「生活保護」制度があることは、ご存知の人も多いでしょう。これをどうとらえているかについては、いろんな考えがあるようで、真っ向からぶつかる考え方もあります。
日本では明治以降、天皇絶対の世で、列強の仲間入りをしようと「富国強兵」政策を推進し、海外へ出かけて戦争をし、植民地支配を続けました。
当時国から必要とされた「臣民」は、丈夫で健康な心身を持つものであり、障害や病気を持つものは国の役に立たない者として差別されてきました。
こんな社会での福祉政策、制度の考え方は、「善意による施し」であり、また多くの「無償奉仕」=ボランティア精神によって支えられたところがおおきかったのが実態です。何しろ「臣民」でしたから。社会福祉=ボランティア精神のような考え方は、今でも根強く残っているといえます。
「働かざるもの食うべからず」という考え方もありました。「貧困=怠惰」なんて、今の世の中にある「自己責任」そっくりですね。生活保護を受けるのは「恥ずべきこと」と思われていました。
日本の敗戦後、新しい憲法ができました。現行の日本国憲法です。この憲法では、国民は主権者になり、この世に生を受けた国民は、誰もが人間らしく生活する権利を持っていることが明記されました。
社会福祉・社会保障制度は、誰かさんの厚意の「施し」ではなく、権利として確立されたのです。
ところが、旧態依然とした考えの人もまだいるわけで、生活保護受給者へのバッシングが現在もなくなりませんね。
生活保護より低い年金とか、賃金とか、そういう年金や賃金の存在が本来あってはならないこと。
「生活保護を受給していたが、行政から『働け』と言われ続け、日給制の職についた。しかし、収入は生活保護より低く、かえって暮らしが苦しくなった」という話を聞きました。「生活保護を受け続けていれば良かった」とも。
生活保護を受けることは「権利」であって、恥でもなんでもありません。そして、生活保護制度はわが国の「最低限度」を図る目安でもあるのです。この「最低限度」より下なんて、あってはならない。まして「ならば生活保護を引き下げ」なんて、自分の国の生活基準のレベルを落とそうと言っているようなもの。
安倍首相は自分の国を大事にしているとか、国民の命を守ると言ってますが、本気で守るつもりがあるなら、国民に「血を流せ」なんて言いませんよね。生活保護を引き下げるなんてこと、言えるはずがありませんよね。国民が戦争で殺されることを何とも思わない人に、国民の命を守ることはできません。
人の暮らしを支えることもなく、命を差し出せなどと平気で言う今の内閣は、即刻退場させましょう。この国の主人たるみなさんの力で。