「ソウル・キッチン」 2009年 ドイツ / フランス / イタリア
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監督 ファティ・アキン
出演 アダム・ボウスドウコス
モーリッツ・ブライブトロイ
ビロル・ユーネル
ウド・キア
アンナ・ベデルケ
フェリーネ・ロッガン
ストーリー
ドイツ第2の都市ハンブルクでレストラン「ソウル・キッチン」を営むジノスは、恋人ナディーンと別れ、税務署や衛生局とも揉め、挙句に椎間板ヘルニアになるという踏んだり蹴ったりな日々を送っていた。
しかし、ヘルニアで料理ができない彼の代理の天才料理人シェインのおかげで店は盛り返し、さらに刑務所から仮出所してきた兄イリアスがかける音楽でより賑わい、事態は好転する。
ジノスはシェインから料理の手ほどきを受け、イリアスに店を任せてナディーンに会うため上海へ向かおうとするが、空港で再会したナディーンは祖母を亡くし、中国人の恋人もいた。
上海行きの飛行機をキャンセルするジノスだが、荷物を手に取ると倒れてしまう。
ジノスのヘルニアは進行していた。
医者から全身マヒの危険性を告げられるが、医療保険に入っていないため治療費が足りず手術もできない。
そして、イリアスがギャンブルに負けてレストランを失ったことを知る。
ジノスらはレストランの権利書を盗みに入るが、ヘルニアで動けなくなったジノスは捕まり、イリアスも出頭する。
釈放されるも片足が動かなくなったジノスはアンナを頼り、整体師による治療を受ける。
体のマヒが取れたジノスはかつての同僚たちの行方を尋ねる。
シェインはホンジュラスでサーカスのナイフ投げを、バンドメンバーの一人はスケート場で働き、バーで働いていたルチアはジノスの勧めでイリアスと再会を果たす。
イリアスとのギャンブルで店を手に入れたノイマンは騙していた税務署から逆襲を受けて逮捕され、彼の所有していたレストランは競売にかけられることに・・・。
寸評
コメディの形をとっているがホロッとさせられるところがあり人情喜劇と呼んだ方がいいだろう。
登場人物たちの店に対する愛情のようなものが、押し付けがましくなく伝わってくるのが魅力となっている。
主人公のジノスはいい加減な男のようでありながら、自分のレストランには愛着がある。
ジャンクフードのようなものを提供しているが、お腹いっぱい食べたい人はそれでも満足している。
腕は一流だが料理人としてのポリシーが強いシェインが前の店をクビになりジノスの店にやって来て、同じ材料でフレンチ風の料理を作るが客には受け入れられない。
カツで満腹になりたいお客さんは上品な料理を望んでいないのだ。
店は閑散としてしまうが、そこから満員の盛況になるまでの経緯は、色々なエピソードをはさみながら要領よく描いていて、驚くような展開はないけれどまったく飽きさせないのは脚本の妙だ。
たくさんの出来事を盛り込んでいるのに、無理やり詰め込んでいる気がしないから大したものだ。
コメディとしての描写は随所にある。
一番面白かったのは媚薬のエピソードだ。
シェインがホンジュラスで手に入れたと言う欲情をもよおす香辛料を大量に使う。
冗談だと言っていたが次の場面では皆がその気になっていて、やはりあれは媚薬だったのかと思わせるくだりで、税務署の女性職員まで発情してしまいシェインと醜態をさらけ出すシーンには笑うしかない。
もちろんこのシーンは終盤の出来事への伏線となっているから、たんなるオフザケシーンではない。
主人公のジノスがギックリ腰になってしまい、ほとんどその姿で動き回っていること自体が喜劇的である。
ジノスも強烈なキャラだが、彼を取り巻く連中のキャラクターも際立っている。
兄は窃盗罪で服役中なのだが、一日の中で時間限定の仮出所を許されている。
働く気のない男だが、どこかカッコ良さがあり、友人と常習的に窃盗を行っている。
ギャンブル好きで、それがもとでトラブルを引き起こす問題児である。
シェインは包丁投げを得意とする変人のシェフだが料理の腕は一流を感じさせる。
料理の映像が良いアクセントになるほど彼は美味しそうな料理を作る。
レストランが舞台の作品だから、食べ物のシーンは食欲をそそるものとなっている。
シェインによるジノンへの教育シーンは平凡な描き方だが、腕を上げたジノンの包丁さばきは嬉しいものがある。
シェインがレストランの扉に包丁で突き刺して残して行ったメモは感動的だ。
ジノスの店に居候している船長も正体の分からない老人である。
彼らのドタバタ劇を見ているだけでも楽しくなってくる。
ジノスがレストランを取り戻す手段も泣かせるではないか。
はじき飛んだ船長の服のボタンが原因で・・・なんて面白い。
雪の降るクリスマスの夜、レストランを貸し切り状態にして二人だけで食事するシーンはラブロマンス映画としてもなかなかいいシーンとなっていると思う。
エンドクレジットは必見の出来栄えで最後まで楽しませてくれた。
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監督 ファティ・アキン
出演 アダム・ボウスドウコス
モーリッツ・ブライブトロイ
ビロル・ユーネル
ウド・キア
アンナ・ベデルケ
フェリーネ・ロッガン
ストーリー
ドイツ第2の都市ハンブルクでレストラン「ソウル・キッチン」を営むジノスは、恋人ナディーンと別れ、税務署や衛生局とも揉め、挙句に椎間板ヘルニアになるという踏んだり蹴ったりな日々を送っていた。
しかし、ヘルニアで料理ができない彼の代理の天才料理人シェインのおかげで店は盛り返し、さらに刑務所から仮出所してきた兄イリアスがかける音楽でより賑わい、事態は好転する。
ジノスはシェインから料理の手ほどきを受け、イリアスに店を任せてナディーンに会うため上海へ向かおうとするが、空港で再会したナディーンは祖母を亡くし、中国人の恋人もいた。
上海行きの飛行機をキャンセルするジノスだが、荷物を手に取ると倒れてしまう。
ジノスのヘルニアは進行していた。
医者から全身マヒの危険性を告げられるが、医療保険に入っていないため治療費が足りず手術もできない。
そして、イリアスがギャンブルに負けてレストランを失ったことを知る。
ジノスらはレストランの権利書を盗みに入るが、ヘルニアで動けなくなったジノスは捕まり、イリアスも出頭する。
釈放されるも片足が動かなくなったジノスはアンナを頼り、整体師による治療を受ける。
体のマヒが取れたジノスはかつての同僚たちの行方を尋ねる。
シェインはホンジュラスでサーカスのナイフ投げを、バンドメンバーの一人はスケート場で働き、バーで働いていたルチアはジノスの勧めでイリアスと再会を果たす。
イリアスとのギャンブルで店を手に入れたノイマンは騙していた税務署から逆襲を受けて逮捕され、彼の所有していたレストランは競売にかけられることに・・・。
寸評
コメディの形をとっているがホロッとさせられるところがあり人情喜劇と呼んだ方がいいだろう。
登場人物たちの店に対する愛情のようなものが、押し付けがましくなく伝わってくるのが魅力となっている。
主人公のジノスはいい加減な男のようでありながら、自分のレストランには愛着がある。
ジャンクフードのようなものを提供しているが、お腹いっぱい食べたい人はそれでも満足している。
腕は一流だが料理人としてのポリシーが強いシェインが前の店をクビになりジノスの店にやって来て、同じ材料でフレンチ風の料理を作るが客には受け入れられない。
カツで満腹になりたいお客さんは上品な料理を望んでいないのだ。
店は閑散としてしまうが、そこから満員の盛況になるまでの経緯は、色々なエピソードをはさみながら要領よく描いていて、驚くような展開はないけれどまったく飽きさせないのは脚本の妙だ。
たくさんの出来事を盛り込んでいるのに、無理やり詰め込んでいる気がしないから大したものだ。
コメディとしての描写は随所にある。
一番面白かったのは媚薬のエピソードだ。
シェインがホンジュラスで手に入れたと言う欲情をもよおす香辛料を大量に使う。
冗談だと言っていたが次の場面では皆がその気になっていて、やはりあれは媚薬だったのかと思わせるくだりで、税務署の女性職員まで発情してしまいシェインと醜態をさらけ出すシーンには笑うしかない。
もちろんこのシーンは終盤の出来事への伏線となっているから、たんなるオフザケシーンではない。
主人公のジノスがギックリ腰になってしまい、ほとんどその姿で動き回っていること自体が喜劇的である。
ジノスも強烈なキャラだが、彼を取り巻く連中のキャラクターも際立っている。
兄は窃盗罪で服役中なのだが、一日の中で時間限定の仮出所を許されている。
働く気のない男だが、どこかカッコ良さがあり、友人と常習的に窃盗を行っている。
ギャンブル好きで、それがもとでトラブルを引き起こす問題児である。
シェインは包丁投げを得意とする変人のシェフだが料理の腕は一流を感じさせる。
料理の映像が良いアクセントになるほど彼は美味しそうな料理を作る。
レストランが舞台の作品だから、食べ物のシーンは食欲をそそるものとなっている。
シェインによるジノンへの教育シーンは平凡な描き方だが、腕を上げたジノンの包丁さばきは嬉しいものがある。
シェインがレストランの扉に包丁で突き刺して残して行ったメモは感動的だ。
ジノスの店に居候している船長も正体の分からない老人である。
彼らのドタバタ劇を見ているだけでも楽しくなってくる。
ジノスがレストランを取り戻す手段も泣かせるではないか。
はじき飛んだ船長の服のボタンが原因で・・・なんて面白い。
雪の降るクリスマスの夜、レストランを貸し切り状態にして二人だけで食事するシーンはラブロマンス映画としてもなかなかいいシーンとなっていると思う。
エンドクレジットは必見の出来栄えで最後まで楽しませてくれた。