。

いずれにしても、自分の利益のために、なりふり構わず権力に取り入ろうと
したり、陰謀によってライバルを陥れようとしたりと、欲にまみれた醜い俗
物たちが、まるで魑魅魍魎みたいに跋扈する、嫌〜な世の中になりましたな。
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同じ穴の 貉のアイヒマン

2018-03-21 11:48:07 | 日記
唖然とした。夕食時のことである。テレビのニュースで国会審議の模様が映
しだされ、凡庸な顔つきの中年議員が質問に立って、こう発言するのを耳に
したとき、これを聞いた私は、なんだか自分のほうが恥ずかしくなり、思わ
ず身震いをしてしまうほどだった。

「私は呼び捨てにしていただけるくらい信頼されたいと思ってますよ! そ
れぐらい(麻生大臣は)佐川さんのことを信頼し、そして佐川さんの能力も
評価しているのです。」

発言の主は、麻生財務大臣が「佐川」、「佐川」と呼び捨てにして、「こい
つ、なんて傲慢な態度なんだ!」と国民の顰蹙を買っていることを話題にし
ていた。麻生大臣が部下を呼び捨てにするのは、彼を見下しているからでは
なく、むしろ彼を信頼し、彼の能力を信頼しているからだ、というのであ
る。あっと驚く逆転の発想で、これだけなら、天邪鬼の私でもただただ感心
するばかりだが、その前の一言がいただけなかった。「私は(麻生大臣か
ら)呼び捨てにしていただけるくらい信頼されたいと思ってますよ」だっ
て?はあ?この一言は、露骨なゴマスリ以外の何ものでもない。そうではな
いか。

このトンデモ・ゴマスリ男はいったい誰なんだ? さっそくネットで調べた
ら、義家弘介だと分かった。うむ、あの義家なら、たしかに、さもありなん
である。

このヤンキー先生のことは、以前、本ブログで取り上げたことがある。私が
問題にしたのは、当時、文科省の副大臣だったこの男が次のように述べて、
省内の職員を恫喝したことである。「『総理のご意向』文書が存在すると告発
した人物が、もし文科省の内部にいれば、その人物を何としても探し出し、国
家公務員法違反の咎で処分するつもりだ。」
私はこの男が、(臭いものに蓋をして、独裁化へと突き進む)安倍政権の、
その歯車のような手先としてふるまっていると考えた。そしてその姿に(ナチ
の手先だった)アイヒマンの姿を重ね合わせたのである。

今回の「呼び捨てにされたい」のゴマスリ発言も、出所は同じである。政権
の一歯車として、ぐらついている政権の立て直しに大きく貢献し、出世とい
う見返りにありつきたい。そういう思いからだろう。

ということは、何のことはない。義家の言動は、結局のところ、佐川やその
手先の輩(やから)がしでかしたあの文書改ざんの行為と、ちっとも変わら
ないことになる。同じ穴の貉だ。その腐った根性を持ち続ければ、そのうち
あんたも「義家が」、「義家が」と呼び捨てにしてもらえるようになるだろ
う。もっとも、呼び捨てにされる時は、あんたが泥かぶりの大役を押し付け
られる時なんだけれどね。
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