とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

マルティノンのベルリオーズ

2007年12月04日 | LPレコード
昨日は術後要観察の月1の検診に癌研有明病院に行った。予約制だが、検査と診療に分かれるため待たされる。そのため毎回聴きたいCDをザウルスにダウンロードして行く。
今回はマルテノンのCDを中心に聴いていた。
その中では久しぶりに聴いた、彼の演奏するベルリオーズに新鮮さと新たな感動を覚えた。
中学生の時に、クリスマスプレゼントでもらったシャルル・ミュンシュの幻想交響曲が生物学で言うところの「刷り込み」現象で、以後ベルリオーズもミュンシュも好きになった。しかしLp時代にはベルリオーズの大作は高価でなかなか手が出なかった。
大学時代にたまたま銀座山野でのバーゲンで見つけたオラトリオ「幼子イエス」を買った。このときが「幼子イエス」も指揮者マルテノンも初めて聴いた。曲もマルテノンの音楽も、ミュンシュとは対極に位置するものだった。

その後CDの時代になって、「幼子イエス」はミュンシュとクリュイタンス盤を入手した。ミュンシュの分厚い響きとクリュイタンスのロスアンジェルスとニコライ・ゲッタのきらびやかな響きにマルテノンのLPをCDに焼きなおしたが取り出すことはなかった。

ミュンシュは「トロイの人々」と「レリオ」は残さず世を去った。どうしても「レリオ」を聴きたかった。たまたまマルテノンの「幻想交響曲とレリオ」セットのCDを秋葉原石丸電気で見つけた。レリオを知った意義はあったがミュンシュに慣らされた耳には、遅めのテンポでコルネットと木管がやたら耳に付く幻想は異質に感じた。
今回久しぶりに病院の待合室でしかもイヤフォンで聞いたが、マルティノンが素晴らしい指揮者だと再認識した。
「幼子イエス」は単純比較をすれば、ミュンシュはドラマティックなオラトリオ。クリュイタンスはオラトリオ的なオペラ。マルティノンは清涼感と色彩感の溢れたオラトリオだ。
「レリオ」については比較対象を有しないが、「幻想交響曲」に限れば第二楽章の扱いで評価が分かれるのだろうか。9種のミュンシュ盤、3種のマルケビッチ盤、2種のクリュイタンス盤、1種のインバル盤は同じ版の使用だがマルティノン盤はコルネットをソロ的に扱い主旋律として登場する。コリン・デービスの生誕200年記念コンサートライブのロンドン交響楽団盤は両者の折衷版のようだ。
この3種の違いが作曲者自身による版の違いなのか、作曲家マルティノンの個人的選択改定なのか、どなたかご存知の人がいらしたら教えていただけないでしょうか。
いずれにしても「幻想」だけに限れば、個人的にはマルケビッチ=BPO盤の切れ味の凄味、ミュンシュ=フランス国立管との63年リスボンライブのハチャメチャ唸り声入りの迫力、クリュイタンス=パリ音楽院の東京ライブの熱気に魅力を感じるが、レリオとの完結編幻想としてはマルティノンしか選択はないと思う。
インバルは幻想の出来からしてはずれだし、ブーレーズのベルリオーズは面白くない。いずれにしてもマルティノンの音楽は素晴らしい。


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