「渓流釣り師は、過去の思い出に浸りながら禁漁期の半年を過ごす。」
以前、釣り雑誌のコラムか何かで読んだ一文だ。
これには全く同感だし、山菜採り師にもキノコ採り師にも当てはまる。今が、その思い出に浸る時期なのだが、料理をしていると、より強くよみがえってくるんですね、その日の光景が。
常備菜の山菜がフキだけになったので、もう一品作っておくことにした。素材は色々あるんだけど、メインは、赤コゴミかな。
で、どんな料理にしようかと、地元の料理研究家の方々が紹介している料理本を何冊か紐解いてみた。その中で心惹かれたのが、今善一さんのもの。山菜王国山形でも、特に豊かな小国町のお方だ。この方が紹介する多彩な山菜料理の中の一つで、ゼンマイにマイタケと鶏肉を加えて贅沢に仕上げる料理だ。ゼンマイも備蓄してあるんですけど、代わりに赤コゴミを使うことにします。何てったって、たっぷりある。それに、これまでの経験から考えても、ゼンマイで美味しい料理は、赤コゴミを使うとますます美味しくなるのが常なんだから。
早速、備蓄の点検開始。
赤コゴミ。令和元年5月と記録されている。ああ、I川に行った時のものですね。
清流を遡った奥に天国が待っている
令和元年の赤コゴミ
あの時は、夜勤に戻らなければならなくて、超ハイペースで渓を往復したっけ。僅かな収穫時間でも、高品質な山菜がたくさん採れて、「さすがはI川」と再認識させられた。
続いて マイタケ。こちらは、昨年の9月某日と記録されています。U川での収穫物ですね。
予定していた株が採られていたけれど、新たに発生した株をいただいて帰って来たんだっけ。
成長を待ちきれなくて採ってきました
9月だけど、少しずつ紅葉も始まっていましたね。
こんな思い出が、時を越えてよみがえってくるんですよ。これも山菜料理の楽しさの一つと言ってよいでしょう。
では、本番、行ってみます。
≪赤コゴミとマイタケの煮物≫
下ごしらえの部
・赤コゴミ(乾燥)は、水から茹でて、沸騰したら火を止めて一晩。翌日、水を取り替えます
・マイタケ(冷凍)は、当日、常温でのんびり解凍しました(煮るから完全解凍でなくてもOK)
・糸コンは食べやすい長さに切って湯がいておきます
・鶏モモ肉は小さめに切り分けました
これで食材準備OK
※赤コゴミとマイタケが各250gほど。鶏もも100gに糸コン1袋を使いました
調理の部
・鍋にサラダ油を敷いて、糸コン ⇒ 鶏もも と炒めました
※マイタケも赤コゴミも香りを楽しみたいので、あっさりした油を使います
・マイタケ投入後、酒とみりん各50gと、顆粒出汁を加えて
・赤コゴミも加えて火を通したら、醤油50gを加えました
・焦げ付かない程度に加減しながら煮詰めていきます
マイタケと赤コゴミの香りが台所中に溢れてきます。
そろそろいいかな?
粗熱を取ったら、器に移動させます。
はい、出来上がり
ちょっとつまみ食いしてみると、味と香りがこれまでになく濃厚。赤コゴミとマイタケはそれぞれ強力なんだけど、鶏もも肉も強い。しかし、喧嘩せずに仲良くしてるから嬉しい。確かに、今先生が『贅沢』と言うのがよく分かります。
これで、暫くは食卓とお弁当がにぎやかになるでしょう。
懐かしい光景をよみがえらせながらの調理、楽しかったです。多分、これを味わう度に、あの景色や体験が思い出されることでしょう。
これは、山の神様、そして、今先生でしょうね。ありがとうございました。そして、また、よろしくお願いいたします。