とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

バーンスタインの答えのない質問より ベルリオーズの「ロメオとジュリエット」

2013年09月02日 | 答えのない質問

 バーンタインのハーバード大学での講義6枚組みDVDの4枚目は前回のベートーベンの「田園」での音楽における意味論の発展として、チョムスキーの変形文法論を軸に音楽における「曖昧さ」を論じる。ここでも彼は言葉と詩の相違と詩と音楽の同一の実証を試みる。言語との相違は詩も音楽も省略と隠喩により芸術となるが、それは深層構造と超表層構造により芸術に高まるが、その結果として「曖昧さ」が生じるとする。其の音楽こそが「ロマン派の音楽であるとする。
 具体的には音楽では「調性」の曖昧さとする。
 ベートーベンはハンマークラビーアソナタでその魁を成したが、明確な調性を維持することでバッハの築いた音楽を維持したが、ベルリオーズは其の音楽を革命的に変革したとして、調整の曖昧さを「ロメオとジュリエット」の交響曲の一部「ロメオひとり、&キャピュレット家の大舞踏会」を演奏で示した。
 バーンスタインはこの間ベートーベン、シューマン、ショパンと自身のピアノ演奏で、調性が揺れ動くさまとその美学を例示し、最後にベルリオーズで音楽史の流れを示した。そして其の曲を20年後にパクッテ作られた無調性曲こそがトリスタンとイゾルデに他ならないとした。

以前私は下記Blogで私は革命的音楽家が好きだと書いたが、バーンスタインの音楽論で其のすばらしさの訳が明確に理解できた気になった。 
http://blog.goo.ne.jp/yyamamot7493/e/e7318d6da970e4ffa757c9c2d7b4b9be




 私が最初に手にした「ロメオとジュリエット」は80年代、LP時代の終焉の時だ。ただただ、ベルリオーズが聞きたいがために値段が安かったことで購入した。声楽部分を省略した小澤とボストンとの録音で、輸入盤セールで買ったものだった。ただ現在聞くと抜粋の選曲の意図が単に1枚のLPに過不足なく収められたとの意味合いしか感じられないが楽しめる演奏だ。
 それに反してバーンスタインは1959年にすでにこの曲の持つ価値をアピールするために録音していたことに改めて感動した。


 ミュンシュ+ベルリオーズは私がベルリオーズにのめり込むきっかけとなった幻想交響曲以来のことだ。経済的に余裕も少しできたことから、学生時代からの石丸電気、デスクユニオン、山野に輸入盤コーナー漁利に出かけて購入した。其の中では1962年がお勧めだが、オーケストラバージョンは1947年そして全曲録音は1953年に手がけていたのはさすがだと思った。だが62年の圧倒する音楽は他にないだろう。



モントーとロンドン盤は、小澤の演奏に満足できず、どうしても全曲盤が聴きたくて、80年代にCDで最安値だったことで購入したが、これはミンシュの62年盤に次ぐ出来だと思う。
ジュリーニとシカゴはいわばB面で本命はクリュイタンスとパリ音楽院の「キリストの幼児」のおまけだが、これはお買い得でオーケストラバージョンでは最良だ。しかもキリストの幼児はベストだと思う。
デュトワ=モントリオールは音のよさでは最良。

 エリアフ・インバル=フランクフルト放送 は録音の良さとオペラ作品を除く主要作品を11枚に網羅し、値段の安さが魅力だが、同コンビのマーラーほどの魅力は感じない。


 サー・コリン・デービス=LSOのLIVE録音はオペラを含むが宗教作品を除く主要作品を12枚に収めたもので、英語版の歌詞もつき、演奏もすべてLIVE録音の臨場感もあり、推薦盤だろう。むしろ録音の良さを考慮すればこのセットは万人に推薦できるものだ。





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