所沢の音楽施設ミューズはいつのころからだろう、当初は自慢のパイプオルガンに埃がつまらないように、ワンコインコンサートと称して500円での平日のお昼にオルガンコンサートをしていたが、近頃ではオルガン以外に若手の有望演奏家のリサイタルを継続して行っている。平日のお昼のコンサートだけに聴ける人はこれまでの経験からでは、私のようなお金はともかく時間がある年金生活者が主体であるようだ。しかし音楽好きにはとてもありがたい企画だ。
特に今日のプログラムはMozart好きにはたまらない。何しろK.452のピアノと管楽器のための5重奏はMozart自身がこれまで書いた曲のなかでは最高の出来と父親に書送った自信作なのだから。すでに彼は弦楽四重奏曲の不朽の名曲15番書き終え、交響曲ではハフナーを終えている。
この曲を最初に聴いたのは、Mozartに夢中になった大学の頃のFM放送でピアノはアシュケナージだった?。しかし私はこれまでに、この曲を演奏会で聴いたことが無かった。ピアノとオーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンの五重奏その物の発想が天才のひらめきと思える。それだけに開演が待ち遠しかった。今日のミューズは出足が早く、すでに入口から長い列ができていた。開場後は1-2階は満席で、通常室内楽は3階席はクローズするのに今日は解放していた。
演奏は、それこそ若さはじける素晴らしい演奏だった。オーボエが終始リードしていたような気がする。その分ピアノが遠慮がちに聴こえたが元気はつらつな躍動感のある演奏が心地よかった。どうも21世紀の日本は音楽界も女性上位に進みそうだ。とにかく私の手持ちの中での演奏よりは、Mozartの自信あふれる言動に一番一致した演奏に思えた。Beethovenは音楽そのものが若書きでチャレンジャーの意欲的な作品だけに今日のメンバーにはふさわしいし曲で、事実演奏も素晴らしかった。このようなコンサートが1コインで聴けることは、主催者に感謝だ。
私の手持ちメディア
Lp時代は、K.452が聴きたくて、たまたま輸入の廉価盤を見つけ当時千円で購入したがドイツ盤でドイツ語が分からないというより演奏者は誰一人知らないものだった。Pf=Rolannd Brettschneider,Oboe=Werner Watzig Kla=Ewald Koch Horn=Fritz Grafe Fa =Otto Pischkitl
これは今聞くと何か教科書的な演奏で楽しくもなければ面白味もない演奏だ。今日の若さあふれる演奏からすれば、カビ臭い。
CD時代になりブレンデルのピアノに、ホリガー、ブルンナー、バウマン、トゥーネマンの名手が集う演奏だが、競争曲でお互いの自己主張がぶつかり合って圧倒される。でも違う気がする。
アルフォンス・コンタルスキーとカールライスラー、ローターコッフォ、等のベルリンフィルのトッププレイヤーたちの演奏は、それこそ同じ自己主張でもなごみがあり楽しめる。
追記
手持ちの中に1991年Mozart 没後200年イアーに内田光子&ECOとの全曲ピアノ協奏曲演奏会が行われ、その余興?でECOのメンバーとで、K452が演奏されNHKで放映された。私はビデオ録画し、それを現在DVDに焼き直し結構聴いているが、当時のTV録画と音声が汚いことが欠点だが、演奏は一番楽しい。皆さまのHNKならばぜひとも現在の技術で映像と音声を修復して「あの日の名演奏」を再現して再放映をお願いしたいのだがいかがでしょうか。
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