とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

ヤナーチェックの不思議な魅力(3)弦楽四重奏曲

2008年05月23日 | Weblog
私がヤナーチェックの音楽に興味を持ったのは1990年代に入ってからだ。それまでは、シンフォニエッタ、タラスブーリバのオーケストラ曲、グラゴールミサ曲を聴いたぐらいだ。その時はバルトークに魅かれていたこともあり左程素晴らしいとは思えなかった。
ドボルザークの美しいメロディーにひかれ、弦楽四重奏曲の「アメリカ」を聞きたくて、ヤナーチェック四重奏団のCDを手に入れた。
このCDは当時のチェコの作曲家の代表的な四重奏曲を1枚に収めた、入門者向けの選曲だ。スメタナの「我が生涯」に挟まれてヤナーチェックの「クロイツェルソナタ」を聴いた。この時にヤナーチェックの強烈な個性に魅力を感じた。自分の感情を思いっきり爆発させたような出だしからして、強烈な個性だ。しかもスメタナの「我が生涯」との対比で、作曲当時の「老い」の年齢の中でのこの強烈なエネルギーの凄さに驚きを感じた。



その後メディチ四重奏団のCDで「ないしょの手紙」を聞いた。ただ彼の四重奏曲を知りたくて買い求めた。ベートーベンもショスタコービッチも晩年の四重奏曲は素晴らしいが、それは「枯れ」た人間の魅力がでるからだ。しかしヤナーチェックのこの曲には「枯れ」はない。この「エロス」を発散するこの曲のエネルギーの凄さはどこからわき出てくるのだろう。



最近、世評の高いスメタナ四重奏団のCDを購入した。彼らの絶頂期の録音(70年代)にも関わらず、私には1番の爆発的な感情表現、2番のエロスの発信が感じられない。何か教科書的な模範演奏のようだ。
それにしても、「前期 高齢者」に仲間入りした私の「老い」にはヤナーチェックのような感性を失わずに生きたいものと思うのだが・・・・・

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