~子供達の地域離れ防止策~
平成18年度開港に向けて民間共用化が推進されております百里飛行場は、現在、航空自衛隊百里基地として利用されております。百里の飛行隊は自衛隊の中でも特に優秀であると聞かされております。パイロット・整備士共に能力がかなり高い水準にあると考えられます。
しかし、隊の定年は50代前半、まだまだ働き盛りの年齢です。以前「最終赴任地として百里は人気がない。」という話を聞いたことがあります。この周辺には、再就職先として、ほとんどその能力とは関係のない職場しかないそうだからです。
空港という特性を踏まえ、専門の教育機関による人材の育成を通して、地域における主導産業を創造する。『就労し、生活する人をまちに増やせれば商いは起きる。』このコンセプトのもと、民間共用化後のまちづくりを推し進めてみてはどうでしょうか。
では、この方たちに整備の会社や学校の講師として活躍してもらってはどうでしょうか。
提言といたしまして、「整備学校や飛行学校の開設」・「整備会社や航空会社の設立」が挙げられます。
今までに培われてきた経験と優れた技術を活かせる職場を創り出すことにより、隊員の定住率の増加が見込まれ、しいては、購買の増加へと繋がるのではないかと考えられます。
これら「整備学校や飛行学校」などの教育機関を設置して「整備会社や航空会社」といった空港の特性を活かした基幹産業を興すことにより、子供達に将来の選択肢の一つとして考える機会を与えることができ、地元就職先の提供という点から、子供達の地域離れの防止にも役立つのではないかと考えられます。
又、茨城県は「空港テクノパーク」という臨空型の産業団地を計画しております。地元に産業が確立されれば、それに付随した関連企業を誘致するのにも有利であり、産業団地の空洞化という事態は防げるのではないかと考えられます。
例えば、アメリカ・西海岸に「シリコンバレー」という街があります。3~40年程前は何もない田舎町でした。そこに、IT産業を起こして「まちづくり」を進めた結果、関連の企業や研究機関・大学などが立ち並び、世界のIT先進地として人口が増えたということです。
又、アイルランドの「シャノン」は「空港のあるまちづくり」を通して地域の活性化を成功させました。そして、シャノンで学んだ人材が、その知識を活かして「ハブ空港」と呼ばれる世界中の巨大空港で、開発段階から携わっているとのことです。
これらの事例からも、地域のブランドを確立することで経済の活性化が図られるものと考えられます。百里の将来の展望として、現在、大手の航空会社が海外へと発注している航空機の大規模な整備を行うことにより、「整備街・百里」というブランドを創っていってはどうでしょうか。
そこから、この地域の付加価値を高めて行き、商工業の活性化へと繋げてみてはどうでしょうか。
そこで、航空を専門とする教育機関として、民間の学校で「日本航空学園」という学校がございます。実際に、今年、7月7日に開港する能登空港に、石川県と地元・輪島市からの誘致を受けまして、4月に高等学校と大学校を開設いたしました。ここで、簡単ではありますが、日本航空学園につきまして御説明させて頂きます。
学校法人・日本航空学園は、創立70年の歴史を持ち航空技術者の養成に力を入れております。山梨県北巨摩郡双葉町に、日本航空高等学校と日本航空大学校、北海道千歳市に、日本航空専門学校、そして、石川県輪島市・能登空港臨接地に、この4月、日本航空第二高等学校と大学校が開校致しました。
校風は、『自由と規律』。「飛行機は大空を自由に飛べるが、何よりも安全が最優先されなければならないことであり、整備士・パイロットは、厳しい規律のもと安全運航に努める。航空技術者としての誇りは大空を自由に飛ぶために最大の努力が出来る不撓不屈の精神をもちえること。」という教育理念のもと、全寮制によるユニークな人間教育が実践されております。
この教育方針により、非常に真面目で、なおかつ妥協を知らない学生ばかりであるという評判から、この就職難の時代において高校で毎年100%、専門学校においては、昨年度400%、一人の学生に対し4社からの求人があったとのことです。又、千歳の専門学校では、最終学年において大手航空会社のインターン・シップ制度により、整備方式を在学中に習得してしまうとのことで、入社してから、即、働くことが可能であるということです。