妄想ジャンキー。202x

人生はネタだらけ、と書き続けてはや20年以上が経ちました。

ノスタルジー

2007-09-13 01:29:27 | 長いひとりごと
今日の私はよく頑張った、もう寝るぞとベッドに横になったのに、無性に何かが気になって掃除を始めた。そうやって翌日の授業やバイトに睡眠不足をひきづるとは毎度のことなのに、まったく学習をしない。さっきから卒業アルバムを探しているのだけれど見つからない。探すのを辞めてみたら見つかるかもしれないと思い煙草でも吸って落ち着いてみたけれど、やっぱり見つからない。棚からボタモチ、棚から卒業アルバム。

あの子は誰だっけ、何部だったっけ。別段仲の良い子でもなかったのに、急にノスタルジーのスイッチが入ってしまった。名前も覚えていない、多分話したこともない彼が、私の思い出を造り上げている石の1つなのだ。そして今私は思い出の中にいるのだ。見た目は22歳だけれど、今私が見ている私は青いジャージを着て冴えない眼鏡をかけた中学生なのだ。

ノスタルジーは多面迷路によく似ている。縦軸は時間。平面には『たら・れば』が飛び交っていて、次の平面にも『たら・れば』が飛んでいる。それは蝶々のように可愛い飛び方ではなく、昔思い描いた未来の車のように右から左へあっという間に消えていく。恋を打ち明けなければ、きちんと謝っていたら、告白しなければ、乙女座が1位じゃなかったら。思考を繰り返して迷路の出口を探している。

この夜もいつかノスタルジーになる。明日も明後日もいつかノスタルジーになる。きっと私はまた思い出す。ノスタルジーのスイッチを入れて、迷路を走りまわる。思考を続ける。あのころの衣装を身にまとい、ああ懐かしいな、元気してるかななんて呟くんだろう。

誰かの平面世界にたっている。急に気になりだした彼の名前を思い出せないように、きっと誰かも今私の名前を思い出せない。石だ。石だけどそれは立派な石だ。ノスタルジーの住人は自分の名を語らない。私は私のいいようにノスタルジーを描いているから、石は語れない。きっと私も語れない。でも、それでいいんだと思う。思い出ってそういうものだと思う。

昨日、今日、明日と続いていくノスタルジーの連鎖を思い、まだこの迷路をさ迷ってみたいと思う。簡単な迷路じゃあつまらないでしょ。誰かが笑う。ああ、あのころの私か。久しぶり、元気そうだね。あんまり変わってないかな、いや変わったかな。凝り性なところは相変わらずだね。来年から就職だよ。卒論かけるかな。ここまでたくさん勉強したよ。嬉しいことも悲しいこともたくさんあったよ。たくさん友達出来たよ。たくさん歩いたよ。いくつかの疑問を投げ掛けてもノスタルジーは何も答えてくれない。けれど私は答えを聞いたように何回か頷いた。

明日もいい日になりますように。

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