ぜじろぐ

SAMBATOWN・ゼジの書くブラジル音楽やその他あれこれ

観に行かないのですか?

2008-10-23 00:53:13 | ライヴ

こんばんは、今しがたベネズエラのマンドリン奏者、リカルド・サンドバルのライヴ初日(@名古屋・得三)から帰宅したばかりのサンバタウン店主です。

ブラジル音楽にしか守備範囲を持たないワタシですが、今夜ははっきりと申し上げましょう。
インスト音楽のライヴで涙を流したのは今宵が初めてです。
それくらい素晴らしい演奏でした。

国籍こそブラジルではありませんが、少しでもアコースティック弦楽器による音楽に興味がある方、そしてショーロ愛好家の皆さん。行かずに後悔するとかそういうことはこの際どうでもいいことです。ただ行ってよかった、3,000円いくらかでこんなに素晴らしい音に出会えるとは、そういう喜びを是非とも感じていただきたいのです。

我々ブラジル音楽好きにとっても見どころたっぷりの一夜でありました。
リカルド本人がMCで「我々マンドリン奏者にとって尊敬・憧れの的であるブラジルの音楽家がいます。その人の名は、ジャコー・ド・バンドリン」と語った瞬間の感激といったら。それから演奏されるショーロの楽曲の数々。ジャコーの曲はもちろん(野暮だから曲名までは言いません)、「ブラジル音楽の父」と呼ばれるあのお方から「ブラジルフルート界の長嶋茂雄」の異名を持つ(そう呼んでんのはワタシだけか)あのお方の曲まで!ブラジルの香りは言うに及ばず、ラテンアメリカのサウダーヂともいえる懐の深さで、いやもう至福の時間を堪能させていただきました。

アミルトン・ヂ・オランダのバンドリンは騒々しくて好きではない、という向きには絶対オススメできます。オーセンティックでありながら華麗、力強くそして繊細なそのテクニックはまさに至高の芸。バンドリンファンは一人残らず見ないといけません。このワタシが保証します。気に入らなかった人はライヴチャージを代わりに払ってあげます、とまでは申しませんが、ワタシまでメールを下さい。もっともそんな人がいるとは思えませんが。

相方のフランス人ギタリスト、マチア・コレーのプレイもこれまた素晴らしかった。パッと見はホソオモテのジョゼ・ピニェイロ氏か、どっかの「助手さん」みたいな風貌なんだけど(失礼)、ブラジルによくいそうな剛腕パフォーマンスではなく、日本人の体形に合った演奏スタイルとして大いに参考となる、カモシカのような軽快で柔らかく、そして凛とした音は聴衆に確かな感動をもたらしていました。

明日は(いや、もう今日だ)Cafe Dufiにて名古屋の2日目。初日ゆえか、登壇時にはやや緊張の面持ちだった彼らも、得三での観客の熱い拍手を糧に、これから一段と熱の篭った演奏を聴かせてくれるはずです。2日目以降はリカルドの秘密兵器・バンドーラによる衝撃の演奏も体験できそうです。


(いちおう全国ツアーの日程をアップしときまーす!)

これからツアーで回る豊橋・大阪・東京の皆さん、どうかこの素晴らしい音楽を体験できるチャンスをお見逃しなきよう・・・!でもゲストの松田美緒ちゃんの歌が聴けるのはこの初日・得三だけ。サイコーでした。ちなみに美緒ちゃん、なんと映画「Gringo no Rio」の撮影のため、明日からブラジルに出発だそうな。すげーなー。


(ちなみにこれは即売会で売られていた、今回のツアーのための録り下ろしアルバム「Café para dos(二人でカフェを)」。ライヴの鮮烈な印象とはまたうって変わって、とろけるように甘く優しい音色に酔いしれました。そんなに数を持って来ていないそうなので売り切れ必至。会場に行かれた方はお早目にお求め下さい)

更にもうひとつオタクネタを。初日の演奏では、リカルドは第1ステージでクラシックマンドリンを、第2ステージではなんと10弦マンドリンを使っておられました。フラットボトムの外観は実質バンドリンそのものです。あまりに素晴らしい音だったので、終演後「どこのルチエールのものをお使いですか?」と尋ねましたら、リカルド曰く「ボクの親父」ですって。すごいぞベネズエラ。