ビルマVJ 消された革命
2010年05月22日 00時28分17秒 | 紹介・動画も含むビルマVJ 消された革命
「ビルマ国内の情報を発信し続ける一般市民たちの姿を追い、アカデミー賞長編ドキュメン<WBR>タリー部門にノミネートされた話題作。2007年にビルマで起きた反政府デモの最中、<WBR>身の危険を顧みず、自国の映像を世界に送った若者たちの奮闘が描かれる。サンダンス映<WBR>画祭で世界映画ドキュメンタリー制作賞を受賞するなど、各映画祭や映画賞でも話題沸騰<WBR>。ニュース映像として断片的に目にしてきた衝撃的映像の裏に潜むドラマが明かされてい<WBR>る。」
映像の持つ力をまざまざと見せつけてくれる映画でした。
VJとはビデオジャーナリストのこと。
50年近く軍事政権による厳しい情報統制が布かれるミャンマーで、投獄や処刑の恐怖にさらされながら、ハンディカメラを片手に命懸けの取材を続ける彼らの活動を描いたドキュメンタリーです。
映画の中心は2007年9月に起きた大規模な反政府デモ。
1990年の総選挙では民主化勢力が圧勝したにもかかわらず、軍政は選挙結果を無視し、指導者のアウンサンスーチー女史は自宅に軟禁され、民主化を望む政治家の多くは国外へ亡命。自由を奪われ、困窮をきわめる人々の不満が頂点に達したとき、彼らの願いを受けて軍政の横暴に立ち向かったのが5,000人を超える仏教僧たちでした。
「仏の教えに基づく平和な社会を!」と呼びかける彼らのスローガンは、私たちのユートピア思想にも通じるものがあります。
建物の屋上にすずなりになってデモ隊に手を振る人々。
僧侶たちと共にデモ隊に身を投じる人々。
自らの生命の危険をかえりみず、民衆のために立ち上がった僧団の姿に、新しいビルマの到来を確信した人々の笑顔がとても印象的です。
自由を求める人々のうねりはやがて大河となり、10万人に達したとき、政府は治安部隊を投入。武力による鎮圧に乗り出します。
発砲によって、僧侶と市民少なくとも30数名が死亡。
日本人ジャーナリストの長井健司さんも、デモを撮影中に射殺されました。
(その一部始終を隠し撮りし、海外に流したのもこのVJたちです。)
国中の僧院が襲われ、4,000名以上の僧侶が逮捕・投獄。
デモは勇気ある若者たちに引き継がれていきますが、圧倒的な暴力の前に民主化の夢はあえなく瓦解してゆきます。
僧侶を含む数百名は3年後の現在も消息不明。アウンサンスーチー女史は自宅に軟禁されたままです。
一方、軍事政権は欧米諸国から激しい非難を浴びたものの、中国の経済支援や北朝鮮の軍事協力を得て、今もなお健在であり、国民への弾圧は変わることなく続いています。
自国民を殺害された日本は、射殺はあくまでも「合法」であったと主張するミャンマー政府に対して経済制裁すらとることができず、長井さんが生命と引き換えに遺した映像テープやカメラは、今もまだ返還されておりません。
去る5月11日、国会議事堂に向けて普天間基地問題の早期決着と日米同盟の強化を求めるデモが行われ、私も参加いたしました。銃弾に怯えることなく、白昼堂々と政府の方針を批判し、正論を述べる自由が与えられていること、それ自体がすばらしいことだと改めて感じました。
そして、それだけの自由を与えられていながら、この国のあり方を変えられないとしたら、それは権利の上にあぐらをかいてきた私たち日本人の怠慢以外の何ものでもありません。
そう強く思いました。
日本の未来を担う、多くの若者たちに観ていただきたい映画です。
(渋谷 シアター・イメージフォーラムにて上映中)
ビルマVJ〜消された革命〜HP:http://burmavj.jp/
シアター・イメージフォーラム:http://www.imageforum.co.jp/theatre
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