ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

牡蠣工場

2016-02-16 23:45:09 | か行

想田和弘監督の最新作です。

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「牡蠣工場」68点★★★☆


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奥さまの母方の故郷、
岡山県・牛窓の牡蠣工場にカメラを向けた145分。

猫で始まり、
猫が合間の道案内役になるのが
想田監督らしいですねえ。


広島に次ぐ、牡蠣生産地である岡山。
しかしかつては20軒近くあった牡蠣工場は
いまは6軒になったそう。

そのなかで残る工場に密着しています。

その工場を引き継いだ渡邊さんは
震災で実家の牡蠣工場が打撃を受け
宮城県から移住してきた方。

そして渡邊さんは時代の波を受け、
牡蠣の殻を取り除く「むき子」の仕事のために
中国の若者を迎え入れることになる――という展開。

全体にいつもながらの
「観察目線」で、淡々と進む想田節で
普通の風景のなかに、問題を含ませ、にじませる。

ボーッと見ていても興味深いのですが
しかし中国人労働者たちがやってくるという
映画としては大きなトピックとなるくだりで
受け入れる側の工場関係者が
いっとき「(撮影)配慮してよ・・・・・・」みたいな雰囲気になる。

結局は中国の青年たちも撮影OK
全然、問題ないんですが

このときに
撮影される側、特に年配者たちの“素”と
撮影者側の躊躇が写ったような気がする。
実際、
その辺りからカメラが揺れ、ちょっと不安定になるんですね。


想田監督作品では珍しくかなり映像酔いしてしまった(苦笑)。
さらに
145分はちょっと長かったかな、と。

思い返すと、あの“素”の部分は
ドキュメンタリーとして、かなり貴重な撮れ高ではあると思いますけどね。


★2/20(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。

「牡蠣工場」公式サイト
コメント
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