とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

ブロムシュテット&N響とのBeethovenを聴く

2015年09月21日 | 所沢ミューズ

 ラグビーWCでのJapanの勝利の興奮が冷めぬままに夜は所沢ミューズに、このところ恒例になった年に1度のN響公演に出かけた。ブロムシュテットは私の好きな指揮者マルケビッチに教えを受けた指揮者として興味を持ち、N響とのブラーム、モーツァルトは録画し、結構頻繁にみているが、ミューズでのプログラムはバイオリン協奏曲と交響曲3番という古典派様式を乗り越えた時期の傑作を並べた演目にチケット発売日に即購入し、今日の演奏会を待ち焦がれていた。

 結論から言えば期待に充分以上に答えてくれた素晴らしい演奏会だった。

バイオリン協奏曲

 まず最初の出だしに、すごく音が響くのに驚き、かつ音色がきれいなのに魅了された。全曲を通してそれは変わらず、私が今まで生で聞いた音色の中ではおそらく最高のバイオリンの響きに思えた。その音色を生かすようにブロムシュテットの音楽は時に荒々しく、また繊細に大きなスケールで美音をつつみこんで終えた。全体を通して曲が型枠にはまらず波打つ進行は、古典派の枠を突き破る、ベートーヴェンにふさわしい出来栄えだった。

(私の手持ち)

No.7No14No.3

高校の時にFM放送で最初にこの曲を聴いたが、最初に入手したのは当時としては一番安かったNo.7のコンサートホールソサエティーLpレコードだった。これはインチキステレオでヴァイオリンとオーケストラが左右に分離されたLPで音楽が不自然なままだった。今回24Bit96kHzWAVにしたが基本は変わらないが、時代の変遷時期の「ステレオ」感が味わえる。大学時代にシゲティー追悼盤としてNo.141000円Lpとして廉価版Lpの先駆けとして発売された。評論家諸氏の「精神」性の高い演奏(わけのわからない言葉だが)と出てくる「醜音」とのギャップに戸惑ったが、伴奏したドラティの指揮の素晴らしさが印象に残った。その後ドラティ指揮するNo.3のDVDを入手したが、これは今回のブロムシュテットの演奏とは真逆の解釈で古典派のベートーヴェンとして形式感を打ち出した解釈でその中をグルミヨーのバイオリンの美音を浮き立たせた演奏は見事な出来栄えだと思うし、ドラティの力量のすごさを知った。

今回のプログラム同様に交響曲3番とバイオリン協奏曲の両者を残した指揮者の解釈が面白い。

No.1とNo.10のワルター、No.11とNo.5のフルベンNo.4とNo.13のミュンシュNo.15とNo.15サヴァリッシュ この時代のベートーヴェンの音楽の立ち位置を指揮者がどうとらえたかが比較すると面白い事例だと思います。

交響曲3番

 これはバイオリン協奏曲で述べたように、ブロムシュテットの指揮はよりロマン派形式に力点を置いてある種古楽演奏の良さを加味した演奏で、音量も統制するよりはむしろ演奏者の自発性を存分に発揮させるような音楽作りをしていた。したがってほころびも散見されたが、それよりも躍動感のある演奏で、葬送行進曲も足を引きずるような重苦しいさもなくむしろドラマチックな起伏に富んだ演奏で、7番を見据えた演奏に思えた。これまでに聴いたベートーヴェンとは違う新鮮さすら感じ、88歳の巨匠から老いではなく未来志向の若さを感じた素晴らしい演奏だった。いつもは指揮棒を持つのだが、この日の演奏は手で行っていたのは何かわけがあったのだろうか。

(私の手持ち)

 No14安保60年の国会周辺でデモ渦巻く中で現天皇臨席の中での演奏会。No.10安保法改正70年の中での演奏

どちらも私の好きな指揮者がいずれも安保法にかかわるデモの最中に行われたものだが、どちらもまれに見る名演奏なのだ。一聴の価値あるものとわたしの推薦

No.12とNo.19は録音日付に注目してください。No19はトスカニーニ追悼記念演奏会の録音でこの日の演奏会は絶賛を浴びたそうです。日本の評論家と称する人たちは同じワルターの演奏でもNo.18を名演とあげています。No18はワルターのロマン性にあふれた「英雄」シンフォニーです。しかしNo.19はリズム感が躍動し縦の線が明確に示さるる形式感の優れた演奏です。まさしくトスカニーニの求めていたべートーヴェン像です。ここからは私の推論と一部の評論家の指摘ですが、この音楽はマルケヴィッチの作り上げた音楽をワルターが当日そのまま受け入れ指揮棒を振った演奏会だったのでしょう。どちらも優れた演奏には相違ありませんが?

マルケヴィッチにはもう一つNo.11にベルリン放送交響楽団(旧東ドイツ)との名演があります。

しかしこのCDを発売したイギリスの会社は、同じマルケヴィッチのラベルのCDがすでに商品化されていたマルティノンのCDをコピーしたものだったことがばれ、倒産しました。そのためマルケヴィッチのたのCDも出所が問題視されています。私は今は亡き秋葉原の石丸電機で、このCD会社の倒産後の処分セールで求めましたが、同じころにベルリン交響楽団(旧東ドイツ)とのベートーベンのNo.5&No.8も所持していますが、どちらも優れた演奏でマルケヴィッチか、レグナーの演奏ではと思っていますが、いずれも形式感の優れたベートーベンです。

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