とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

春の祭典初演100周年 マイコレクションを聴き(観る)比べ

2013年07月17日 | クラシックDVD/CD


 今年は年明け早々、ワグナー、ベルディー生誕200年とのことで、HMVもタワレコも企画全集的なセットものがこれでもかと言わんばかり宣伝されたが、それとは別にストラヴィンスキー「春の祭典の初演100周年記念」と称してさまざまな指揮者のハルサイをまとめたセット物が売り出された。20枚組みセットものでは38種類のハルサイが収められている。このセットを続けて聞く人がいるのだろうかいらぬ心配をした。
 80年代に仕事が忙しく、コンサートに行けず、また子育てに我が小遣いを吸い取られ、CDを買う余裕がなく、オペラはオープンテープ、その他はカセットに当時はやった「FM放送の留守録」をしていた。
 オープンテープのほうはデッキともども単身赴任中にカミサンに処分されたが、かろうじてカセットは生き延びた。その中に好きな指揮者「イーゴリ・マルケヴィッチ」の最後の来日演奏会のハルサイが残っていた。
 それをローランドUA-25EXでデジタル化して聴いてみたら面白かったことから、「My Collection」を作ってみようと思った。今後 My Blogでシリーズ化しようと思う。

1、 最初に聞いた「春の祭典」LP
 私が最初に聞いた春の祭典はコンサートホールソサエティー盤のピエール・ブーレーズのLPでした。1350円の価格は新譜のLPとしては当時一番安く、高校生のお小遣いで何とか買える範囲でした。もちろん指揮者ピエール・ブーレーズは日本ではまだマイナーな指揮者で、私は当時名前すら聴いたことのない指揮者でした。その当時はまだベートーベンの交響曲全曲を聞いたことが自慢できるくらいの音楽しかしらないときでした。音楽の授業でも聞けませんでした、ですからLPに針を落とした瞬間から、「これが音楽か?」と思い、聴き終わった後にベートーヴェンをすっ飛ばすほどの衝撃を受け、その後は背伸びの部分もありましたが、シェーンベルク、ベルク、ウェーベルン、バルトークを聞きFM放送も「現代音楽」を聴くようになりました。
 
 
 ブーレーズは63年、68年、(91年=未所持)、93年(DVD)とほぼ5年刻みの解釈の変遷の聴き比べをした。世評の高い91年録音は聞いたが、世評ほどの興味が起きず買いませんでした。93年のNHK-BSで放映された時には、自身の「春の祭典」の解釈を述べているとともに63年の録音エピソードも述べていて大変面白かった。エピソードを重ねあわすと63年盤が大指揮者誕生秘話としても非常に面白い演奏だし、私にとっての「春の祭典」のいまでも原点だ。


2.ハルサイはマルケヴィッチ
  

 正直、マルケヴィッチは、C.ミュンシュと並び好きな指揮者だが、彼のハルサイを聞いたのは1980年の最後の来日演奏会のFM放送だ。もちろん彼が「春の祭典」のプロデューサーであるデアギレフの娘婿であったこと、また二人のイゴールとして、作曲家としてもストラヴィンスキーと並び称されていたことも知っていたが、演奏を耳にしたのは今回のブログのきっかけとなったFM放送で比較的遅くに聴いている。
 フジTVでの録画は伝説となった、初来日の演奏ではないが、伝説が納得できるすばらしさで、左右両手で変拍子を振り分けている姿が見れる。世評では1998年7月号の英国誌グラモフォンが春の祭典の演奏での1959年の録音がBestとしている。この録音の裏舞台も、オットークレンペラーの突然のキャンセルでEMIが急遽押さえた会場、オケを無駄にさせまいと彼を頼って、一夜で成し遂げた偶然の録音で彼の伝説となっている。
 しかし私には1962年のエジンバラ音楽祭の実況録画がすばらしい。会場の熱気がつたわり、抱き合わせのビシネフスカヤとの競演で彼の管弦楽編曲版のムソルグスキーの歌曲集も絶品物で私の一押しだ。


3.その他etc


 ドラティー+デトロイト交響楽団は、かつてレコード芸術誌が大手レコード会社のちょうちん記事で絶賛を博したものだが、録音のすばらしさが特筆される。カラヤン+BPOはとにかくソロパートがすばらしくそれこそ、本来の曲がもつ「醜さ」をそぎ落とした美しい「春の祭典」でカラヤンだからこそのものだ。私は面白いと思った。DVDのハイテインクのものはベルリンフィルのヨーロッパツアーの実況録音集10枚組セットの1枚だが、この演奏も悪くはない。指揮者の教則本を見るようなバトンテクニックが見事。

4.バレイを観るなら

 NHK-BSで放映されたギルギエフ+マリンスキー劇場版はニジンスキーによる初演振り付けの再現を行ったものとのことで興味を持った。100年の隔たりは、「古さ」を感じ、初演時の騒ぎがうそのように思えるが、ゲバントハウスバレーのウェー・ショルツの振り付けによるピアノ連弾版、オーケストラ版を観るとこの曲は現在でも「新しい」音楽だと実感するとともに、この曲を乗り越えた現代音楽は現れていない思いがした。


 


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