とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

今夜も夜更かしオペラ ドン・ジョヴァンニ

2011年05月15日 | オペラ


モーツァルトのオペラはワグナーについで比較的早くに親しんだ。それでも四大オペラの全曲盤を手にしたのは就職してからだ。
ドン・ジョヴァンニは、曲自体の規模、ストーリー等私には古典派の枠を大きく超えた曲と思え興味をもち、手持ちも四大オペラの中では1番多く、スコアーも買った。



ヘリオドール盤(LP3枚組=3000円) 165:32
フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送交響楽団、RIAS室内合唱団、フィッシャー=ディースカウ、
ユリナッチ、シュターダー、ヘフリガー、コーン、ほか1958年ステレオ録音

最初に入手したのは当時一番安く入手できたフリッチャイ盤だが、1975年だから40年以上経過したがこのLPは色褪せない。今回面白半分で、AUDIO CREATORで24bit 96kHzのデジタル化した。ここでのフィッシャー・ディスカウのドン・ジョヴァンニはすばらしい。音だけでは手持ちの中では最高だ。



・モーツァルト:歌劇『ドン・ジョヴァンニ』全曲
 エツィオ・ピンツァ(ドン・ジョヴァンニ)
 アレクサンダー・キプニス(レポレロ)
 ヤルミナ・ノヴォトナ(ドンナ・エルヴィーラ)
 ローズ・バンプトン(ドンナ・アンナ)
 チャールズ・クールマン(ドン・オッターヴィオ)
 ビドゥ・サヤン(ツェルリーナ)、他
 メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
 ブルーノ・ワルター(指揮)

 録音時期:1942年3月7日
 録音方式:モノラル(ライヴ)
  154:46

 手持ちはNAXOS番だが、Immotal Performances シリーズだがこれは文字通り不滅の名演だろう。以前ホームページを出したときにも触れたが、この演奏は1942年第二次大戦最中、ヨーロッパの戦禍を逃れた者たちで演じられている。この演奏だけでも観客の笑い拍手とオペラを楽しんでいる事実に基軸国は連合国に勝てないと悟るべきだった。ここでのワルターの演奏は彼のモ-ツァルトのピアノ協奏曲20番同様自己主張丸出しのらしくない激しいモーツァルトだ。録音さえ気にしなければ素晴らしい演奏記録だ。



・モーツァルト:歌劇『ドン・ジョヴァンニ』全曲

シェリル・ミルンズ
ヴァルター・ベリー
アンナ・トモワ=シントウ
テレサ・ツィリス=ガラ
ペーター・シュライヤー
エディト・マティス、他
ウィーン国立歌劇場合唱団

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ベーム(指揮)

録音:1977年、ザルツブルク[ステレオ]183:56

 中校生の時に読み始めた「レコード芸術」なる雑誌に汚染され、その後遺症から モーツァルト=カール・ベーム=ウィーンフィルがウイルスのように染みこみ、彼の演奏を集めることで入手した。ベームウイルスを駆除した現在客観的に見て、スタジオ録音よりはライブ演奏のこのCDは良いと思うが最良ではない。



歌劇『ドン・ジョヴァンニ』全曲
 ドン・ジョヴァンニ:チェーザレ・シエピ(Bs)
 騎士長:クルト・ベーメ(Bs)
 ドンナ・アンナ:シュザンヌ・ダンコ(S)
 ドンナ・エルヴィーラ:リーザ・デラ・カーザ(S)
 ドン・オッターヴィオ:アントン・デルモータ(T)
 レポレッロ:フェルナンド・コレナ(Bs)
 ツェルリーナ:ヒルデ・ギューデン(S)
 マゼット:ヴァルター・ベリー(Bs)
 ウィーン国立歌劇場合唱団

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヨーゼフ・クリップス(指揮)
 録音:1955年6月 ウィーン、レドゥーテンザール[ステレオ]

 四大オペラが10枚のCDにまとめられ、しかも1000円で入手した。ここに収められたものはどれもピカ一の演奏ばかり、音だけではこのセットで足りる。中でもドン・ジョヴァンニは最良だろう。クリップスのモーツァルトはどれも素晴らしい。これまでベームの後塵を拝した評価は改められるだろう。なぜ評価されなかったが不思議だ。この時のシェピはフルベンのときよりも数段上だと思う。



ーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》 全曲

ドン・ジョヴァンニ…チェーザレ・シエピ(バリトン)、
騎士長…デジェー・エルンシュテル(バス)、ドンナ・アンナ…エリーザベト・グリュンマー(ソプラノ)、
ドン・オッターヴィオ…アントン・デルモータ(テノール)、ドンナ・エルヴィラ…リーザ・デラ・カーザ(ソプラノ)、
レポレロ…オットー・エーデルマン(バス)、マゼット…ヴァルター・ベリー(バス)、
ツェルリーナ…エルナ・ベルガー(ソプラノ)、ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
演出:ヘルベルト・グラーフ、制作・監督:パウル・ツィンナー
制作:1954年10月 ザルツブルク音楽祭における収録177分/

 「レコード芸術」のウイルスで伝説名盤とされ、LDで売りだされたときに大枚はたいて購入したが、フルベンの指揮姿は最初の序曲だけで殆ど映らず、カメラワークもイマイチで、映像も、舞台も暗くはっきり言えば安普請。音だけならばワルターのほうがワクワクする躍動感を感じるが、フルベンは重たい音のかたまり。これが評論家先生の言うところのドイツ精神というものか?
 最近NHKのリマスターHiVison盤を見たがあまり感動は受けなかった。



・モーツァルト:歌劇『ドン・ジョヴァンニ』全曲
 ドン・ジョヴァンニ:サミュエル・レイミー
 ドンナ・アンナ:アンナ・トモワ=シントウ
 ドン・オッターヴィオ:エスタ・ヴィンベルイ
 騎士長:パータ・プルチュラーゼ
 ドンナ・エルヴィーラ:ユリア・ヴァラディ
 レポレロ:フェルッチョ・フルラネット
 マゼット:アレクサンダー・マルタ
 ツェルリーナ:キャスリーン・バトル
 ウィーン国立歌劇場合唱団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
 演出:ミヒャエル・ハンペ
 映像監督:クラウス・ヴィラー
 収録:1987年 ザルツブルク音楽祭[ライヴ]
 収録時間:189分

 フルベンとは違いハンペの演出がうまい。広い舞台を贅沢に使い、登場人物が旨く役にはまり見ていて楽しめる。フルベンよりはましだ。しかも新品を1250円で入手した。CDよりも安いDVDだった。




■モーツァルト:歌劇『ドン・ジョヴァンニ』全曲
トーマス・アレン
エディタ・グルベローヴァ
フランシスコ・アライサ
アン・マレイ
クラウディオ・デズデーリ
ナターレ・デ・カローリス
スザンヌ・メンツァー
セルゲイ・コプチャク
ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
リッカルド・ムーティ(指揮)

ジョルジョ・ストレーレル演出

ライヴ収録:1987年、ミラノ・スカラ座

NTSC方式
画面:カラー(4:3)
音声:ドルビー・デジタル・ステレオ

収録時間:179分

 LDで入手し楽しんでいたが、ムーティーも演奏、配役、ストレーレルの舞台と正に三拍子揃ったもので、再度DVDを買い直した。というよりスカラ座のDVDがまとまって廉価版として売りだされたのを購入したおまけだが。世評高いウィーンよりもスカラを私は押す。音楽の躍動感が全てだ。



・モーツァルト:歌劇『ドン・ジョヴァンニ』 K.527 全曲
 ドン・ジョヴァンニ:トーマス・ハンプソン
 レポレロ:イルデブラント・ダルカンジェロ
 ドンナ・アンナ:クリスティーネ・シェーファー
 ドンナ・エルヴィラ:メラニー・ディーナー
 ツェルリーナ:イザベラ・バイラクダリオン
 騎士長:ロバート・ロイド
 ドン・オッターヴィオ:ピオトル・ベツァラ
 マゼット:ルカ・ピサローニ、他
 合唱:ウィーン国立歌劇場合唱団
 管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:ダニエル・ハーディング

 演出:マルティン・クシェイ
 収録:2006年7,8月、ザルツブルク祝祭大劇場

 音声:PCMステレオ/DTS 5.1
 画面:カラー/ワイド(16:9)

 現代への置き換え演出のため、出だしで演出を受け入れるかどうか評価が決まってしまうが、音楽を邪魔する演出は演出でないと言い切れる。その意味ではギリギリの所にある演出だとおもう。目で楽しむオペラか?





・モーツァルト:歌劇『ドン・ジョヴァンニ』全曲
 ドン・ジョヴァンニ:サイモン・キーンリイサイド(バリトン)
 レポレロ:アントン・シャリンガー(バス)
 騎士長:アルフレート・ムフ(バス)
 ドンナ・エルヴィラ:マリン・ハルテリウス(ソプラノ)
 ドンナ・アンナ:エヴァ・メイ(ソプラノ)
 ドン・オッターヴィオ:ピョートル・ベチャーラ(テノール)
 ツェルリーナ:マルティナ・ヤンコヴァ(ソプラノ)
 チューリヒ歌劇場管弦楽団&合唱団
 フランツ・ウェルザー=メスト(指揮)
 演出:スヴェン=エリク・ベヒトルフ
 チューリヒ歌劇場でのライヴ収録

 これは「またか」と思うチューリヒの音楽をダメにする演出の見本だろう。映像がなければ素晴らしい音楽の調和が得られるのに、映像がすべてをぶち壊す。錯覚を利用した奥行き感、枠組みで時間感を出す演出に面白さがあるが、演出自体が音楽を殺しては何のための演出かと疑問。実験的な試みをNHKのTVで見られるのは良いが金を払ってまで見る気はしない。









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