大卒で入社した若者の約3割が、3年以内に離職するという現象は、もはや定着したと言っても過言ではないようです。
かれこれ30年続く現象です。
実は私もその内の一人ですが・・・
新卒応援ハローワークには、いわゆる早期離職者も訪れますが、その多くが悩むのが、離職理由を聞かれた場合の返答です。
特に、半年以内で離職したケースでは、相当深刻な悩みになっている人が多く、そのために次の一歩を踏み出せないという人も、実は我々が把握している数の数倍はいるのではないか?と思われます。
なので、そんな悩みを抱えて前に進めない状態になっている人に、普段私が窓口で早期離職者に話していることを書きます。
相談では、早期離職した人が口に出さずとも「自分はすぐに辞めてしまったので、マイナスイメージを持たれるのではないか?」などと思っていることは、少し話せば分かります。しっかりと顔に書いてあるからです。
結論から言うと、「(相手にとって)離職理由はそれほど重要な情報ではないよ」ということです。
このブログをはじめて最初のシリーズでも似たようなことを書いていますが、会社側の採用担当者は、芸能リポーターではありませんし、貴方の身の上話しを聞きたい訳でもありません。
貴方が、その会社の仕事に適しているのか、やる気はあるのか、今後どうしたいと考えているのかが知りたいのです。
では、どうして「前職はなぜ辞めたのですか?」などと聞くのでしょうか?
それは、貴方自身の自分に対する姿勢を確認しているのです。
履歴を見ればどのくらいの期間で辞めたのかすぐに分かりますが、その事実をどう受け止めているのか、乗り越えているのか、気持ちを入れ替えて前向きになっているのかなどを確認しているのです。(念のためですけど)
例えば、暗い表情になり明らかに嘘だろうと分かるような言い訳をする人なら、採用担当者は「何があったか知らいけれど、まだ触れられたくないのかな?それなら採用しても同僚や先輩から同じこと聞かれても嫌だろうな~。周りも本人も気を遣うだろうから、今回はお断りしよう」などと、0.1秒くらいで即決されてしまいます。
では、どうすれば良いのかというと、「淡々と、さらりと、明るく、事実を述べて反省し、未来を語る」ことをお勧めします。(くれぐれも、批判や悪口にならないよう、注意しましょう)
なぜかと言うと、面接では適性や意欲に重点を置きますが、入社後に他の社員との交流が始まったらそういう訳には行きません。
色んな場面で「前は何してたの?」「どうして辞めたの?」などと世間話の中では当たり前のように聞かれ始めます。
そんな時に、あっさりと「入ってみたら、全然自分に合わない仕事だったんで、すぐに足を洗って出直そうと思ったんです(笑い)」などと言えた方が、周囲にも気を使わせずに済むし、自分も隠さなくて済むので、ストレスにならないのです。
ついでに言っておきますが、世間で働く人はみんな、それなりに失敗や辛い経験をして来ているので、人をどうこう批判できるような立派な人など、そうそういませんよ。当然私もですが。
だから、貴方が前職を辞めた経緯や理由も、世間から見たら取るに足らないありふれた事の一つに過ぎません。
つまり、離職理由が重要だと思っているのは、当の本人なのです。
会社を辞めた人は罪人ですか?早期離職は法律違反ですか?直ぐに辞める人は信用出来ない人ですか?・・・
私はよく、そう問いかけますが、皆一様に「いいえ」と言います。
しかし今、早期離職の理由が言えないと悩んでいる人の多くは、まるで自分が犯罪でも犯した勢いで自分を責めたりしています。
だから、次の一歩が踏み出せず、他者に自分の非を責められると勘違いしている。非常にもったいない時間を過ごしていませんか?
私は、自分が早期離職を経験しているからという訳ではありませんが、そういう経験で「つまずき」を感じた人なら、その分だけ共感力も得られると思っています。
前にも書いたと思いますが、共感力は社会人にとって最も重要な能力だと、私は思います。
共感力だけではなく、協調性・立場チェンジ・思いやり・いたわりなどと表現される、相手のことを思い考える能力は、人間として最も優れた行為だと思うのです。
しかも、そういった能力は読み書きになどで理解する「理屈」ではなく、体験を通して「心に刻む」ものです。
さらに重要なのが、予期せぬ不都合との遭遇が、結果的により深く心に刻み込まれるという体験となることです。
始めから、早期離職を予定して入社する人などいません。つまり早期離職は、予期せぬ不都合に遭遇したと言えるのではないでしょうか。
その分、心に刻むべき感情も深くなるのです。
そう思ったら、早期離職の理由など、あまり大したことではないと思えるようになります。
それよりも「今回の経験で、私は以前に増して人を思いやることの大切さを知りました」などと言えるようになって欲しいと思います。
それでも世間は広いので、「早期離職をするような人はだめだ」と考える人もいることでしょう。
私も転職活動の際、何度かそう言われて落ち込んだたことがありますが、今ではそういう人はそういう人たちのコミュニティーで楽しく過ごせば良いだけだと思えるようになりました。
悩んで立ち止まって自分に向き合うのも、人生では大切な時もありますが、あんまり長引くと癖になってしまうので、少し勇気をもって行動してみて下さい。
そうは言っても・・・と自信のない人は、私に会いに来てください。
貴方がマイナスだと思っている出来事を、どうか私に話して下さい。すべてひっくり返して、のしを付けてお返し致します。