その事実が面白いんだよ
沙織里の娘・美羽が突然いなくなった。懸命な捜索も虚しく3カ月が過ぎ、沙織里は世間の関心が薄れていくことに焦りを感じていた。夫の豊とは事件に対する温度差からケンカが絶えず、唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々。
そんな中、沙織里が娘の失踪時にアイドルのライブに行っていたことが知られ、ネット上で育児放棄だと誹謗中傷の標的になってしまう。世間の好奇の目にさらされ続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じるように。
一方、砂田は視聴率獲得を狙う局上層部の意向により、沙織里や彼女の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材を命じられてしまう。(「作品資料」より)
6歳の娘、美羽が失踪し、母親である沙織里は夫の豊、ボランティアの人々と共に必死でビラ配りなどをして、情報を集めようとする。
それを地元のテレビ局の砂田が取材し、テレビで放映する。
掲示板も立ち上げるのだが、そこには誹謗中傷がコメントされる。
美羽の捜索というよりも、沙織里の心が壊れそうになっていく様が描かれる。
テレビ局も捜索よりも刺激的なものを求め、世間を煽るような報道を行う。
ネットでの誹謗中傷は、現実でもよくあるもので、心が弱っている者に対し、更に追い討ちをかけるもの。
沙織里の姿が痛々しく、また最後に美羽と一緒にいた沙織里の弟、圭吾も強制的にテレビの取材を受けさせられ、それにより非難に晒されることになる。
沙織里はその日、ライブに行っていたこともあって、やはり罪悪感があったんだろうな。
浮き沈みが激しい沙織里に対して、夫の豊は半ば冷静に行動するが、それが更に沙織里を苛つかせるようである。
果たして美羽は見つかるのかというのも気になるところ。
社会は狂ってると思わされ、心痛む話であったが、興味深く観られた作品。
最後に沙織里が見つけた光は何だったんだろうな。
/5
監督:吉田恵輔
出演:石原さとみ、青木崇高、森優作、有田麗未、小野花梨、小松和重、細川岳、カトウシンスケ、山本直寛、柳憂怜、美保純、中村倫也
於:TOHOシネマズ池袋
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