5.
アルルの王子たちは、ジーン・ウールを冥界で見守っていた日々があった。
メスラムタエア(ネルガル)は、エレシュキガルの夫となった。
ニンアズは、「蛇神」にして「冥界の神」そして「治療医術の神」、あるいは「戦の神」、あるいは「エシュヌンナ(現代名テル・アスマル)の守護神」ともいう。
冥界から還るには、身代わりが必要であり、ニンアズはどうやら身代わりを得たようだ。
もう一人、文書が欠損していて、名前が不明の神が冥界に残っているはずだが、過去をも未来をも見通す父神のなさること、この神もある出来事により冥界から地上に戻ってきたはずだ。
その名前の不明な神の名が、「ウルシャナビ」である可能性はある。
このウルシャナビは、後の粘土板で再び登場する。
「・・ラガシュのウルナンシュ王の時代に「彼(バルゥ:内蔵占い師)は内蔵占いでウルシャナビをナンシェ女神(河川、水路をつかさどる、エンリルあるいはエンキの娘とされる。ラガシュの守護女神、夢解きの女神)の配偶者に任じた」と、ナンシェ女神に仕える神官の選任と思われる内蔵占いが行われた記録があるそうだ。(「古代メソポタミヤの神々」より)
ウルシャナビは間違いなく、ギルガメシュと共に冥界から還っている。
気がつくと、ジーン・ウールはラピスラズリの扉の外に立っていた。
これも夢。ジーン・ウールの不思議な話はまた明日。