
ラグビーシーズンはラグビー観戦が優先され、加えて正月休みにと思い買いだめしたDVD、録りダメしたNHKのメトロポリタンの実況をはじめとするオペラ番組も、年末にオフクロが緊急入院したことで見る機会を失った。
しかし先週退院してからは、病院通いもなくなり一息つけるようになり、在庫崩しにかかった。
まずは、プラチード・ドミンゴがバリトン役のリゴレットとシモンに挑んだことに興味を惹かれた。
もともとがバリトンだったこと、すでに我がブログ(2009/08/17)で彼がドン・カルロでテナー、バリトンの一人二役の録音を紹介したが、これはあくまで余興でしかもアリアの一部だった。しかしリゴレットもシモンボッカネグラにしてもバリトン主役の名曲中の名曲、余興なんぞでこなせる役ではない。しかも名曲だけに定番と言われる名盤が存在する中で、彼の役作りに興味が膨らんだ。
まずはリゴレット
これはRAIのイタリア国立放送が中心となって、NHK,BBC,フランスTV、ZDと、CNCなど各国の放送局がスポンサーに名を連ね、マントヴァでの全編ロケでの昨年9月に世界同時放映されたものだが、我がNHKはスポンサーに名を連ねながらも同時放送にはなぜかしなかったものだ。放送先はアフリカ、アジアとクレジットが記載されていたのだが、NHKに何があったのだろうか。?
いずれにしても1月8日の放映はありがたかったが、何故かこの時も番組では、いわばB面扱いで、2007年のスカラ座の「椿姫」がメインだった。
観終わった感想は「ドミンゴ、お主!!役者やの!!!!」の一言。68歳とは思えない声自体のすばらしさ。驚嘆。そして演技力。ただオペラ映像としては素晴らしいけど最高ではない。残念ながらJ-ポネルの演出したほうが1枚上手だ。ストリーのテンポ、ヴィクセル演じるリゴレットの道化の影の表現。マントヴァ公爵のデブでない若きパバロッティの声、グルベローヴァのジルダ、フルラネットの殺し屋と細部に行き届き、音楽自体もシャイーとウィーンフィルの分厚い響きがロケにも会う。
総合的には劣るが、マントヴァの風景を取り込み殺し屋にライモンディが参加するなど、現時点の現役を集めた作品としては素晴らしいと断言できるかな?。でもリゴレットにはやはり「影」が不可欠。ドミンゴには影が無い。
シモン・ボッカネグラ

シモンのドミンゴはリゴレットほど違和感はない。むしろ年齢的にも、役柄には適していたように思える。オテロのように英雄が崩れていくさまが役者として素晴いい演技だ。2009年のベルリンからドミンゴはシモンに挑戦していたそうだ。私が手にしたDVDは2010/07/2-13 ロイヤルオペラだ。
ヴェルディ:シモン・ボッカネグラ
【演奏】
シモン・ボッカネグラ…プラシド・ドミンゴ
アメリア…マリーナ・ポプラフスカヤ
フィエスコ…フェッルッチョ・フルラネット
ガブリエレ・アドルノ…ジョセフ・カレヤ
パオロ…ジョナサン・サマーズ
ピエトロ…ルーカス・ヤコブスキ
コヴェント・ガーデン、ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団&合唱団
アントニオ・パッパーノ(指揮)
舞台監督:エリヤ・モシンスキー
装置:マイケル・イアガン
衣装:ピーター・J・ホール
照明:ジョン・ハリソン
【収録】
2010年7月 コヴェント・ガーデン、ロイヤル・オペラ・ハウス
しかし購入してからHMVのNETを覗くと、METの2010/02公演のDVDの予約受付が載っていた。演出がMET版はなにかと話題を集めるジャンカルロ・デルモナコだけに早まったかなとの印象を受けたが、ロイヤルオペラ版は舞台装置は質素だが必要にして十分であり、フィエスコ役がフルラネットも素晴らしく一応は満足している。
ただないものねだりだが、CDのアバドとミラノスカラ座のプロダクションに映像が残っていればと思う。この時のキャストは正にドリームキャストだった。1976年のNHKのイタリアオペラ公演がカラー版で見れるが、これは映像が暗くきたないし、音も明瞭さにかけ、カップチェリ、ギャウロフの名演も「本物はすごかったのだろう」と実演に立ち会った人が裏ましく思うだけのシロモノに終わっている。MET版を見ていないが、私には現状ではロイヤルオペラはベストチョイスとおもっている。
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