あなたから一番遠いブログ

自分が生きている世界に違和感を感じている。誰にも言えない本音を、世界の片隅になすりつけるように書きつけよう。

Nさんへの手紙(9)~もう一度イスラム国について

2014年09月25日 10時09分19秒 | Weblog
 なるほど、その韓国人がイスラム国に義勇兵として参加したという情報を確かめるために情報収集されているわけですね。ぼくはその話は知りませんでした。

 ただ現在、イラクやシリアには複数の日本人の男女が義勇兵として参加していると言われています。イスラム国にもいるとのことですが、反イスラム国側にもいるようです。先日イスラム国に拘束された民間軍事会社を名乗る青年も、ある意味でそのひとりでした。
 ちなみに1970年代には日本赤軍などが、1980年代には右翼がパレスチナやアフガニスタンで軍事活動を行いましたね。
 拘束された青年の目的ははっきりしませんが、彼の場合は田母神氏経由で安倍政権中枢から何らかの指令を受けていたという噂もあります。あくまで噂ですが。

 Nさんは、イスラム国に参加する韓国人はムスリムではなく、単なる軍事オタクなのではとお考えのようですが、確かにイスラム国に合流する人々は案外軽いノリで行く人が多いかもしれません。しかし、それでも命を捨てる覚悟は持っているわけで、たとえは悪いかもしれませんが、死刑になってもかまわないと叫ぶ無差別殺人犯にも近いような気がします。捨て鉢なのです。もちろん国と宗教を捨てて、イスラムに改宗することも前提です。
 なぜそんなことをするのかと言えば、その背景にあるのは格差と差別と貧困です。この社会における強力な支配システムの下で、もはや絶対に浮き上がれないと絶望した者がイスラム国というファンタジーに引きつけられるのだと思います。
 Nさんはクルアーンに造詣が深いので何も知らないぼくが言うのもなんですが、イスラムの基本理念は平等です(現実はともかく)。そこに強い賛同をおぼえる人達が増えるのは時代の必然でしょう。

 かつてはそうした人達を吸収するのは西欧思想を基盤にしたマルクス主義でした。いかに資本主義と非妥協だと言っても西欧思想が基盤だから、欧米的価値観を共有する人々との間で対話がまだ可能でした。しかし人々はこぞってマルクス主義を否定し排除してしまいました。
 グローバリズムというかアメリカ一極支配体制というか、そういう時代が到来しました。しかし当然虐げられている人々は無くなっていないし、むしろもっと虐げられるようになって、そうした人々がすがったのがイスラム原理主義だったのです。
 ところが欧米陣営はアフガニスタンやイラクに戦争を仕掛け、イスラム原理主義勢力の指導部を壊滅させてしまいました。そこで出現したのがより凶暴で手の付けられないイスラム国のような、捨て鉢、やけっぱちの勢力です。

 ここでイスラム国を壊滅させたとしたら、今度はもっともっと手の付けられない事態になります。皮膚病の時、痒いところを掻いてはいけないといわれます。確かにその時は掻かずにいられないかもしれないが、そうすると病気がもっと広く深く悪化してしまうからです。この問題も同じです。力による制圧は事態をどんどん悪化させます。
 唯一の解決策は時間がかかっても各国における格差と差別と貧困を無くし平等な社会を作ることだけなのですが、当たり前ですがどの国の支配層もそんなことをする気がありません。残念ながら世界が本当に壊滅的事態にならないと変わらないのかもしれません。
コメント
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