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「出光美術館 茶の湯の床飾り」展を観る

2023年05月14日 | 美術

以前から行ってみたいと思っていた出光美術館(千代田区丸の内)に行ってきた。いま開催中の展覧会は「茶の湯の床飾り」だ。美術館の説明では、茶の湯は中国より抹茶や煎茶の喫茶法が伝来し、日本の文化や風土に合わせて独自の変容を見せているが茶の湯や煎茶においてどのような書や画が掛物として茶席を飾ってきたのか、出光美術館のコレクションを中心に紐解く展覧会だとのこと。

展示は時系列的に4つに分類されている
第1章 床飾りのはじまり(唐絵と墨跡)
第2章 茶の湯の広まり(一行書の登場)
特集 茶の湯の物語
第3章 近代数寄者の新たな趣向
第4章 煎茶の掛け物

最初のうちは中国で勉強した修行僧などが持ち帰った書や茶器などを将軍などが楽しんだが、時代が進み、珠光、村野紹鴎、利休、古田織部、小堀遠州らが次々と出てくると侘、禅宗との結びつきなどにより徐々に日本流の広がりを見せ、茶を楽しむ人口も増えていく、その過程で用いられた茶器、掛け軸などが楽しめる。

茶器や掛け軸の良し悪しはわからないが、これらのものを見ていると不思議と心が落ち着いてくる。詫びさびの精神も日本人の中にDNAとして引き継がれているように思える。現代人で茶の湯を楽しむ人は限られているかもしれないが、お茶を飲んだり花を生けたりすることを茶道や華道にまで高めてしまう日本人の探求心や真面目さは世界に誇るべき文化だと思う。また、そこまでいかなくても日本には欧州などに負けないほどの喫茶文化があり、昔ながらの喫茶店や名曲喫茶、ジャズ喫茶、あるいはスタバのような外資のチェーン店までが棲み分け、いろんなお茶の楽しみ方を提供してくれるのはありがたいことだ。

展示作品のいくつかは非常に印象に残るものがあったが、上の写真のポスターでも使われている「禾目天目(のぎめてんもく)」、展示では上下に分離して展示されているので(上が茶碗、下が茶碗受け?)、写真と同じ姿ではないことに留意が必要だ。

出光美術館は初めて訪問したが、思っていたより内部は広く、ゆっくり見ていたらあっという間に1時間半くらいたってしまった。鑑賞が終わって展示室を出ると、そこは皇居が見える休憩室になっており、ゆっくり休めるようになっているのはありがたい。