早上好2010

天池針灸院による日常生活から中医学(中国伝統医学)や中国針などの情報を提供します。

中年男性の腰痛の裏に潜んでるのは

2017年11月27日 | 癒し系

性別、年齢によって腰痛の裏に

色々な病気が潜んでいることがあります。

私の臨床経験と共に

つくづく実感しています。

 

最近、一人の中年男性が

腰痛を改善したいとのことで

友人の紹介で来院。

50歳代後半、がっしりした体格、

腰痛以外に大きな病気はありません。

腰痛の機会は二年前、

重いものを持ち上げた瞬間

腰に激痛が走った。

湿布を貼ったり、

鍼灸整骨院でも治療を受けたが、

その後、完全に良くならず、

二年間繰り返していました。

病院の診断は「ヘルニア」予備軍

と言われ、特別な治療方法もなかった。

 

私からの問診は以下の様に行いました:

問:二年間、腰痛を再発する原因は何ですか?

:突然出る事が多く、特にお酒を飲んだ後、

  ある時は、飲んでる最中でも激痛がはしる。

問:腰痛の具体的な場所はありますか?

:腰の真ん中よりやや右寄りでした。

問:下肢の痛みやしびれは出現しますか?

:時々出現し、左右不定でした。

問:どの様なことをしたら緩和しますか?

答:一晩休んだら、次の日は普通に生活し、

  ゴルフもできます。

問:激痛がない時、

  腰や下肢の違和感はありますか?

答:少しだるい感じがあります。


ここで、私が認識しているのは

この方の腰痛は一般的な

整形外科によくみかける腰痛ではなく、

今まで、私がみたこともない症例でした。

その大きなポイントとは、

突然腰痛が出て、特にお酒を飲むと

腰痛が発症することでした。

循環器系の疾患ではないかと疑いました。

鑑別するために「定期的な健康診断は

受けていますか」と質問しましたら

答:必ずします。血圧やや高いのと

  コレステロール、中性脂肪が高い。


以上の内容を総合的に考えると、

腹部に大動脈瘤の可能性が

あると思われます。

その日の治療は、

強い刺激を避けるように行い、

無事に終わりました。


次の日、もう一度本人に

確認したところ・・・

実は胸部と腹部とも

動脈瘤の診断があり、

近いうちに入院検査と

手術を行う予定があるとの事でした。

仕事に支障がない様に

周囲の人に知らせないと決めた為、

問診の時は、伝えて貰えませんでした。

 

ホッとしました。

二回目の鍼灸治療をお断りし

「病院での治療を優先する様、

術後の健康管理や疾病の予防には

鍼灸医学に任せて下さい」

と伝えました。

 

私達鍼灸師の責任は

単なる局所にある症状を

緩和させることではなく、

年齢や性別、主訴と随伴症状;

精密機器検査の結果、

血液の検査などなど、

総合的に分析し、

疑いがある病気を確認した上で、

一番良い治療方法を

患者さんに提供するのが 

最も大切な事ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 





 

 

 

 

 

 

 

 

 

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