とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

所沢ミューズでマハン・エスファハニのゴールドベルク変奏曲を聴く

2016年09月12日 | 所沢ミューズ

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  マハン・エスファハニはこれまで名前すら知らなかった。おそらく所沢に越す前に住んでいた都内のマンションにいたら、たとえ彼がサントリーホールでのリサイタルだったとしても聴きに行かなかっただろう。都内で行われるコンサートの数が異常すぎるくらい多く、貧乏人には選択が限ら,オーケストラが中心でリサイタルまでお金が回らない。所沢に越してからは、都内のコンサートは友人のコンサート以外はご縁が切れ、たまに東京芸術劇場でのマチネーコンサートだけになった。その反動で、ミューズでのコンサートは,ジャンルを問わず、お金の許される範囲に出かけるようになった。

 その結果は、素晴らしいコンサートに出会った。私がついたときは入場されていたため行列はなかったが、入口には「完売御礼」の立看が出ていた。キューブホールは座席数300ちょっとのチェンバロリサイタルには最適の場所といえる。私の席も最適の位置を選んだ。

 まず驚かされたのは、ポスターと同じ人物と思えないほど、演奏者の風貌が変わっていた。チラシの写真は何年前の写真なのだと思った。しかしゴールドベルク変奏曲のアリアが始まった途端、彼の容貌がどうのこうのなどすっ飛んでしまい、綺麗な繊細な音が響いてきた。この曲の解説に付きまとう「不眠症に悩む伯爵に献呈」という逸話が、本当だと納得するような、心地よい眠りに誘われるような、透明な響きに魅了された、この長大な変奏曲を最後まで品位の高い透明度の高い響きで弾き終えた。80分近くの演奏にも拘わらずだれたところもなく、構成のしっかりした演奏にもかかわらずロマンティックなメロディーが随所で現れ、新しいBachを見つけた喜びに浸った演奏会だった。

 演奏会の終わりに、たまたま演奏会場に入ったときに、マハン・エスファニのCDが販売されていた中に、メインは嫌いなイギリス音楽家のウイリアム・バードの曲だがハンガリーの現代音楽作曲家ジョルジ・リゲティーの曲があり買い求め、演奏会終了後のサイン会でサインをもらい帰宅した。帰宅し早速「ハンガリアン・ロック」と題された曲を聴いた。ハープシコードで奏でるまさしくロックMusicだった。

 

  帰りは、雨の心配がなさそうだったので、日差しの暮れかかった航空公園を歩き、所沢駅まで運動不足過少に音楽の余韻を味わいながら歩いた。野外音楽堂で、名も知らぬ団体がコンサートを開いていた。通りすがりに覗いたが、ステージの正面で小さな女の子が音楽を聴いていた。印象的だった。どんな音楽にも、どこか良さがあるのだろう。先入感を持たずに傾ける気持ちがあれば、通じ合える何かがあるのだろう。

 

私の手持ち

学生時代お金がなく、どうしてもゴールドベルクが聴きたくて最初に手にした、当時国内盤最安値850円のコンサートホール盤のLPレコードを手に入れた。演奏者のクリスチーヌ・ジャコッティはこのLPが彼女のデビュー盤だった。その後入手した平均律全曲ともども、素晴らしい演奏なのに、レコード**なる日本の雑誌では、彼女の録音の日本での販売権を持ったレコード会社がなかったため提灯記事しか書けない音楽評論家からは無視されていた。その後バッハのVnソナタ全曲をグルミヨーと組んで発売されるや、レコード**なる雑誌でも取り上げられるようになった。ゴールドベルクはとにかく新鮮な音がした。今もって私にはこの曲では一番聴いている。(Lpを96Hkz/24bitに変換して)

サラリーマンになり、月給をつぎ込み4トラックテープコーダーを買い込み当時のFM東京のTDKオリジナルコンサートを録音して、聴いていた。何しろ、評論家諸氏が絶賛したものだったから?結婚して子供出来家が手狭になり、単身赴任中にカミサンにすべて「家に置き場がない」の一言で処分された。その後CD時代になりTDKがシリーズして販売したものを購入したが、現在聴いてみると、どこが「歴史的名演」なのだと思う演奏だ?むしろこの演奏をなぜリヒターが許可したかが疑問だ。大きなミスもあり演奏自体が破たんに近いもので、緊張感のないだらけた演奏に終始している。当時の私も、レコード**なる雑誌に毒されていたのだと反省している。

Sonyの55年録音の海賊版?ではと思う。演奏時間が若干違うがLP-CD化に際しての誤差だと思う。 

1958年の伝説のグレングールドのザルツブルグ音楽祭での実況版。このCDでの演奏はどれも素晴らしく、正直なぜ今日まで正規盤?がでなのかふしぎだ。私のはMUSIC&ARTS盤。ここでのグールドは「シラミの作曲家」と呼んだMozartのK.330を至極真っ当に演奏している。なかでもやっぱしゴールドベルグは圧巻の演奏。

Sony盤 のおまけに着いた1955年盤と1981盤を自身の言葉で答えている。(英語でのインタビュー録音)

インタビューを聴いて両者を比較すると彼の意図が分かる。基本的解釈は1955年から変わらないと彼は主張する。38分と51分の差異はリピートを一切しなかった55年盤とした81年の差だと述べている。

アスコーナ?音楽祭の実況版、エスファハニの演奏に近いピアノ盤。ロマンティックな演奏だと思う。

 



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