多くの人は身近な人との親しいつながりが大事だと思っている、
だから友人や同僚との関係を壊さないように神経が磨り減るく
らい人づきあいに気を使う、その結果大事なはずの相手との関
係を重苦しく感じるという矛盾した意識が生まれる。
これは8年前に56歳の若さで亡くなった社会学者の菅野仁氏
の著書「友だち幻想」のなかの言葉である、いわゆる同調圧力
である、その原点が小学校に上がる頃に誰もが耳にした「一年
生になったら友だち百人できるかな」という歌で、友だちをた
くさんつくることが望ましいと刷り込まれた人は多いはず、学
校はみんな仲良く、みんなでひとつだという友だち幻想が強調
される場所になってる。
しかし菅野氏が指摘するようにみんな仲良くの重圧から解放さ
れない限り、60代、70代の高齢者になっても人付き合いの
悩みは続くものである、そう考えると友人や同僚に誘われても
気がすすまなければ断る勇気も必要だし、みんな仲良くという
幻想は捨てたほうがいいというのが76歳の私の実感である。