とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

雨の日はオペラ ワグナー「リエンツィ」

2014年06月06日 | オペラ

 昨年はワグナー生誕200年のメモリーイヤーだった。ワグナーだけにそれこそこれまでの録音を含め、結構記念便乗のCD,DVDが売り出された。ワグナー好きな私は、正直そのことを期待していた。しかしオペラは総合芸術だけに「音」だけでは不十分だ。同じ200年記念のヴェルディは新たな映像も含めたDVD,BDでの普段演目に上がらない初期作の発売があったが、ワグナーにはなかった。そうした中に200年記念とは関係なしに2010年にベルリンで演じられた「リエンツィ」をネットで見つけた。しかしすぐには手を出しかねた。すぐにバイロイト同様に、読み替え演出でしかもナチスをイメージしたものと一見で理解できるカバーだった。

 しかしながら正直音では全曲聞いたことがあるが、「絵のないオペラはオペラでない」。ワグナーの出世作となったオペラをどうしても見たかった。日本語字幕付き、1780円の安さに負けタワーレコードのネットクリックを押してしまった。今日は朝から雨だったので、カミさんが外出でいないこともあり、居間のサラウンドをボリュームを上げ一人で聴いた。

 しかしシンフォニックな序曲が始まるや否や、すぐに演出の意図は見え見えで、ヒットラーと思しき人物が山荘の窓の前に広がるアルプスと思しき山を眺めるところから始まる。そして全編にわたり、レニ・リーフェンシュタールの映画手法を使い舞台上に大スクリーンにヒットラーの演説を模した映像を要所要所に流す。これらの意図は付録に着いたメイキングビデオを観るまでもなく、あからさまで、これまでのバイロイト演出の二番煎じどころか出がらし演出だった。

 できれば生きながらえているかは定かでないが、2033年の没後150周年までにぜひとも全曲初演時の演出を再現した舞台を見てみたいものだ。むしろ日本の新国で演出は当時の意図を最新の舞台装置で再現してみたらと思いたくなる。

 序曲だけの私の手持ちあれこれ

ワグナーに触れたのは、FM放送開始時(当時は試験放送でFMアンテナを建てて聴いた。)聴いたのが最初で、記憶は定か出ないがベームのバイロイトでのトリスタンだったと思う。だがワグナーのレコードは買うだけの余裕がなく、最初に手にしたのはコンサートホール盤のLpで最初に聴いた曲がリエンツィ序曲だった。それ以来オペラを観てみたいと思いながら今のいままで見ることはできなかったが、見た結果は思ったとおりの酷さだった。僅か10分強の序曲で想像をふくらませたほうが良かったと思う。このLPで聴くリエンツィはDVDを見た後のなぐさめだ。

 その後著作権の期限切れをねらて、復刻版のCDが多数発売された中に40人の指揮者を一人1CDで其の代表的な演奏を収めたセットが売りだされ、クナンパーツブッシュのCDにブルックナーの4番と抱合せがあった。1940年にウィーンフィルとの演奏でベルリンとの1944年のブルックナーよりは聴く価値はある。

サヴァリッシュの演奏はフィラデルフィアとの晩年の演奏だが、彼こそバイエルン時代にワグナーのリング同様に映像で残して欲しかったと思う。2枚のCDにワグナーの初期作のレアな作品の断片がまとめられたワグナーファンには必聴CDと思う。

 

 



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